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Q;相続分の指定を受けた相続人は、法定相続分を下回っても、自己の遺留分を侵害されない限り、指定された割合に従って相続財産を取得できるにとどまる。
A;○
相続分の指定があった場合には、法定相続分に関する規定(民法900・901条)が排除されるので(902条1項本文)、法定相続分を下回る指定を受けた相続人は、遺留分を侵害されない限り、その指定された割合に従って相続財産を取得できるにとどまる。
相続分とは、共同相続に場合において、各共同相続人が遺産(積極財産と消極財産からなる相続財産の全体)を承継する割合をいいます。
相続分の定めは、被相続人の遺言による指定(指定相続分)があればそれが優先し、指定がないときは法律の規定(法定相続分)による。
法定相続分の割合
各相続人の法定相続分の割合は、相続人の組み合わせによって異なります。
(1)子と配偶者とが相続人である場合
子と配偶者の相続分は、それぞれ2分の1です(900条1号)。
子が数人いるときは、その2分の1をさらに均等に分けるのが原則でです(民法900条4号本文)。
ただし、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1である(900条4号但書前段)。
例題
1、夫Aの遺産3000万円を妻Bと二人の(嫡出)子CDが相続。
妻B; 3000万円×1/2=1500万円
子C; 3000万円×1/2×1/2=750万円
子D; 3000万円×1/2×1/2=750万円
2、夫Aの遺産3000万円を妻B,二人の嫡出子CD,及び妻以外の女性Eとの間にできた非嫡出子F
(認知済み)が相続。
妻B; 3000万円×1/2=1500万円
嫡出子C;3000万円×1/2×2/5=600万円
嫡出子D;3000万円×1/2×2/5=600万円
非嫡出子F;3000万円×1/2×1/5=300万円
*非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1ですから、非嫡出子と嫡出子の相続分の比は1:2:2になるので、
子の間における相続分はFが5分の1、CとDが各々5分の2になります。
判例 最高裁大法廷決定平成7.7.5
民法900条4号の但書の規定の立法趣旨は、嫡出子の立場を尊重するとともに「被相続人の子である非嫡出子の立場にも、配慮して、非嫡出子に嫡出子の2分の1の法定相続分を認めることにより、非嫡出子を保護しようとしたものであり、法律婚の尊重と非嫡出子を保護の調整を図ったものと解され」、現行民法が法律紺主義を採用している以上、右のような本件規定の立法趣旨にも合理的根拠があり、
「本件規定が非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1としたことが、右立法理由との関係で著しく不合理であり、立法府に与えられた合理理的な裁量判断の限界を超えたものということはできないのであって、本件規定は、合理的理由のないさべうとはいえず、憲法14条1項に反するものとはいえない」。
(2)直系尊属と配偶者が相続人である場合
配偶者の相続分が3分の2、直系尊属の相続分が3分の1です(900条2号)。
直系尊属が数人いるときは、それぞれの相続分は平等です(900条4号本文)。
例題
1、夫Aの遺産3000万円を妻Bと、Aの父母GHが相続。
妻B; 3000万円×2/3=2000万円
父G;3000万円×1/3×1/2=500万円
母H;3000万円×1/3×1/2=200万円
(3)兄弟姉妹と配偶者が相続人である場合
配偶者の相続分が4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1です(900条3号)。
兄弟姉妹が数人いるときは、その4分の1をさらに均等に分けるのが原則です(900条4号本文)。
ただし、半血の兄弟姉妹の相続分は全血の兄弟姉妹の2分の1です(900条4号但書後段)。
例題
1、夫Aの遺産3000万円を妻B及びAの兄Iと姉Jが相続。
妻B; 3000万円×3/4=2250万円
兄I;3000万円×1/4×1/2=375万円
姉J;3000万円×1/4×1/2=375万円
