、(今日こそ)一緒に風呂に入らないか?」
「爽やかな顔と声で、厭らしい事ぬかすなアホ!」
「ぐぉッ!!」



の家に犬が転がり込んで1ヶ月。
今日も犬・・・シリウスは無謀なラブアタックをかけていた。



犬戦う



「何でだ!?」
「当たり前だってば!何であたしがシリウスと混浴しなきゃなんないんだよ!!」
「それは俺達が恋人同士だから・・・・」
「誰と誰が恋人同士だ!!」
「げはぁっ!!」



シリウスの頬にの右ストレートがヒット。
口からだくだくと吐血しながら垂れる血を拭いながら、シリウスはを見つめる。

妙に艶っぽく濡れた瞳で・・・。



「ふふふ、の愛は鉄の味」
「キモいこと言うな、頬を染めるな、床汚すな」



無情に台布巾を顔面目掛け投げつける。
それを受け取ったシリウスは、冷たい対応に泣きながら血で汚れた床を磨く。



「じゃあ、あたし風呂行くから」
「おう!俺もこれ拭き終わったらすぐに・・・・」
「来なくていい!来たら熱湯頭からぶっかけて皮剥いでやる」




ばたん!!





「はぁ〜、つれないなぁ・・・・」



床をせこせこと磨きながら、思いきり深い溜息をつく。



「昔っからああだったが、再会してからは一層きつい気がする・・・・・・」



学生時代も殴る蹴るの仕打ちは当たり前のように毎日受けていたが
言葉の暴力は今ほどではない。



「もしかして俺・・・・・嫌われた?」



思い当たる節は山のように・・・・むしろ山ほどある。
しかも山のレベルとしてはアルプス山脈並みだ。


13年前、何も言わずにピーターを追いかけて行ったこと。
アズカバンから脱獄した後、一番に逢いに来なかったこと。
同居させてもらっているのに家賃を払ってないこと。
つい先日夜這いをかけたこと。



「1つめと2つめは多分違うな。この手の事をいつまでも根に持つやつじゃない。
3つめは、貯金からどうにかするとして・・・・4つめは問題ないな。俺は本気で愛してるし・・・・あと他には・・・」



待て、最後のは問題ありまくりだろ。


と・・・まあこんな具合に、ぶつぶつ独り言を言いながら、悶々と床磨きを続けていると
突然リビングの外からドタバタと物音が聞こえてきたので、シリウスは手を止めてドアの方を見た。



「なんだ?のやつ風呂入ってるんじゃ・・・・」



バターーンッ!!



「シリウス!今すぐ・・・「ーーー!!」
「え?」



ドアが半壊するほどの力強さで部屋に戻ってきたが、声を張り上げて何か言おうとしたが
それ以上に大きく力の入ったシリウスの声に気圧されてしまった。

シリウスはの肩に両手を置き、なお叫び調子に言った。



「そんな格好で出てくるってことは・・・・俺とやりたくなったんだな?!そうか、俺なら勿論いつでも準備OKだ!」
「はぁ?ちょっと人の話聞いて・・・・
から誘ってくれるなんて・・・今日は人生最高の日だ!!よし、今すぐベッドに行こう!!さあ行こう!!」
「ちょっと!なに肩と腰に手回してるんだよ!」
「ああ、そうか!早くベッドに行くならこの方がいいよな♪よっと!」
「ぎゃーーー!姫抱っこは止めろォーーー!!」



白いバスタオルを1枚身体に巻きつけただけのを抱き上げ
シリウスは有頂天で2階の寝室へ向かってスキップする。



「いー加減に話を聞け!!こんの発情犬がッ!!」
「ごほぉうッ!!」



左フックが顎に決まり、階段を目前にして夢半ばに倒れる。

は危なく折り目が外れかけていたタオルをしっかり巻きなおしてから
倒れたシリウスを叩き起こす。



「シリウス!!シリウスってば!!」
「うーん・・・・ううぅ、」
「気づいた!?あのね大変なの!今すぐに・・・・」
「夢にまで見たの胸の谷間が目の前に・・・今なら俺は死んでもいい!!」
「ほんとに殺すぞテメーはぁ!!」



この期に及んで、まだ戯言を言うシリウスに切れて
激しく往復ビンタを繰り出すと、やっとの思いでバカ犬は正気に戻ってくれた。



「いてて・・・・何なんだよ?」
「いいから!今すぐ犬になって、早く!!」
「犬って・・・そーゆうプレイが好きなのか?」



驚き半分、焦り半分のマジ顔で聞き返してくるシリウスに説明しても
全く持って無駄だと判断したは、一方的に話を進めることにした。



「理由はあとで!!つーかすぐ分かるから!早くしなきゃ来ちゃう!もう来る、来ちゃうーー!!」
「こんな時間に一体誰が来るんだ?」
「だわーーー!もう庭入ってきてる!移動早いよ!シリウス!早く犬になってってば!」
「あ・・・、ああ。わかった・・・・・・・;」



