「ははははは・・・・・・・・・・・・・・」
「くすくすくす・・・・・・・・・・・・・・・・・」



およそ1時間。

何を話すでもなく、ひたすら笑いあっている2人の名は
シリウスとリーマス。

親友同士である2人が何故・・・・こんなふうに腹の探り合いのような笑いあいをしているのか・・・


それは本人達しか知らない。



戦う 2



「ねー、2人とも・・・・ソレかなり怖いんだけど・・・・・」




庭の手入れをやり終えたが、ベランダから上がってきて
向かい合いに座っている2人の側面のソファに座った。




「リーマスは来るなり人のこと追い出すし・・・シリウスも何なの、その引き攣り笑顔。ぶっちゃけキモい」
「狽ォもっ・・・!?(ガーン」
「シリウス。やっぱり君、尻に敷かれてるんだね」



リーマスは温和な声でシリウスに笑いかける。

だが、その笑顔はハリーに見せていた先生面ではない。
学生時代にお馴染みの胡散臭い笑みだ。



「それより、私がいつ君を追い出したのか聞いてもいいかい?」
「玄関に入るなり・・・『シリウスと男同士の大事な話があるんだ』って言ったのは何処のどいつだ」
「確かにそう言ったけど、それはが気を利かせてくれたんじゃないか」
「くっ、減らず口叩きよって・・・」



