以下は第087回国会 決算委員会 第4号
昭和五十四年五月二十八日(月曜日)
   午前十時七分開会記録の抜粋だが如何に小さい者が虐められているか如実に物語っている。
これを読んでクロレラが大っぴらに薬事法違反が出来るのか良く理解出来た。
個人的に人を殺せば殺人だが、戦争で殺せば英雄だ。



小さいところが違反すれば取り締まるが、大きなところは見逃す。答弁で歯切れが悪いのは金の力だろう。
指導をしているという答弁も見られるし、徹底的にするとも答えているが、
そのような様子が全く見られないのは裏がある証拠だ。

○丸谷金保君 実は大臣、いま局長から、医薬品の範囲というのは大変むずかしいということを言っておるん
ですが、医薬品と食品との区別だけは、薬事法が大改正をした昭和三十六年、薬務局長から各都道府県に
通達として出ているんです、「医薬品等の定義に関する事項」というのが。いいですか、大臣、これよく覚えて

ください。この通達が出て、ここではっきり医薬品というのは医薬品として許可したものをいうということが出て
いるわけですよ。それから、食品等についてはここで除くと書いてないのは、食品衛生法の方に同様規定が
あるから――旧法にあったんです。「旧法第二条第四項第三号の「(食品を除く。)」及び同項第四号の「前各

号に掲げるものの構成の一部として使用されているもの」の規定が削除されたが、これはいずれも解釈上当
然のことと考えられたためであって、この規定の削除によって医薬品の範囲が従来と変わるものではない」
と、いいですか。ですから、医薬品の定義はまことにむずかしいということはおかしいんです。医薬品の定義は
ここでちゃんと昭和三十六年に薬務局長通達で出しているんですよ、食品は入らないということが。

 ですから、その後、今度は昭和四十三年の十月に、福岡県の衛生部長から照会のあったカネミサラダオイ
ル、これについて、このカネミサラダオイルがその表示文中に、血管内のコレステロールを除く特性を最高に
持っていますから高血圧の予防に最高ですという、こういう表示をしているんです。これは薬事法にひっかから

ないかという照会が当時福岡県から出ているのに対しては、薬務局長は、こういう表示で取り締まらないんだ
から――全部読むと長くなりますから簡略に言いますと、これは薬事法違反にならないということを回答してい
るんです。一体これどういうことだと思います。

 私が問題にしたいのは、こういう大企業のやつなら何にも言わないし、カネミ油のようなものについても、当
時はこれだけの表示をしたのは薬事法違反でないと言っているんです。その反面、一方では局長通達、それ
から、その後の問題点の中でいま裁判で争われているものの中にも、形状が明らかに医薬品的であるから―

―これは県の衛生部の担当官が裁判所でもってそういう証言をしているのがあるんです。また、形状、仕様
等を言えばこれはもう医薬品を販売したことになりますと。それはどこからそういう根拠が出るんだと言うと、
薬務局長の四十六年通達ですと。いま現に争われているんです。高麗人参酒というのが徳山の裁判所で争
われています。

 しかし、もっとこういう混乱はひどいんです。北海道の札幌中央警察署が薬事法で挙げたサンクロレラ、これ
は宣伝した文章が薬事法違反だということで挙げているんです。そして挙げておいて、恐らくこれも衛生部と
は相談したんでしょう。挙げておいて、なおかつこれは裁判しないんです、そのままずっと。サンクロレラの社

長さんは、むしろ薬事法のいまの問題たくさんあるんだから、最高裁までこの問題は争ってはっきりするところ
はしたいから公訴に持ち込んでくれと言ってもなかなかならないでいるんですよ。こういう状態で非常に混乱し
ているということを、ひとつ大臣、いかがお考えですか。

○国務大臣(橋本龍太郎君) いま丸谷委員からの御質問の中で、たまたま例示で挙げられましたカネミのサ
ラダオイルですか、これは回答を見てみますと、効能及び効果の表現方法に行き過ぎがあることも事実であり、
好ましくないので改めるよう指導されたいという回答が出ております。これは事実問題としてそういうことになっ
ております。

 ただ、一般的な問題として、御指摘のように、現在、現行薬事法とあるいは食品衛生行政との接点部分に
ついていろいろな問題点があることを私もよく承知をいたしております。私ども、これは衆議院の社会労働委
員会の場におきましてもいろいろな論議が従来からございまして、むしろ、たとえば健康食品とかあるいは自

然食品とかというものについての定義を定めることが先ではないかとか、あるいは、たとえば公正取引委員会
の公正競争規約を適用することによって何らかの方法が考えられないかとか、また、薬事法自体でもっと明確
な回答が出せないものかとか、実はいろんな議論をしてまいりました。

 率直に、御指摘のような問題点があることを私は決して否定をいたしません。厚生省自身としてもそうした矛
盾点に問題を感じまして、昨年度、新形態食品、まあ剤型等でいろいろなものが最近出ております新形態食
品につきましての実態調査を行い、本年度も番卒料関係について同様の調査を実施をしていこうとしておりま

すのは、この作業の過程で、健康食品とか自然食品とかいうものの定議を決めようとしてみたらこれは非常に
むずかしくなってしまったわけです。こうした問題点について国として考慮をしなければならぬ部分があること
を私ども承知をいたしておりますし、それに対しての努力を今後も続けていくということをまず申し上げたいと思
います。

 ただ、現実行政の上で、いま局長が申しましたように、接点部分につきましてなかなか苦労しておるところも
ありますので、問題を御指摘いただきましたものにつきましても今後できるだけの努力をして考えてまいりたい、
そのように思います。

○丸谷金保君 大臣、そこが問題なんです。いいですか。カネミの場合には、好ましくないから直しなさいとい
う行政指導をやっているんですよ、ああいう大会社だと。そうしておいて、ほかの方は直ちにもう薬事法違反で
もってこの通達でどんどん挙げているんです。こういう不公平が行われていいんですか


