随分前に営業社員をしていたときの話しです。いつもなら絶対に注文をくれないA社の担当者が、血相を変えて注文をしてきました。何でも精度の高いベアリングが欲しいとのことでした。あのお方は、確か「他で都合がつかない緊急品しか注文をして来ない人」だったので、一応探す振りをして30分程放置してから電話連絡を入れました。
「〜さん、今回の件は色々な会社にも問い合わせをしたでしょう」
「そうだよ。お宅なら何とかならないかなぁ?」
「残念ですが無理でした」
「......」
今だから言いますが、当社倉庫に偶然にも在庫があったのですが届ける気にはなりませんでした。冗談じゃない気分でした。
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とある日、B社から緊急の注文が入りました。Vベルト1本でしたが、本気で探して数十キロ先の会社まで届けたことがありました。それはたった数百円の売り上げでしたが価格の問題じゃなかったのです。たとえ業者であっても、日頃から認めてくれていたからでした。
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「買ってやっているからお前の会社はあるんだぞ」的な人間には応えたくありませんね。「業者の方々のお蔭で当社も随分助かっています」という言葉が心に響きます。やはり人と人との繋がりは気持ちですよ。
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