あとがき




 世の中、びっくりさせられる事件が頻繁に起こっている。というのも、これは、現在が通信情報社会だから余計にそう感じるのだと思う。もし、テレビやラジオ、インターネットなどなかったら、事件があっても知らなかったことだろう。
 テレビ、ラジオ、新聞、雑誌に至るまで、核発電事業者たちの広告が行き渡っている。これにより、唖然とさせられる核発電政策の中身が、今まで伝えられることはなかった。その理由として、各メディアの報道担当、社会担当、あるいは政治担当者らの勉強不足もあっただろう。しかし、広告費用をばら撒いている効果は、素晴らしく効き目があるようだ。
 青森県で核燃料リサイクルの反対運動が盛んだった頃、残念ながら、ボクの棲む隣県岩手には、ほとんど情報が入ってこなかった。この情報封鎖は見事というほかない。遅ればせながら、これに一石を投じたのが、「三陸の海を放射能から守る岩手の会」である。青森県での最初の反核燃運動を第1次とすれば、今回は第2次反核燃運動ということになる。その先駆けとなった「三陸の海を放射能から守る岩手の会」は、インターネットを存分に活用し、既存の反核団体と協力し合い、運動を全国展開した(岩手県内ではさらに、「豊かな三陸の海を守る会」という組織が、県内の全自治体に足を運び、各議会へ問題提起している。この人たちのパワーも凄い)。

 ボクは、ずっと以前から核燃料リサイクルを知っていたわけではない。事を起こすにはきっかけが必要であり、その源流は「三陸の海を放射能から守る岩手の会」にある。自然豊かな岩手で生活してきた人間にとって、彼らの告発は強烈だった。それから、全く知らない世界の勉強が始まる。

 インターネットの出現によって、誰でも情報発信でき、誰でも閲覧できるようになった。これこそ公共の利益であり、大きなベネフィットである。おかげでボクも勉強することができ、こうやってWebサイトを仕上げることができた。これを書くにあたって、岩手で講演してくださった、水口憲哉先生(東京海洋大学名誉教授)に感謝する。そして、特に、六ヶ所再処理工場を止めるため、人生の最後を賭けてくださっている、永田文夫先生(三陸の海を放射能から守る岩手の会世話人)に感謝する。




2008年2月24日
コスモクリーナー




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