○国務大臣(橋本龍太郎君) それは丸谷さん大変御無理な話でありまして、カネミの事件は四十三年であり
ます。局長通達は四十六年であります。こうしたカネミのライスオイルあるいはその他類似の問題が発生しまし
た結果、四十六年に局長通達を明らかにしたものでありまして、その以前のものが四十六年の通達によって取
り締まられていないからといっておしかりを受けるのは、ちょっとこれは御無理ではないでしょうか。

○丸谷金保君 それで、たとえばサンクロレラのこういうような文書を出しただけで、効能効果と書いたからと
いって薬事法違反でもって摘発しているんです。
いいですか、大臣。それから言えば、当然やらなきゃならな
い、もう枚挙にいとまないくらいあるんですが、そのうちでごく最近のやつを言いますと、二十五日の朝日新聞

に、「麦ごはんがいい」という大きな広告が出ています。それから昨日も、朝鮮ニンジンについての効能効果が
たくさん出ています。これらについては、要するに、物を売ろうとしないのであれば云々というようなことを言って
おりますけれども、これは明らかに、資料も差し上げますということで、これは麦を一生懸命売るというあれなん

です。一歩譲って、お米屋さんが麦を売るときにこの朝日新聞にくるんで持たしてやったらこれ違反になるかな
らないか、どうなんです。一方では、サンクロレラのような問題のときには、薬効を表示したから違反だといって
挙げているんです。
 その間にちょっと法務大臣に聞きますが、法務大臣、これ、札幌中央警察署で挙げたサンクロレラの事件が
なぜ裁判にならないんです。本人の方は公訴してくれと言って、たくさん内容証明のようなものをあちこち出して
いるんですが、ならないというんですよ。これはどういうわけなんでしょう。


○政府委員(伊藤榮樹君) お尋ねの事件は、札幌中央警察から札幌地検に送致されております中山秀雄ほ
か二名に係る薬事法違反の事件と思いますが、近く処理する予定でございます。
○丸谷金保君 近く処理するって、これ何年かかっているんですか、問題が起きてから
○政府委員(伊藤榮樹君) 札幌地方検察庁が受理をいたしましてほぼ一年でございます

○丸谷金保君 同じような事例で、高麗人参酒の徳山裁判所のなんかの場合に、きわめて早く対応してどん
どん裁判に持ち込んでいる。その地方地方によって、もうきわめて薬務局長通達というのは拡大解釈されたり
縮小解釈されたりしておるんです。
それで、一体こういう問題について、先ほどもちょっと御答弁がありましたけ

れど、栄養改善法という中で当然取り締まらなきゃならないものを、全部薬事法の網をかぶせて薬事法で取り
締まっているということについて、公衆衛生局の方は所管を侵されているという抗議はしないんですか。

○政府委員(田中明夫君) 栄養改善法におきましては、「販売に供する食品につき、栄養成分の補給がで
きる旨の標示又は乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用等の特別の用途に適する旨を表示をしようとする者
は、厚生大臣の許可を受けなければならない。」ということでございまして、われわれが栄養改善法において

対象といたしておりますものは食品でございます。しかも、医師が、病者等の治療の一環といたしまして、たと
えば低カロリーの食品というようなものが適するというような場合に、食品の方にも医者の指示が必要である
というような規定を設けているわけでございまして、薬事法の取り締まりの対象となります薬品というものとわ

れわれの方が対象としております特殊栄養食品というものの間には、まあ薬品とそれから食品の差があるわ
けでございまして、私どもの方では栄養改善法で規定しております特殊栄養食品につきまして取り扱っておる
わけでございまして、その間に特に相反するということはないと考えております。
○委員長(寺田熊雄君) 丸谷君、時間がもう……。

○丸谷金保君 時間がありませんのでこれでやめますが、昨年から問題になっていて、検討するということ
が、明らかに法的に薬事法一本で取り締まることには無理があるということを認めながら、このことを積極的に
進めないで全国各地に異常な混乱を起こしていることは、私は行政の怠慢だと思います。したがって、薬事法

の二条で健康食品等のすべてを網をかけて取り締まるということが無理なことはもう明らかなことでございま
すし、栄養改善法との兼ね合いの問題もあります。これは大臣、ひとつまたの機会に、私はこの問題をもっと
掘り下げて御質問申し上げたいと思いますので、ただいま指摘したような問題についてももっと積極的に取り

組んで、いたずらに薬事法違反、薬事法違反というふうなことで摘発行政だけが先行することのないよう。そ
れらの事案を聞いてみると、保健所その他が行政指導でもって注意をすれば何でもなかったような事案もた
くさんあるんです。そういう行政指導をしないで、いまの薬務局長のきわめてあいまいな明示規定のないこと

でどんどん国民を摘発していくというふうなことは、時によってはもう何でも取り締まれるんですから、形状ある
いは効能、一方では取り締まらないし、一方では同じ問題を取り締まっているんです。そういうことがもうたくさ
んありますので
、下手をするともうこれは大変なことなんで、十分その点大臣考慮して、これらの四十六年薬

務局長通達ですべての薬事法違反を取り締まるというばかなことを速やかに訂正して、ただいま法制局長官
からも話のありましたように、やはりもう一つ、そういう規制をする法律なり、公取委の規制を早急につくるよう
に、それぞれ関係所骨庁の努力を要望いたしまして質問を終わります。

○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに現行の、これは薬事法の立場から言えば、薬まがいのものを取り締ま
らなければならないという性格が一方に完全にあるわけでありますが、それだけで対応し切れない問題があ
ることは私も承知をいたしておりますと先ほど申し上げました。今後なお検討してまいりたい、そのように考え
ております。

これからは
第109回国会 社会労働委員会 第2号の抜粋

昭和六十二年七月三十日(木曜日)


