魚菜王国いわて

北朝鮮とブッシュ(「噂の真相」8月号より)

どういうわけか、最近の「噂の真相」は、アメリカ批判が多いですね。
いや、多すぎる、と言っても過言じゃないような気がします。
以前は、小林よしのり(ゴーマニズム宣言、戦争論などの漫画作家。その昔は少年ジャンプにも確か東大一直線だったかなあ、書いていた)を散々な目に遭わせて、拍手喝采されています。
まあ、あの方は、喧嘩や責任逃れのオンパレードですから、「噂の真相」に取り上げられる格好の材料でしたね。
最後は、「噂の真相」側のほうが呆れてしまって、相手にしなくなりました。
その後は「週間金曜日」」のホンカツこと本田勝一を相手に、リクルート接待の追及をしています。
これもスッタモンダいろいろありましたね。

で、前に、副島隆彦さんが、彼のサイト「副島隆彦(そえじま・たかひこ)の学問道場」で暗に「噂の真相」を批判していました。
権力批判をするメディアは、敵対する権力から利用されている、と。
で、最近の副島隆彦さんの著作「金融鎖国」によると、金融自由化にともなう不良債権処理は、実は、ミスター円こと榊原英資氏を手先として使い、アメリカが仕掛けたもの、その結果、日本の金融資産は、アメリカのハゲタカファンドに乗っ取られようとしている、と書いています。
それには伏線があって、金融ビックバンを強要されていた日本で唯一抵抗していたのが、大蔵省。
大蔵省はスキャンダルなどで潰されましたが、その種を蒔いたのはアメリカらしいんです。
マスコミ向けの告発ファックスはどういうわけか、すべてアメリカ大使館周辺だったといわれるのがその所以です。
で、大蔵スキャンダルの追求急先鋒が、例によって「噂の真相」だったのです。

もしかして、岡留編集長は、この「金融鎖国」を読んでいるのではないでしょうか?
利用されたとあらば、「にっくきアメリカ」となるわけです。
しかも反権力雑誌ですから、最大の権力はアメリカ、と見据え、攻撃しているのかもしれません。
私は7年前から「噂の真相」を読んでいるわけですが、過去、外国の権力批判記事が掲載された、という記憶はありません。

それでは本題。

最初に、トップ特集記事の「北朝鮮『万景峰号』騒動で分かった米国主導の危険な世論操作の内実」ですが、要約すれば、今の「万景峰号」は無害で危険ではなく、危険をあおり世論作りをしてさまざまな米国主導の法案を国会で通す、という親米連中の思惑を書いたものです。
今の北朝鮮との緊張関係からいって、「万景峰号」で危険な行為に及んだならば、完全に「万景峰号」の入港拒否となります。
それほどキム・ジョンイルだって馬鹿じゃない(きっと)。
危機をあおればあおるほど、有事とか危機に対する法案は通しやすくなりますし、こうなると、反論する側は不利になります。
危機をあおるのは簡単。
誰にでもできます。

で、似たような危機のあおり方を、ラムズフェルドがアメリカでやった、という記事が同じ号に書いてあります。
題名は「イラク開戦でデッチあげに大成功したラムズフェルド国防長官の謀略情報組織」。
ラムズフェルドは、情報操作機関をOSIとOSPの二つを持っており、そのOSPが「濃縮ウランの精製用の強化アルミニウム管をイラクが中央アフリカのニジェールから輸入していた」との情報を流し、それが専門の部局から信憑性に欠けると判断されると、今度は「信頼できる情報機関によればイラクが45分以内に生物化学兵器を展開できる」という情報を流し、ブッシュを介して、イギリスのブレア首相を開戦へと傾かせたようです。
ところが、未だに大量破壊兵器は見つからない。
情報はウソだった。

「噂の真相」は、「アメリカは戦争をしたい国である」ということを証明する雑誌に成り下がってしまった(笑)。

ブッシュについて、佐高信さんは、コラム「筆刀両断!」で辺見庸さんの言葉を引用しています。
「クリントンはやや下半身に問題のある大統領だったが、ブッシュは上半身に問題のある大統領である」
と。
つまり、「ブッシュはバカ」と言っている(言いすぎ?)。
ろくな英語もできない、つまり、自国の国語が満足でない大統領とはよく言われるが、それより以前に、頭の構造がおかしいのだろう、きっと。
これほどひどく言われた大統領は、他にいないかもしれません。

こんなひどい大統領を擁するアメリカからみれば、この東アジアに干渉することも普通のことであり、それゆえ、彼らは、ここを「極東」と呼びます。
そして、その番犬となっている日本、いや日本政府首脳はもっとバカかもしれない。
以前「噂の真相」誌にコラムをもっていた姜尚中さんは、そのことを「メディア異人列伝」で次のように語っています。文章を引用します。

「いま韓国の世論の大半は、金大中以来の対北朝鮮政策=太陽政策を支持している。スキャンダルがあり、廬武鉉政権もいろいろ問題を抱えているけれども、韓国の世論は『やっぱり対話でなければいけない』と考えている」
日本のメディアは重大なことをいくつか見落としている、と姜さんはいう。ひとつは、韓国内で対北強硬策を主張する人々は少数派であり、しかもその多くは反日派でもあるという事実だ。また、太陽政策とは単に北朝鮮に対してどうするかだけでなく、対日政策も含めてのものだ、という点である。「だから、いま拉致問題で日韓が結びつくということは、北朝鮮の問題が終われば、日韓関係が危うくなるということです」
ここで姜は「括弧付きで」と断りながらも「国益」という言葉を用いる。「金大中以来の政策をバックアップしたほうが、日本の『国益』にかなうんですよ。いま声高に(対北朝鮮強硬策を)いっている人が、いちばん『国益』を踏みにじっている」
(「噂の真相2003年8月号p77)

こんな具合で8月号は、北朝鮮とブッシュアメリカの話題てんこもりでした。
くだらない対北強硬論よりも、本当の『国益』を考えろ、ということですね。
(2003年9月7日)



噂の真相関連へ

トップへ