悔しそうに顔を歪め、リーマスを睨むが
効果のほうは0。
変わらぬ笑顔が返されるだけだった。



「んで、その”男同士の大事な話”とやらは終わったの?」
「それがまだなんだよ。シリウスがこの通りでさ」
「この通りって・・・・・拗ねて何も喋らないとか?」



ちらりと横目で様子を伺ってみれば
不機嫌な眼光のシリウスと眼がかちあった。



「人を子ども扱いするな」
「まあそんなところかな」
「リーマス、お前も肯定するな!」



イライラしながらシリウスは残っていたコーヒーを一気に飲み干し
カップを乱暴にコースターの無いところに置くとリーマスを睨み付けた。



「それに・・・・俺は質問に答えただろう?答えてないのはお前の方じゃないか」
「と、こう言ってるけど?」



今度はリーマスの方を見る。
彼は朗らかにくすっと笑う。まるでイエス・キリストか聖母マリアのような微笑みだ・・・・
・・・が、全然信用できない。



「うん。実はその通りなんだ」



おい・・・・・。
は手のひらに乗っけていた顎ごと机に崩れた。




やはり信頼はできても信用できない男だ。

心の中では改めてそうを確信した。




「・・・・・あんたは一体何がしたいわけ、リーマス?」



力なく言うその顔に生気はあまり無い。
それはシリウスも同じこと。

昔から、この親友は何を考えているのか読みがきかない。
なので下手に読もうとすると、疲れてくたばるか、
先ほどのシリウスのように壊れるか・・・・二択一捨だ。



「別に・・・・・ただ腹が立つだけだよ」
「何で?」
がシリウスと同棲まがいな事をしてるからさ。
誰だって好きな女性が他の男と暮らしてるなんて、気に入るわけない」



すまし顔でコーヒーを啜りながら、シリウスとを順に見る。

その眼に苛立ちにも似た光があることに気づいた2人は
顔を見合わせて溜息をつく。

そしてシリウスが前髪を掻きあげ、額を押さえながら反論した。



「それは仕方ないだろ、俺は今・・・・・」
「凶悪殺人犯の濡れ衣を着せられて脱獄中だから・・・・・だろう?」



言おうとしたことを、そのまま言われてしまい、どうにもこうにも格好がつかない。

シリウスは前かがみになっていた体を後ろに倒し
ソファに深くもたれかかった。



「ああ。全く持ってその通りだ、ムーニー。分かっているなら言わないでくれ」



自分を抑制するように肯定するその声には
少しばかり不満が見え隠れしている。

しかしリーマスとて、まだ苛立ちを拭ったわけではない。



「それなら聞くけど・・・・・」



いつもより2トーンばかり違う声色。



「もし私が”狼人間で働き口が無くて、ついに家もなくした”って理由で
 と同居していたら・・・・・」



リーマスの試すような物言いにシリウスの眼の色が変わる。
それに気づいたリーマスは、くすっと、あの性格の悪い笑いを添えて言った。



「君はどうする、パットフッド」
「殴り込みに行く」



即答。



「ほら、やっぱり君でもそうするんじゃないか」
「・・悪かった」
「ちょっとは考えてから答えろっつの」
「・・・すまん」
「「これだから馬鹿犬は・・・」」


2人は示し合わせたかのように
はぁぁ〜、とわざとらしく盛大な溜息を吐いてシリウスを見た。


勝ち誇ったリーマスと、呆れ果てたから総攻撃をくらい
でかい図体を縮こませて防戦一方なシリウスは


「ううっ、2人してそんなに言うことないだろ・・・。ぐすん」


いじけだした。
いい歳こいた大人が、体育座りで”の”の字をかくな。




「・・・と、いじけたシリウスは放っておくとして・・・・・・・・
「なに?」
「今日の本当の用事はこれなんだ」



リーマスはローブのポケットから白い無地の封筒を机に置いた。
封筒の表面には雑な筆記体での名が綴られている。

そして、ひっくり返して裏面を見た直後・・・
の顔は蒼く引き攣った。



”カッコよくてめちゃくちゃ強い憧れのオジ様よりvV”




「リーマス・・・・・この手紙・・・・・・・・・・・・・・何処で?」
「この間、マグルの店でお茶を飲んでたら突然渡されたんだ」
「渡してきたのって・・・・・」
「長い金髪の大柄な人だったよ」
「やっぱりアイツかぁぁぁぁあああああ!!」



は持っていた封筒を中の手紙ごとビリビリに引き裂き、
原型をなくし紙くずになった元・手紙をぐしゃっと握りつぶし
ゴミ箱の中を殴るように捨て去った。

その間、約0.3秒。



「お、おい・・・
「なに?」
「いや、何でもない・・・・・・・わん」



の異常なまでの奇声と怪行動によって
いじけモードから脱出したシリウスだったが、彼女の修羅のような形相に身の(命の)危険を感じ取り
アニメーガスになってリーマスの足元に移動した。





「リーマス、今度そいつに会ったら問答無用で忘却術かけて」
「マグル相手に魔法を?」
「そう。むしろ呪いかけてもいーよ。とにかく逃げろ、殺されないうちに」
「そんなに危険な人なの?確かに人相はよくなかったけど・・・」
「危険も危険。あいつに比べりゃヴォルデモートなんてチャバネみたいなモンだ」



チャバネ=チャバネゴキ○リ。

にとって闇の帝王って一体・・・・・・・・・;



「それより読まなくてよかったのかい?」
「いいの!!」



読みたくない・・・・。
読まなくても何が書いてあるかなんて想像がつく。

つーか知られたくない。



「30代になっても未だに親の上司に幼女扱いされてる上に、カツアゲにあってて
 なおかつ結婚の心配されてるなんて知られてたまるか・・・・!!」


あのぅ、めちゃめちゃ口に出てますが・・・?