○吉田説明員 御説明申し上げます。
 国民生活センターでは危害情報というものを集めております。これは商品を使用した際に身体に影響を及
ぼしたもの、そういう情報を集めております。対象は国民生活センター、全国の消費生活センター及び全国の
九病院でございます。

 六十一年度について申し上げますと、三百十八件になっております。頻度の高い商品といたしましては、クロ
レラが一番目で、あとローヤルゼリー、油脂類となっております。この危害情報は五十年度から集めておりま
。これの累計で申し上げますと千九百十二件、一番多いのがクロレラ、二番目が高麗ニンジン、それからロ
ーヤルゼリー、こういうふうになっております。

 それから、企画庁の対応ということでございますが、昨年の第十九回消費者保護会議におきまして、いわゆ
る健康食品につきましては、消費者の合理的な選択の確保という観点から、業界団体においての規格基準の
設定、表示事業を実施するとともに、新食品等の品質表示ガイドライン設定事業を実施すること、こういうふうに

決定されております。経済企画庁といたしましては、この決定の趣旨を踏まえまして、今後とも食品行政連絡協
議会、これは経済企画庁、公正取引委員会、厚生省、農水省で構成されたものでございますが、この協議会を
通じまして適切に対処する、こういうふうにいたしております。

○沼川委員 ただいまの御説明の中で、六十一年度が三百十八件、トップがクロレラということですが、六十年
度を見ましても、やはりトップはクロレラ、クロレラがいろいろと苦情相談の対象として非常に多いようですので、
ちょっとそこに絞ってお尋ねをしたいと思います。

 そこで、クロレラを飲めばどんな病気でも治るかのような、こういう新聞のチラシ広告が最近盛んに出ておりま
す。中を見ると、もう治らぬ病気はないというぐらい、現代の医薬品でも対応できぬような病気がもう治る、こう
いう体験談方式でこういう折り込みチラシが出ておりますけれども、これは薬事法に照らして明らかに違反だと
私は思いますけれども、どうでございましょうか


○森(幸)政府委員 まず最初に、薬事法の仕組みからお話し申し上げたいと思いますが、これは先生もう十分
御承知のとおりでまことに恐縮でございますが、薬事法におきましては、特定の商品が必要な承認あるいは許
可を受けずに疾病の治療であるとかあるいは予防ができる、そういうことを標榜して販売された場合には、これ

を信じて使用した消費者に適正な医療を受ける機会を失わせるというようなことなど、保健衛生上の危害をもた
らすおそれがあるというようなことで、その発生を未然に防止するというような観点から、そのような製品が製造
されたりあるいは流通することのないように必要な規制を行うという仕組みになっているところでございます。

 ところで、今の先生のお話にもつながってまいりますが、そういう疾病の治療、予防あるいはその効能、効果
というようなことが、特定の製品についてではなくて、一般的なある成分につきまして流布され、あるいは宣伝さ
れるというようなことでありますと、そのことだけをもって直ちに薬事法上問題があるというようなことにするには
若干困難があるのではないかと考えておるところでございます。

 御指摘のようなクロレラ一般についての新聞の折り込みチラシというようなものが配られた場合でも、そのチ
ラシと特定のクロレラの製品との結びつきというものが確認できない場合には、そのことだけで直ちに薬事法に
抵触するというふうに断定して取り締まりの対象にするということはなかなか困難ではないかと考えております。


 しかしながら、また反面におきまして、そのような新聞折り込みチラシを利用して人を集めたり、あるいは新聞
折り込みに標榜された治療効果が、先ほどのような特定の成分ではなくて、特定の製品にあるかのような認識
を与えて販売したというような場合には、これは当然薬事法に違反することになるわけでございます。したがっ
て、そういう場合には規制の対象としていくべき必要がある、かように考えております。

○沼川委員 ちょっと突っ込んで聞きたいわけですが、その前に公正取引委員会の方からおいでになっている
と思いますけれども、今ちょっと申し上げたような、専門家の推薦の一部だけを強調して使っていたりあるいは
購入者の体験談など都合のよい部分だけを使っているケースが多いわけですけれども、先ほどから問題にし

ておりますように、当然効能、効果は薬品でなければうたえないという一つの鉄則がございます。こういった問
題については、不当景品類及び不当表示防止法違反という面ではどうなのでしょうか。
○本城説明員 景品表示法におきましては、事業者が商品または役務の取引に当たりまして、その内容または

取引条件について、実際のものよりも著しく優良または有利であると一般消費者に誤認されるおそれがあると
認められるそういう表示を行っている場合には、不当表示として規制の対象となるわけでございます。
 いわゆる健康食品に関しましては、公正取引委員会は、昭和六十年六月二十七日に厚生省とともに、痩身効

果を標榜するいわゆる健康食品の広告等の注意点、チェックポイントを公表いたしまして、薬事法及び景品表示
法上問題となる表示の取り扱いを明らかにしてきているところでございます。
 本件のクロレラにつきましては、医薬品的な各種の疾病に対する薬効、効果を標榜しているように見受けら

れますので、その表示の性格からして、直ちに景品表示法の対象として取り上げるのはどうだろうかと思って
おります。

○沼川委員 だんだんいろいろと広告のやり方も非常にうまくなってきまして、薬事法が相当研究されておる
ような感じを受けるようなものが多いわけです。クロレラといいましても、大体四十社くらいはあるわけですが、

相当いろいろと行政指導をなさって、わりかた行政指導を素直に受けていらっしゃる方も多いと聞きます。ただ
一つだけが行政指導をやったって全然聞かない。ちょっと私もどうかなと思うような、本来ならば、そういう会社
名とかあるいは商品名を挙げてここでいろいろと問題にするというのは私の本意ではございませんけれども、や

