魚菜王国いわて

TAC配分の欠陥

平成18年度TAC配分において、北海道の沿岸漁民と水産庁とで、かなり対立しているようです(TACについては、「漁師のつぶやき」の「TAC制度」参照)。
週間水産新聞」の「来年度スケソTAC削減案に生産者『納得できぬ』」という記事が載っていますが、これだけだと、何を言っているのかわからないと思います。
私はこの新聞をとっていますから、ここで概要を記しておきたいと思います。

スケソウダラの18年枠は、17年枠に対し22%減の約22万トンに削減されます。
資源量の低い水準が数年続いているための措置です。
ここまでは、しかたがないかなあ、と誰しも思います。
ところが、沿岸漁船枠(知事管理分)と沖合底曳網漁船枠(大臣管理分)の削減率に、開きがあり、沿岸漁船枠の削減率は38%、一方、沖底漁船のそれは9.4%と、沿岸漁船枠だけが大幅に削減されています。

そこで、北海道の各漁協の専務の意見というのが、実に的を得ているのです。
その中から、2人の意見を引用します。

浜野節夫・ひやま漁協専務の話(抜粋)
配分の根拠とされる漁獲実績は、魚体の大小にもよる。桧山海域の延縄漁は5歳以上の大型魚が対象。漁獲量が少ないから資源が少ないとは一概にいえない。1〜4歳魚を獲る道北の沖底の実態も含めて資源管理するべきだ。

本間敬次・いぶり中央漁協専務の話(抜粋)
沿岸漁業者は網数、長さ、目合いなどを規制し資源を保護しながら獲っている。かたや沖底はどうなのか。疑問視される中で実績をもとに増枠するのは理解できない。
(2005年12月12日付「水産新聞」p1)

岩手に限らず北海道でも、沖底船に対する沿岸漁民の目は、同じなんですね。
岩手の沖底船なんか、TAC枠を消化すれば、他の県からその枠を持ってきて、スルメイカ(スルメイカは昨年とまったく同じTACです)やスケソウダラを獲っています。
沖底船の各県枠というのは、実は公表されてなく、県に聞いても知らない、といいます。
まるでバカにしてますよね。

水産庁って、いや、水産庁に限らず、一般のエライ人たちは、他からまっとうな論理を主張されても、あえてそれを無視するクセがあるんじゃないでしょうか。

なお、水産庁が提案している平成18年分のTACは、「JFA HOME PAGE」の「平成18年分(17.11.24)」に、詳しく書いてありますが、はっきりいって、何を書いているんだか、よく読まないと理解できません。
しかも、数字も間違っています。
まったくもう!
参考にもならないじゃないですか!
(2006年1月29日)

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