「そういう事なら、私と結婚しようか」
「駄目だ!は俺と結婚するんだ!!」


あっさりプロポーズするリーマスに対抗するため
シリウスも早わざとも言うべき瞬間スピードで人間の姿にたち戻ったのはいいが・・


「つーかお前ら勝手に人の心を読むな!」
「いや、お前口に出してたぞ」
うるせー黙れ、呪いかけるぞテメェ
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・くぅん」



愛しの女性にドスのきいた声で凄まれ一瞬で犬に逆戻り。

そんなシリウスに励ましの一言も贈らず、リーマスはの手をとった。


「式はいつにする?」
「何の話してるんだ、おのれは」
「勿論私と君の結婚式の話だよ。いつにしようか?」
「結婚なんかしない。式も挙げない。だから決める必要もなし!」



さり気なく腰に回されてきた手をぴしゃりと叩き落とし
人差し指をリーマスの鼻先につきつける。



「いい?何度も言ってるけど、あたしは友達と結婚する気はない」
「私は君と友達のつもりなんて無いんだけどね」
「じゃあなに?!」
「好きな人・・・・・いや、愛しい人かな」
「ちょっとリーマス、ふざけるのもイイ加減に・・・ッ!?」
「大好きだよ、・・・・・昔も今もずっと・・・」



細みの指がスッと自然な動きでの頬を撫で
2人の唇が流れのままに重なり・・・・・・・・・・・



「やめろ」



・・・そうになる寸でのところで、人間の姿のシリウスが
を自分の方に引き寄せた。


「俺の目の前でそんな事させるか」
「邪魔しないほしいな」
「いやだね。徹底的に邪魔してやるさ」


ばちばちと飛び交う火花が、蜘蛛の巣のように部屋中に散る。


「シリウス・・・それは僕への挑戦なのかい?」
「お前がそう思うなら、そうなんだろ」
「じゃあ・・・・・・今から勝負再開だね」
「・・・だな」



学生時代の・・・あの険しくも楽しい真剣勝負が、また始まる。
そう思うと無意識に口元がつりあがる。



「負けないよ、シリウス。は絶対に私の・・・僕のものにする。どんなことをしても・・・絶対にね」
「13年前にも聞いたぜ、その台詞」
「今度は本気だよ。・・・・・・手加減しない」
「それも聞いたな」
「君こそ・・・・昔もそうやって余裕で笑ってたよね」



睨み合い。
貶し合い。
からかい合い。


どれが正しい表現かは分からないが
2人の間にあるのは間違いなく友情。それも、並大抵の事では断ち切れない固い絆。

お互いがお互いを認めているから・・・・
だから笑っていられる。笑うことができる。

たとえ自分が彼女に選ばれなかったとしても




「「は渡さない!!」」



笑顔でいられる自信がある。





「あたしは物じゃないっつーに・・・・」



2人の言い合いをシリウスの腕の中で傍観していたの呟きは
どちらの耳にも届くことはなかった。



彼らと彼女の微妙な関係は、まだまだ終わりそうにない・・・・。














前を見れば 見えない道がある
両隣にはキミ達がいる

大丈夫 歩いていける
走っていける 進むことが出来る
温もりを力に変えて 未来という場所まで

キミ達となら どんな暗闇も目を閉じたって突き進める

















裏話と書いてイイワケと読む・・・B(他作品要素含が嫌いな方はご遠慮ください)


本日リーマスに手紙を渡した謎の男。
これが2話に出てきた両親の上司です。
長い金髪の大柄な男・・・・・アーミンファンはもうお分かりでしょう。
そうです、我らが獅子舞隊長です。

ヒロインちゃん一体どんだけ苛められてんでしょうか?
相当なトラウマっすね。獅子舞が。

ヒロインの中じゃ獅子舞=悪魔。闇の帝王=チャバネ。
出てくる前からギャグ扱い受けてますね、うちの帝王は・・・・。
まあギャグで出す予定ですけどね・・・。

で、何故ハーレム隊長は自分でヒロインの家に行かないのか・・・ですが
多分金欠で交通費が無いんですよ。
飛空艦は借金のカタに甥っ子に没収されてたりとか(笑
もしくは売っぱらって馬券に化けたのかも・・・。

つーかリアルに計算すると、この時点で獅子舞様生きてるのかな・・・・?
ザッパに数えても70過ぎ・・・・・・生きてるな。
しかも元気な不良高齢者だ。