はりそういう行政指導も聞かない、幾ら注意しても守らない、こういったものが今後野放しになりますと、ほかに
与える影響も大きいだけにちょっと具体的な問題についてお伺いしてみたいと思います。
 ここにチラシを幾つか持ってまいりましたが、これはどこから出しているかといいますと、京都にある日本クロレ

ラ療法研究会、ここから出しているこれは「解説特報」というチラシです。確かに先ほど薬事法の盲点として局長
がおっしゃいましたように、やはりよくできているのですね。これを見ますと、その商品の固有名詞がどこにもな
いのですよ。
実は商品持ってきました。これです。この商品どこを探したってありません。表はどういうやり方を

やっておるかというと、この商品はサン・クロレラAというクロレラ製品です。この成分であるとこのクロレラについ
て徹底的にここでいろいろとクロレラの効能がうたわれております。しかも、この手の広告に必ずつきものが何
々博士と言われる方ですね。まあよく集めたものだと思うくらい博士と書いてあります。写真なんか載る方を見

ますと、もう引退されて久しいのではないかというような方が大抵博士として登場するのもこういうチラシの特徴
ではないかと思っていつも読むのです。そして徹底的にいわば商品に触れないで成分に触れて、今度は裏を見
ますと、全部体験談になっています。とにかくよう書いたと思うくらい、リューマチが治り、高血圧が治り、腰痛が

治り、便秘が治り、扁桃腺が治り、慢性肝炎、腎炎、糖尿病、何でも治るというようなことが書いてある。
 ただ、私がここで申し上げたいのは、ここには固有の商品名がありません。ところが体験談を読んでいて一つ
の共通点があるのですね。私はもう医者から見放されたような状態でした。ところが必ずそこで出てくるのが
「細胞壁破砕クロレラ三十粒とCGF液一カップを飲みました。」どの体験にも「細胞壁破砕クロレラ三十粒とCGF

液一カップ」。最初はクロレラですよ。クロレラから始まって、この薬効が徹底して説かれていて、体験談になると
一歩進むのです。この製品が最も得意としている「細胞壁破砕クロレラ」というふうに名前が変わるのです。もう
一つは「CGF液一カップ」。そうしてここに来ますと何と書いてあるかというと、この商品は細胞壁破砕クロレラ、

この商品はこのサン・クロレラだけですと書いてある。クロレラから始まって、細胞壁破砕クロレラとなって、これ
がたった一つの商品ですとなっておるでしょう。ですから、明らかにこれは相関関係があるのです。固有名詞は
出さないけれども、非常にうまく誘導してここに持っていく
、こういう手法がとられているわけですが、こういうの
は薬事法で、固有名詞がなければやはりだめなんですか。

○森(幸)政府委員 今御指摘のように、これはなかなか微妙な問題だと思います。今お話しのように、この事
案につきましては、その会社とは別の研究会の組織を利用いたしまして、クロレラの薬効とか、今のそのチラシ
の中には相談会の開催日時というようなものを記載してあるわけでございますが、そういう会報を新聞折り込み

チラシで配布して、その会報を見た方で相談にやってくる消費者あるいはその資料を欲しいというようなことを
言ってくる消費者、そういう方々にクロレラ製品を販売しているのではないかこういうことだと思います。
 それで、今先生御指摘の記述というのが単なる事実関係を述べただけなのか、あるいは実質上その当該製

品の薬効を標榜したのかというようなぎりぎりの判断を求められている
ということになるわけでございます。私
どもはこれまで各都道府県にも御協力をいただいて実情をいろいろ調べているわけでございますが、考え方と
いたしましては、その製品が相談会場であるいは通信販売で薬効を標榜して販売されているというふうに判断

されれば、先ほど申しましたように、当然薬事法違反に該当するわけでございます。そこのところの最終的なぎ
りぎりのつながりでございますね、標榜した薬効と製品との関係、そこのところを、最後ぎりぎりのところを今の
段階ではまだ詰めかねているというのが実態でございます。


○沼川委員 これは探偵小説じゃないけれども、ずっと詰めていくと全部つながるわけですよ。ですから、単純
に固有名詞を書いて薬務局の指導を受けるというのは、どっちかというと非常に単純な人だと思うのです。相当
研究しなければこういう手法はできないのです。悪質としか言いようがないのです。
うまく誘導してこういうふう

に持っていく。大体このクロレラというのはもともと一番欠点だったのが、飲んだ場合に吸収率が悪い、要する
に細胞がかたいものですから、たんぱくの細胞がかたいということが欠陥で吸収率が弱かった。それを破砕す
ることに成功したというのを盛んにやっているのがこの商品なんですよ。

 しかも、世界とは書いていませんが、たくさんクロレラがあるけれども、全商品の中で細胞壁破砕クロレラと
いうのはたった一つこのサン・クロレラAだけですと書いているのでしょう。この破砕ということがこの中にうた
われているわけです。しかも、その表にはクロレラから始まって、ここにちゃんと結びつくわけですから、こういう

薬事法を徹底して研究して、その裏をかいて、――一番けしからぬのは、薬品で登録しなさい、そんなに効く薬
だったら恐らく医薬品では一発でこういうのは許可になるわけはないと私は思っています。余り薬事行政をなめ
過ぎてはおらぬか。私はこれから一番しっかりしてもらわなければならぬのは薬務局だと思うのです。こういうも

のがどんどん出てくる。こういうのに一つ一つひっかかってその取り締まりもできぬような法律だったら、薬事法
なんかない方がいいのじゃないか。何のための厚生省か。本当に国民の生命と健康を守るという意味で、厚生
行政の中で薬務行政というのは非常に大事な立場にあるのじゃないかと思います。
これは確かに相当知恵を絞

っていろいろとうまいやり方をやっていますから、難しい面はあるかもしれませんけれども、これはぜひ弱腰にな
らないで、厚生行政しっかりしてもらわぬと困ります。
○森(幸)政府委員 先生の御指摘の点は、確かにそういう面はあろうと思います。

