日本雁を保護する会(JAWGP

2006/2007 シーズン ハクガン飛来概況

ハクガンには、風切羽の一部だけが黒色で、体全体が白色の白色型 white phaseと、頭部と頚上部だけが白色で他はほとんどが暗色の青色型 blue phase (アオハクガン)の二つの型があります。これまで、国内で記録のあるハクガンは、すべて白色型でしたが、2006/2007冬季には、国内の記録としては初めてとなる2個体の青色型のハクガン(アオハクガン)が観察されました。便宜上2個体を、個体A、個体Bとよぶことにします。

1)    個体Aは、2006/10/19に山形県鶴岡市下池でコハクチョウ5羽の家族群と共に観察され、その後、11月に新潟県瓢湖、11月から1月まで長岡市信濃川河川敷で、その後、3月まで新潟県の鳥屋野潟、佐潟、大池などで、常にコハクチョウの群れの中で観察されました。3月末から4月初めには北海道道央部を、コハクチョウと共に北上していきました。この個体は、頭部以外は全体が暗色で典型的なアオハクガンの成鳥でした。観察日・場所一覧表では BbA と記してあります。

2)    個体Bは、2006/9/27に北海道サロベツでオオヒシクイの群れの中で発見され、1020日まで継続的に観察されました。その後、10月中はウトナイ湖、長都沼周辺でオオヒシクイ、マガンの群れの中で、1123日には宮城県一迫町、瀬峰町の水田でオオヒシクイ、マガンの群れの中で観察されました。この個体は、頭・頚部以外に胸から腹部の下面全体も白色で、背面だけが暗色という特徴でしたが、アオハクガンの体色には変異が多く、個体Bもアオハクガン成鳥と考えられます。観察日・場所一覧表では BiA と記してあります。

観察資料から、アオハクガン2個体のほかに、昨シーズンには少なくとも次の10個体(成鳥7羽、幼鳥3羽)の白色型のハクガンが日本国内で越冬したと考えられます。

3)    秋季に十勝川下流域を通過した8個体(成鳥5、幼鳥3)。この内の(成鳥2, 幼鳥3)は、行動パターンから家族群と思われます。この8羽の群れは、11月中旬以降、新潟県朝日池、及び秋田県八郎潟、小友沼で越冬しましたが、2月に別群の成鳥が合流して9羽の群れとなり、そのまま十勝川下流域を通過し、北上しました。合流した成鳥は、4)の個体である可能性が高いと考えられます。

4)    宮城県伊豆沼、蕪栗沼周辺で越冬した2個体(成鳥2)。飛来当初の10月には、1羽は亜種ヒシクイと行動を共にしていましたが、その後は、2羽ともマガンの大きな群れの中で、別々に行動していました。