魚菜王国いわて

野菜汚染

野菜が、化学物質に汚染されています。
これは、アメリカの話ですが、この日本はどうなのか?
さあ、それは調べてないので、私はわかりません。

「アメリカのレタスは国防優先でロケット燃料まみれ」だそうで、これは、今号「WORLD・WATCH」の記事の一つです。
問題の有害化学物質とは、過塩素酸塩であり、ロケット燃料に含まれています。
その歴史は、第二次世界大戦にさかのぼり、過塩素酸塩には、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸コバルトや、その他多くの塩類があります。
これらの物質は、主に、推進剤や照明装置や花火を含む爆発性物質のための酸化剤として開発され、最近では、自動車のエアバッグ装置など、さまざまな製品に使われています。
問題は、これらの有害物質を、土中や地下へ垂れ流し処分していることであり、それらがカリフォルニア一帯の水を汚染しているのです。
この事実は、2002年12月16日付の「ウォール・ストリート・ジャーナル」誌に掲載され、日の目をみました。
過塩素酸は、人体の代謝機能やホルモン分泌異常、成人のガン、胎児の神経系や骨格の発達障害といった甲状腺機能の異常に対して、影響を及ぼす可能性が指摘され、知能指数の低下、精神発達遅滞、聴覚障害、言語障害、運動能力障害、さらに、子供の学習障害や注意欠陥障害にも影響があるらしい。
ラットを使った実験では、非常に初期の段階で、腫瘍が発達することが明らかになった、とされています。

その後、これらの有害物質を排出した企業(すなわち軍事産業)は、国防総省の保護の下に、垂れ流し処分を続けました。
当地の飲料水の過塩素酸濃度、そして、それらの許容限度も、さまざまな団体で違う見解を出し、同じ政府内の、国防総省と環境保護庁の許容限度すら、大幅に違っています。

上記の人体に対する影響は、飲料水のみに限った話であり、実は、もっと深刻なことが起きています。
それを表す文章を転載します。

レタスの葉は与えられた水に含まれる過塩素酸塩を最大で95%まで吸収し、蓄積することが明らかになった。つまり、水の汚染濃度が低くても、レタスの葉が、成長するにしたがって非常に高濃度の過塩素酸塩が蓄積されてしまうのである。
(「WORLD WATCH」2003年11/12月号p30)

つまり、カルフォルニア産のレタスは、ものすごい過塩素酸塩を含んでいるわけです。
そして、次の文章を読めば、もうそこはアメリカではなく、暗黒の世界の話ではないか、と勘違いしてしまうほどです。

外部評価に関するその後の状況について、環境保護庁は決して公表しようとしない。米国産の作物の過塩素酸塩汚染に関して新事実が明かされて数週間のうちに、ブッシュ政権は環境保護庁の研究者や科学者が過塩素酸塩について報道関係者と話をすることを禁じた。興味深いことに、このような事態の中、クリスティ・トッド・ウイットマン環境保護庁長官が辞任している。この件について求められていた情報開示は実現しないままに終わった。ウイットマンの地元であるニュージャージー州は、過塩素酸塩による水汚染の発覚によって脅かされている数多くの州の一つである。さらに「ガーデン・ステイト(Garden State)」と呼ばれるニュージャージー州は、全米で指折りの野菜の産地であり、また過塩素酸塩の生産地でもある。
カリフォルニア州選出のロイス・キャップス議員は、レタスに関する二つの調査結果が発表された直後に、57名の下院議員と共にホワイトハウスに書簡を送り、状況の説明と環境保護庁に課した報道禁止令の撤回を求めた。この中でキャップス議員は、以下のように述べている。「過塩素酸塩による汚染は43州、数百か所で報告されているか、あるいはその可能性があると言われている。テキサス、カリフォルニア、アリゾナ、ネブラスカ、アイオワ、ニューヨーク、メリーランド、マサチューセッツをはじめとする19の州で、100を超える飲料水の水源が汚染されている。(中略)環境衛生と安全に責任を負う機関が、過塩素酸塩のような潜在的な危険な物質の汚染拡大について発言を制限されるというのは、非常に懸念すべきことである。アメリカ人は、自分たちのために調査研究を行う科学者たちから情報を得る権利がある。ブッシュ大統領は、この報道禁止令を速やかに解除するよう取り計らうべきである」
ホワイトハウスからの応答はなかった。
(前掲書p33)

この筆者は、ジーン・エアーズさんという方で、現在フロリダ在住です。
元はカリフォルニアに住んでいましたが、スモッグが深刻で、子供のアレルギー症状を非常に懸念していました。
そこでは、地中海ミバエが発生し、マラソンという農薬をヘリコプターで、上空から全域に散布されました。
このマラソンが、車にかかると、塗装が剥がれるそうですが、しかし、州の農業委員が、テレビで、グラスに入ったマラソン農薬を飲み干し、安全だと宣伝していたそうです。
これを機に、子供のため、ジーン・エアーズさんは、フロリダへ移住しました。
ところが、非情にも、地中海ミバエはフロリダにも現れ、状況はカリフォルニアと同じになりました。
さらに不幸なことに、彼は甲状腺機能不全に陥りました。
その奥さんや兄弟も甲状腺機能低下症になり、その後、「ウォール・ストリート・ジャーナル」誌の記事で、その原因がわかったわけです。

アメリカという国は、いつもこうなのかもしれません。
今回のアメリカBSE問題でも、日本の検査体制からみれば大甘であり、政治的圧力で日本へ輸出しようとしています。
いや、アメリカだけじゃなく、中国も信用できたものではありません。
SARSや鳥インフルエンザも、事実隠蔽が明らかになり、深刻になってから発表するなんて非道すぎます。
アメリカも中国も、これじゃ、大して変わりありませんね。

それにしても、これはある意味、自然の、人間に対する報復と言えるかもしれません。
人間が汚染物質を自然界にばら撒き、それが、人間にとって絶対に必要な野菜に蓄積され、それを摂取せざるを得ない。
野菜だけじゃなく、家畜類もそうですし、海洋で長生きする動物も有害化学物質を蓄積しています。
しかし、何といっても、食物連鎖の最上位に位置する人間様が、もっとも蓄積しているんでしょうね、きっと。
(2004年2月6日)



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