 それで、先ほど来ちょっと申しておりますように、これが薬事法に抵触する疑いがあることは事実でございま
す。そういうことがございますので、私ども厚生省、それから全国都道府県にも協力をいただきまして、これまで
本社が京都にございますので、そういう関係で本社を所管する京都府を通じて従来より指導を続けております

し、また私ども厚生省におきましても、薬効を標榜した販売行為は行わないようにというような指導は、これまで
も重ねて行ってきているところでございます。

 それからまた、各事業所の所在する各都道府県におきましても、実態の把握に現在努めておりますし、ある県

によっては警告書を送付するというようなことも行いながら、この指導を繰り返しているところでございます。
今後
ともそういうような意味では十分努力してまいりたいと思います。
○沼川委員 最近あった一つの具体的事例でお尋ねしたいと思いますが、本年の三月十六日に大阪府の衛生

部薬務課がこのサン・クロレラAという商品を販売していますところのインターナショナル薬効食品開発株式会社
大阪営業所長に対して薬事法違反である旨の警告を発したということを聞いております。これは当然厚生省の
担当課の方には詳細にわたる報告が届いていると思います。その内容と、それに対して今後どういう指導をして
いくのかお聞かせいただきたいと思います。

○森(幸)政府委員 今先生御指摘の大阪府がこの当該会社に行いました警告書の内容でございますが、これ
は六十二年一月二十二日から六十二年二月二十八日までの間調査をいたしまして、その結果といたしまして、
インターナショナル薬効食品開発株式会社の大阪営業所と日本クロレラ療法研究会大阪支部というのは、人
的、構造的、さらには機能的に一体性があるのではないかというようなことを前提といたしまして、この研究会の

大阪支部がクロレラ製品につきまして高血圧、糖尿病等に効果があった旨の体験談を報告し、かつ医薬品的な
効能、効果とともに、説明会の開催日時等を記載した研究会の「解説特報」なるチラシを各新聞折り込みによっ
て配布し、それを見て説明会場を訪れた消費者に、研究会大阪支部の相談員をしてクロレラの啓発というふう

に称してクロレラ製品を販売しているということになると、クロレラ製品について医薬品的な効能、効果を標榜、
また暗示してクロレラ製品を販売し、あるいは承認前の医薬品の広告をしているのではないかというようなこと
を指摘しているわけでございます。

 それで、この問題につきましては、そういう大阪府を初めといたしまして、ほかの都道府県でも、先ほど申し
ましたように、種々指導いたしておるところでございます。幸いにして最近この関係業界でも自浄努力といいま
しょうか、自主的にこういう問題を解決しようというような動きも出てきておりますが、厚生省といたしましては、

そういう各都道府県とも協力しながら、この関係の業者に対して粘り強く行政指導を続けていくということを考え
ております。
 それからなお、この行政指導で実効が上がらないというような場合には、また必要に応じまして関係省庁とも

十分連絡をとりながら、今後の対応を決めていくつもりでございます。
○沼川委員 確かに警告はされました。ところが、この業者は反省なんかさらさらないですね。警告されたって、
何の警告だと開き直っているわけですから。反省の余地なんか今のところ全く見られません、厚生省が何だとい

うような。何でおれが警告をされるんだ、おれは薬事法違反なんかしてないと開き直っているわけです。警告を
して、もし聞かなかった場合どうされますか。

○森(幸)政府委員 ただいま申しましたように、行政指導によってどうしても実効が上がらないというような場
合には、必要に応じまして関係省庁と十分連絡をとりながら、今後の対応をこれから考えてまいりたいと思っております。


○沼川委員 関係省庁と連携をとったって、その答えは出てこぬわけでしょう。答えが出ますか、関係省庁と連
絡とって。
○森(幸)政府委員 これは従来からもいろいろ御連絡はとっておるところでございますけれども、その辺につき

ましては、今後さらに十分その連絡の度を強めて、何らかの対応をしてまいりたいと思います。
○沼川委員 警察庁からおいでになっていますでしょうか。――いろいろ聞いていますと、本当に寂しい限りで
す、何か薬事法に限界があるみたいな。これだけ明らかに薬事法違反だ。どこから見たってこれは薬事法違反

です。警告すれば開き直って、文句があるなら裁判でも何でもぶてというような業者が放置されたらどうなるか。
同じ健康食品業界の人だって恐らく困っているのじゃないかと思いますよ、こういう人がいれば。まして今度は、
幅広い医薬品業界から見れば、こういう人がどんどん、現に警告されてからもチラシはその後もじゃんじゃん配っ

ていますよ。元気です、この人は。厚生省から指導を受けて全然反省なんかしていませんよ。その後もこのチラ
シは新聞の中に折り込まれて、元気いっぱい頑張っていますよ。
こういう姿を見ると、だれしもが恐らく思うので
す。あんなふうに食品で届け出て、そして医薬品まがいの販売で売れるんだったら、何も難しい医薬品の承認

なんか受けて――長いことかかって、莫大な金を費やして、やっと医薬品の承認を受けるようなことをやめて、
全部食品でつくって医薬品で売ればいい。しかも需要は幾らでもある。こういう業者がのさばり、薬事法がどうに
もならぬということになれば、私もちょっと寂しいような気がします。

 そこで、警察にちょっと御質問したいのですけれども、もちろん警察の場合は、国民の不安、願望にこうして便
乗して、こういう商法をやる薬事犯というのは、今までも相当厳しく取り締まってこられましたし、国民の間から、
こういう問題に対しては、特に警察に対して厳しい取り締まりの期待というのがかかっておると私は思います。そ

