Column

   回顧録B誠実
 前の会社は随分ずさんな所でした。入社そうそう引継ぎなし。それどころか、前任者は関係書類を全部燃やして退職していたのです。受発注台帳なし・見積書控えなし・客層向け価格表なし...担当者ベースの会社でしたから非常に困りました。ある日、メーカーから品物が届いても何処の物件かが分かりません。また、お客さんから納期確認が来ても何も分かりません。そもそもお客さんの誰に会うべきかが分からない状態だったのです。その後、お客さんに頭を下げて一から訊きなおし、各メーカーへも問い合わせをして対応しました。前任者の残務では随分お客さんには叱られました。特注品を考えれば、前任者のしがらみがなくなるまで1年程掛かりましたね。しかし徐々に信頼を得て、自分のペースで仕事ができるようになったときは嬉しかったのを覚えています。
 暫くしてからそれらの原因が分かりました。社内に陰険ないじめが蔓延していたのです。また成績不振に陥ると一方的な転勤命令の存在もあったようです。だから会社を辞めるときは、自分のまとめた書類を「残してやるものか」となったのでしょう。今にして思えば、別な所の所長が会社を辞めると言い出して、私の勤務している所の焼却炉で沢山の書類を燃やしていたのも理解できます。
 またこのような不法行為を会社として黙認していたのは、不正の弱みでも握られていたのでしょう。今にして思えば思い当たる節が多々あります。
 私は、その会社で4年間の営業職を経験し、その後ある所に転職しました。それから数十年...来年3月末日をもって定年退職です。過ぎてしまえば早かったですね。
 
PS.
 私は引継ぎをして退職しました。後任者へは同行引継ぎをしましたし、書類もすべて残してきました。悪循環は誰かが断ち切るべきなのです。
 
 私が退職の挨拶で伺ったとき、「〜さんが会社を辞めるなら、取引を止めるかなぁ...」と言ってもらえた会社が数社あったことが今でも心の財産になっています。
更新日時:
2018/12/31

PAST INDEX FUTURE

Home Profile 武道 Column ● Life Column Link Page 開祖語録 Collection