2、夫Aの遺産3000万円を妻Bと、Aの全血兄弟IJ,およびAの父が前妻Kとの間にもうけた半血兄弟Lが相続。
例題
妻B; 3000万円×3/4=2250万円
全血兄弟I ;3000万円×1/4×2/5=300万円
全血兄弟J;3000万円×1/4×2/5=300万円
半血兄弟L;3000万円×1/4×1/5=150万円
*半血兄弟の相続分は全血兄弟の2分の1ですから、半血兄弟と全血兄弟の相続分の比は1:2です。したがって、上野例でLIJの相続分の比は1:2:2:ですから、兄弟姉妹間のおける相続分はLが5分の1、IとJが各々5分の2です。、
(4)代襲相続分
代襲相続人の相続分は、その員数にかかわりなく、被代襲者の相続分と同じです(901条1項本文・2項)。
数人の代襲相続人間の割合は法定相続分によります(901条1項但書・2項)。
(法律相談)
Q;私は母の手一つで育てられましたが、母が死ぬ際、私に父がいることを聞かされました。そこで、父に会いに行ったところ、父は2年前に亡くなっていました。父は相当の資産家であったらしく、20億円の遺産を残して死亡したそうです。父には、奥さんとお子さんが2人いるそうですが、私は父の遺産をもらえるのでしょうか?
A:あなたの場合、お父さんから認知されていなければ、お父さんとの間に父子関係は生じません。
そこで、あなたとしては、遺産をもいたいのであれば、まず、死後認知の訴えを提起する必要があります。
死後認知の訴えは父の死亡の日から3年を経過した場合、提起できませんが、
あなたの場合はまだ3年を経過していないので、訴えを提起することはできます。
訴えにより、認知を得た場合、あなたは相続人であったことになります。
ただ、あなたはいわゆる非嫡出子であるため、その相続分は、嫡出子の2分の1ということになります(900条4号但書)。
したがって、あなたの相続分は、2億円となります。
基礎知識
今回の相談では、民法787条、900条4号が問題になります。
また、この場合の相続については、妻2分の1、嫡出子5分の1、非嫡出子10分の1になります。
第787条[認知の訴え]
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。
但し、父又は母の死亡の日から3年を経過したときは、この限りではない。
(注釈)
認知を受ける子自身が原告となるのが原則である(人事訴訟手続32条1項・3項)
指定相続分とは
被相続人は、遺言で、法定相続分と異なる相続分の割合を指定し、または第三者に指定の委託をすることができます(902条1項本文)。これを相続分の指定といい、指定によって定まる相続分を指定相続分と言います。
被相続人による指定及び第三者への指定の委託は、必ず遺言でしなければなりません。
委託を受けた第三者が行う指定については、特別な方式はありません。
(1)基本的効果
各共同相続人は、指定された相続分に応じて、被相続人の権利義務を承継します。
委託を受けた第三者のによる指定は相続開始後に行われるが、この場合も指定の効力は相続開始時に遡及します。
(2)遺留分を侵害する指定の効果
被相続人または第三者は、遺留分に関する規定に違反する指定をすることができません(民法902条1項但書)が、違反した場合の効果はについては明文の規定はありません。
判例(最判昭37.5.29)及び通説によれば、
当該指定は当然に無効ではなく、被侵害者による遺留分減殺請求(1031条)の対象となります。
(3)共同相続人の一部についての指定
相続分の指定が共同相続人の一部の者についてだけなされた場合には、他の共同相続人の相続分は法定相続分による(民法902条2項)。
(4)相続債務との関係
<相続分の指定があった場合は、その効力が相続債務にも及ぶかについては争いがあります>
多数説は、相続分の指定によっても相続債務の承継割合は、法定相続分の割合によることになり、
その変更は生じないと考えています。
なぜなら、債務は債務者である被相続人が自由に処分することはできず、それには債権者の承諾を要し、
債権者は、被相続人の相続分の指定が成されても、各相続人に対して法定相続分による履行の請求をなすことができるからです。
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*参考文献
東京リーガルマインドC BOOK民法X親族相続