ういう中でいろいろなことをなさっておるわけですけれども、特に重点的に取り締まっていらっしゃる薬事法違反
の中にこういうのがあります。医薬品まがいの物品を使用することにより適切な医療の機会を逸してしまったも
の、また誇大な広告をし、また不当な経済負担を強いるものなどが挙げられておるわけですが、今私が申し上
げておるのなんかまさにそれに当たるわけですね。

 これを読んで私も疑問をたくさん持ちます。ちゃんと書いてあるところはちゃんと書いておるのですね。いろい
ろとこれを飲めと書いてあるけれども、小さい字で、「病気になったら、病院の診断を必ず受けること。」と書いて
あるんですね。そしてこの見出しの方には、「何年病院に通っても良くならない病気の方々、及び医師から見は

なされた方々に告ぐ」「あきらめるのはまだ早い!クロレラがある」これは裏を返して読むと、医者なんか行かな
いで私のところに真っすぐいらっしゃいと恐らく消費者は読むと思うのですよ。これがこういうチラシを見た場合の
一般消費者の思考だと私は思うのです。そういうところが実にうまくできているのですね。

 こういうことをやっておればどうなるかというと、先ほどから何回も問題になりました、医者に早くかかれば軽く
て済んだものが、こういう薬を飲んでいたために、いわば医療への機会を失ってしまった。結果的にいろいろと
問題が出た場合どうするのか。そういうのを守るための薬事法だと私は思うのです。しかも、「クロレラは薬効の

ある食品」です。薬効のある食品とはどういう食品ですか。「医薬品ではありません」、食品ならもっと書き方が
あると思うんですね。
 こういう問題に対して、薬事法に限界があるんだったら、警察が、国民の期待が大きいだけに、こういうのは

やはり放置しちゃいかぬのじゃないか。そういう意味で、警察ではどういう対応をされるかをお聞きしたいと思う
のです。
 さらに、ちょっともう一言つけ加えさせていただきたいと思いますが、厚生省が非常に慎重になっていらっしゃ

る背景に、この会社で過去に裁判を二回やっております。一回は昭和五十三年の一月、これは北海道で警察
が検挙しています。結果的にはこれは不起訴になっています。もう一つは昭和五十五年の六月に、これは愛媛
県でやはり警察が検挙しまして、裁判の結果起訴猶予処分になっております。ところがここの会社は反省するど

ころか不起訴になったことでこういうことを言っているんですね。検事局で当社の販売行為は違法でないと認め
られたと主張しているんです。私に言わせれば、これはまた一人よがりの誤解も甚だしいと思うんですね。むし
ろ警察が二度検挙したというのがこれは大問題ですよ。不起訴といったって、結局いろいろあるでしょうが、法

律は私は専門家じゃありませんから、間違っていたら訂正願いたいと思いますけれども、中身をいろいろと調べ
てみると、どうも証拠不十分ということで北海道の場合は不起訴になっています。ところがこの販売行為そのも
のに対して、検事局が認める権限が私はあるわけがないと思うのです。これはあくまでも裁判上の問題であっ

て、こういう行政面でこれを認めるとか認めぬとかいう権限があるわけはないのを、不起訴になったことを盾に、
うちの商品と販売方法は検事局が認めた、厚生省何言うか、警告なんか生意気なことを言うな、こういう言い方
でしょう。随分ばかにされたものだと私は思いますよ。ところがこの人は調子がいいんですね。この人が盛んに

取り上げているのは、不起訴の問題だけ取り上げているんですが、もう一つのは起訴猶予です。起訴猶予処分
をもう一つの愛媛県は受けているんですよ。これは法律に詳しい方ならどなたもわかると思いますが、起訴猶予
処分というのは真っクロということですよ。真っクロです。ただし、一般の刑事事件なんかで、これはまた専門家

からもお聞きしたわけですけれども、こういう起訴猶予になる場合は、初犯で情状酌量の余地もあるし、嘆願書
も出ている、再犯のおそれもない、本人も反省している、真っクロだけれども、今回だけは見逃してあげましょう
ということであって、これはクロかシロかというと真っクロです。自分の不起訴処分のときだけ調子のいいことば

かり言って、起訴猶予を受けている、しかも警察が二度も検挙している、そして警告を発すると、厚生省が何だ、
検事局がうちの販売方法は認めていると開き直られて、裁判をぶたれるのじゃないかと思ってびりびりして、そ
ういう心境もややあるんじゃないかと思いますよ。随分なめられたものだなと思うわけですが、こういった悪質な

るがゆえに、あえて私は会社名、商品を取り上げたわけでございますけれども、こういう問題に対して警察庁とし
てどういう対応をなさるのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
○泉説明員 薬事法に違反する健康食品の事犯につきましては、警察としましては、国民の生命、健康を守る

という観点から重点的に取り締まりを行っておるところでございます。取り締まりに当たりましては、身体に害を
及ぼすものや適正な医療の機会を失わせるもの、さらに人の弱みにつけ込むもの、人の願望につけ込んで暴
利をむさぼるなど、悪質なものに重点を志向して積極的に取り締まりを行っておるところでございます



 お尋ねの事犯につきましても、薬事法違反事件として取り締まるべき対象がどうかにつきまして、さらに実態を
把握した上、厚生省と関係機関との連携をとった上、適正に対処してまいりたいと考えておる次第でございます。

 なお、御質問にありました愛媛の事犯につきましては、北海道の事犯と若干その中身が異なっておりまし

て、自動販売機を利用して販売した事犯でありますが、それを撤去したことが主たる原因として起訴猶予処分に
なったというふうに承知しております。
○沼川委員 ぜひひとつこういう事例に対しては、警察庁で重大な関心を持って対応していただきたいと思うの
です。

 警視庁の取り締まりの対象の中にもう一つこういうのがございますね。薬事法の規則の枠をはみ出したいわ
ばアウトロー的存在、こういうものを重点的に取り締まる。これはもう答弁は要りませんが、言ってみればまさし
く薬事法の枠をはみ出したアウトローですよ、ここだけが頑張っているのですから。行政指導も聞かない。そう

いうものには、ひとつ国民の健康と命を守るという立場から、ぜひ警察庁として重大な関心をお持ちいただきた
いと思います。
 大臣、こういう問題に対して一言所見をお聞かせください。

○斎藤国務大臣 医薬品まがいもしくはそれに類似するような印象を与える行為をもって健康食品が販売さ
れる、こういうことに対しては、私も常日ごろから今先生がおっしゃるような気持ちを持っておりまして、大臣就
任以来、このことについて厳正に対処するようにということを命じたわけでごさいますが、そのときにいろいろ苦

労談というようなものも聞かせていただきまして、今先生からおっしゃっていただきましたように、現実はなか
なか難しい問題がございます。しかしこういうものを乗り越えて厳正な対処をいたしてまいらなければならない、
こう考えておるところでございます。

 何といいましても、そういった業者の指導を粘り強く続けていくとともに、また健康食品の自主的な規制という
ことで、公益法人であります財団法人日本健康食品協会というものができ、ここで自主的なお互いの規制を
行っておるわけでありますので、こういった法人に対する指導も強めてまいるということなども含めて努力をいた
してまいりたいと思います。

○沼川委員 大臣の御答弁をいただきましたけれども、私は大臣もちょっと認識不足のところがあるように思い
ます。今おっしゃった日本健康食品協会、こういった協会ができて自主規制をなさる、これは確かに私は歓迎す
べきことだと思うのです。ところが問題は、自主規制も間違えますと、かえって余計なことをするというような結果
になりかねないと思うのです。

 これはひとつ具体的な事例としてお聞きしたいと思いますが、確かに六十年四月に財団法人日本健康食品協
会が設立されて、現在厚生省の指導のもとに自主規格基準をずっと進めてこられておるわけです。そこで、今
私が指摘しております会社に関連してお尋ねしたいのですが、一つは、インターナショナル薬効食品開発株式

会社のサン・クロレラAという商品は、日本健康食品協会の認定を受けて、認定マークを発行されたと聞いて
おりますが、間違いございませんか。
○北川政府委員 先ほど先生がお示しいただいたその商品には、確かに認定マークを張ってございます。

○沼川委員 どういう検査で認定されたのか、また、特に表示、広告等についてはどういう基準を定めていらっ
しゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○北川政府委員 この健康食品問題は、先生御指摘のように、今本質のわからないものが非常に多いという

ことで、行政指導の一環として、こういう自主的な、言ってみればお行儀のよい商売をしてもらおう、こういうこと
で財団法人ができ上がり、その中に相当の専門家の委員会を設け、かなり客観的な目から見て、そこそこいい
というものについて協会が自主的に認定をしていこう、こういうことでございますが、ただいま御指摘の商品につ

いては、広告に非常に逸脱した点が強いということで、協会の信用を保持する上からも極めて好ましくないとい
うことで、非常に協会内部でも問題視をしておる段階にございます。何回か当該会社にも警告を発し、さらに、こ
の七月になってでございますけれども、健康食品の営業販売活動に関する倫理綱領というようなものを協会内

部でつくり、一応の手順を踏んで、こういうものを自主的に排除していきたいという動きを現在進めておるところ
でございます。
○沼川委員 確かに今御答弁のように、この協会の中には専門的な学識を持った先生方がいらっしゃる、そう

いう過程できちっとした審査がなされた、私もそう思います。ただ、これはあくまでも食品衛生上のテストですね。
もっとずばり言えば、食べて安全なのかというテストだけなんです。それだけのテストでいとも簡単に安全マーク
というのをもらってぺたっと張っている。ところが私が先ほどから言いますように、薬事法違反をやって行政指導

を受けてもやめないような会社が出すチラシでは、みんな食品なんかと思ってないのですよ、薬品だと思ってい
るのですよ。せっかくこういう協会をつくって安全マークまで出して規制するという意図はいいのですけれども、
結果としては、こういう消費者にいわば薬品というイメージを持たせて問題になっている薬を、財団法人健康食

品協会はこのマークを張って応援しておるのですよ、補助しておるわけですよ。これは犯罪で言うと共犯じゃな
いですか。しかもそれは厚生省の指導下にある協会ですよ。片一方では、薬務局が薬事法ではどうにも取り締
まりができない。こっちの方では、その商品に対して安全マークを配付して応援している。消費者がこの安全マ

ークを見たときに、ああこれは厚生省のそういった団体である健康食品協会の安全マークもついているというこ
とは、ここでうたってある薬効も全部正しいのだなというふうに、これはますます余計な信頼を与える応援団じゃ
ないですか。私が先ほど大臣は現場の認識不足ですよと申し上げたのは、健康食品の規制が、これをつくった

から、自主規制をやっておるからとおっしゃるけれども、あくまでも食べて安全だという検査であって、それをこう
いうものに張って薬品的な販売をやっている。これはちょっと問題じゃないですか。
○斎藤国務大臣 この件につきましては、厚生省といたしましても、当事者を呼んで直接指導をいたしたことも

何回かあるわけでございますし、またこれは私が先ほど申し上げました財団法人日本健康食品協会の会員で
ございますので、協会としてもこれまで二回ほど呼んで指導いたしておるようでございます。厚生省としても、協
会に対して、その会員のそういった行為について、協会全体としての信用なりあるべき姿なりということから考え

て厳正に対処するように指導をいたしておる、そういうことを先ほど申し上げようといたしたわけでございます。
○沼川委員 厳正に指導するとおっしゃいますけれども、協会に入っている団体はほかにもたくさんあるわけで
すね。たった一つのこういうもののために恐らく相当迷惑されているのではないかと思いますよ。しかも今度は

薬事法に照らして片一方では大問題になっている。これはどうかしてもらわないと困ります。ぜひひとつお願いし
たいのは、安全マークはやめさせていただけませんか。いかがでしょう。
○北川政府委員 今の時点でごらんになれば、そういう矛盾の状態があるわけでございますけれども、そういう

状態が続いていくということ自体協会の社会的信頼を失うことになりますので、協会の内部でもこの問題を非常
に深刻にとらえておるわけでございます。私どももそういう矛盾の状態を早く解決するように誠心誠意指導をして
まいりたい、こういうふうに考えております。

○沼川委員 こういうのはすぱっとやってほしいですね。本当に協会自体これは信頼をなくします、こういうのが
認められたのじゃ。また先ほどから申し上げますように、たった一人のためにみんなが迷惑をこうむる。これは即
やってほしいと私は思います。
 先ほどからも申し上げたように、安全性試験が自主的に行われるということは本当に歓迎すべきだと思いま
す。しかし、中途半端な毒性観察で終わるようだったら安全性を調べたなどとむしろ言わない方がいいのじゃな
いか、こう私は思うのです。それこそ逆に安全性の軽視になると思うのですね。安全性の試験というのは、近代

毒理学で長年の経験的、実証的検討の結果、現在ほぼその手法が固まっておりますが、それに従って一般毒
性、これは短期、長期に分かれるわけですが、及び各種の特殊毒性試験のガイドラインがつくられて実施され
ているわけです。添加物、残留農薬などの微量な有害物について安全性を確認するためにいかに多くの年月

と費用をかけて試験が行われているか、これはよく御承知じゃないかと思います。本当はそこまで厳しいのです
よ。短期間でぱっとやって安全ですと言う、そして安全マークがつく。結構なことのようだけれども、裏を返せば、
もしそれが空手形だった場合に迷惑をこうむるのは消費者です。いいかげんな試験だったら、こんな安全の自

主規制をしたなどとむしろ言わないでもらいたい。それほどこれは大事な問題になっていくのじゃなかろうかと思
います。まして、先ほどから言いますように、薬もときに販売するのだったら、医薬品の承認を受けろとこの会社
に言ってくださいよ。そんなに効く薬だったら受ければいいのですよ。医薬品としての手続を踏むならば、何も厚

生省としょっちゅうけんかをやらなくても、堂々と薬で売ればいいのですよ。この辺で薬事行政がきちっとできな
いものか。きょういろいろと御答弁も伺って非常に歯がゆいものを感じます。こういう問題も含めて、また北川生
活衛生局長の方にもぜひお願いしたいのですが、一日も早くこの問題の決着をつけないと、これは大きな問題

になることを私はあえて警告しておきます。
 そこで、一つの提案なのですけれども、これは私ぜひ申し上げたいと思っておるのですが、ここに出てきます
ように、「クロレラは薬効のある食品であり、医薬品ではありません」こういう言葉がひっかかるわけですね。で

すから、食品であって何となくそういうふうに消費者から見て医薬品的にとられるようなものが多いわけですか
ら、ここの中にこれはあくまでも食品であって薬品と同じような効果を期待してはいけませんよというのをむしろ
張ったらどうですか。いかがでしょう。

○北川政府委員 先生の今の御指摘の点については、そういうことを表示することが正しいかどうか今ここで
直ちに判断ができませんが、改めて検討させていただきたいと思います。
○沼川委員 たばこだって「吸いすぎに注意しましょう」。これとはちょっと違いますけれども、ほうっておけば幾

らでも医薬品的広告をやっていくわけですから。食品というのはどこまでいっても食品です。食品として考える場
合は何といっても新鮮度です。嗜好があります。食べておいしいものでなければ意味がないのです。栄養価の
高いものじゃないとだめなのです。

 ただ、こんなことを言うとヤクルト関係の方から怒られるかもしれませんが、確かにたんぱく質が多量に含まれ
ております。これが未来の商品として注目を浴びたのはたしか戦後だったと思います。御存じのように、戦後は
たんぱく源が足りないときです。脚光を浴びたのは当然だと思います。しかし、今日たんぱくを求めようとしたら幾

らでもあるのですよ。自分の好みに合ったものが幾らでもとれるのです。そういう中で、たんぱくが果たしてどう
かということをいろいろと主張される学者もいらっしゃいます。また経企庁の調べでは、ホウレンソウとこのクロレ
ラを比べてみたら、栄養価はホウレンソウの方がはるかに高かったというデータをここにもらってきております。

反論もあるでしょう。また、ここでおっしゃるように、神秘的な面もひょっとしたらあるかもしれません。そういうこと
は別にしても、これは食品ですから、食べ物というのは、大量に食べたら下痢するかどこか故障が起きます。腹
八分というのが食べ物の場合の鉄則です。濃縮してあります。濃縮してあるからといってむやみやたらに食べた

らどうなるか。恐らく下痢をしたりいろいろな副作用が出てくるのは当然です。ですから、こういう問題を踏まえ
て、今後高齢化社会の中で国民の皆さんが――健康というとみんなだまされるのですよ。だから健康は商売に
なるとはっきり言い切る業者が何人もいます。そういう中でこういう問題がきちっとされないことは、今後問題で

ありますだけに――薬事法の解釈の中でできると思います。また警察の力をかりてもできると思います。当面最
初にやれることは、健康食品協会からの指導を素直に守らない業者は、本当にマークの剥奪をする、こういう措
置をぜひやっていただきたいと思いますが、大臣の御決意を。一言で結構です。

○斎藤国務大臣 厚生省は厚生省としてやられるべき指導を徹底的にいたしたいと思いますし、また関係省
庁とも連絡をとって最善の努力をいたしたいと思います。

 もう一つ、一般の国民の方々にも十分御理解をいただいていくということも非常に大事だと思いますので、そ
ういう意味からの啓発活動ということにも力を入れてまいらなければいけないと思っております。

トップぺ−ジへ

大きくなきゃあ