尋常じゃないの慌てっぷりに、納得できないながらも黒犬に変身する。

は足に擦り寄ってくる黒犬シリウスを撫でながら、
一安心したような表情でペタンと、その場に座り込んでしまった。

彼女はまだ気づいていない。
犬シリウスが過剰に擦り寄ってくる目的に。



ピンポーン・・・・



「あ!はーい。勝手に入っていーよ」



ゴタゴタが収まってすぐにインターホンが客の訪問を知らせた。
へたり込んでいたは、まだ気合が入らないらしく階段に座ったまま外の客に声をかけた。
シリウスは誰が入ってくるのか警戒しながらドアを見つめた。


の声はしっかり客に届いたようで洒落たドアが外から押され、客が着ているローブが先にチラリと入ってきた。
そして姿を現した客を見て・・・・・・の太ももを堪能していたシリウスは凍りついた。



、何だその格好は・・・・」
「いやぁ、今さっきまで風呂入ってたんだけど、のぼせちゃってさ」
「そうなのか?・・・・だがその格好で男を迎え入れては襲われても文句は言えんぞ」
「またまた冗談ばっか」



シリウスが固まっているなんて気づきもしない
来客と軽い会話を織り成す。

客はドアを静かに閉めて、玄関をあがってきての目の前に立った。



「我輩は冗談は嫌いだ。知っているだろう?」
「知らないなぁ、セブルス教授」



客・・・・セブルス・スネイプはの返事を聞いて、僅かに眉間に皺を寄せた。



「それは我輩を誘っているのか?そういう趣向がお望みならば相手をしますぞ、ミス.
「あっはっは!なーんだ、やっぱ冗談好きなんじゃん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・早く寝巻きでも何でも着てきたまえ。でないと冗談では済まさんぞ」
「はいはい、あ!身体冷えちゃったから、もう1回シャワー浴びてきてもいい?」
「好きにしろ」



スネイプは階段についているの手をすくい取って立ち上がらせると
自分のローブを脱いで頭から被らせた。

そして背中を見せてリビングに歩いていく。



「勝手にリビングで待たせてもらうが、構わんな?」
「あ、うん。お茶でもコーヒーでも飲んでていーから」
「そうさせてもらおう」



軽く返事をして部屋の中に入り、スネイプが扉を閉めた瞬間
シリウスはに向かって本能のままに吠え出す。



「ぐるる!わんわんわん!!(何であいつが来るんだよ?!)」
「さーて着替えてこよっと。あ、シリウスはリビング行ってていーよ」
「わう!!ぎゃんぎゃん!ぐる〜・・・わん!!(嫌だ!あいつと部屋で2人きりなんて死んでも嫌だ)」
「付いてくるなってば、あたし着替えるんだから。はい、行った行った」



着替え・・・・・



「きゅ〜ん・・・くぅんくん、わふぅ・・・・!(を1人きりになんてさせられない、だから一緒に居る)」
「・・・犬になってても何考えてるのかハッキリ分かるね、シリウスって・・・・・・さっさとリビング行け!!」



風呂場に入ってこようとする犬シリウスを蹴りだして、ぴしゃりと戸を閉める。

シリウスは半透明の見えそうで見えない戸にへばりつきながら、中の様子を観察していたが、
タオルを取り払ったはすぐにカーテンを仕切ってしまい
それ以上はシャワーの音が聞こえてくるだけで、蛇の生殺し状態だった。

仕方なくシリウスはの言いつけ通り、リビングに向かい足を進めた。








シリウスがリビングに入ると、そこではスネイプが自分で淹れたコーヒーを飲みながら新聞を読み
我が物顔でくつろいでいた。

しかもスネイプが座っているソファが、シリウスの指定席(勝手に決めた)だったことと
使用していたカップが、普段が愛用しているものだったせいで、
ただでさえ悪いシリウスの機嫌は最低最高に不機嫌になった。

スネイプもスネイプで、シリウスが入っているのを横目でちらっとだけ見ると
すぐに新聞に視線を戻し、興味のなさそうな反応しかしない。




「ぐるるる・・・・・(大体なんでこいつがウチに来るんだよ・・・・)」



注:ここはシリウスの家ではありません。



だが、これで謎は解けた。
確かにこいつが来るんじゃ、俺が人間の姿で居たらやばかった。

は俺が転がり込んだその日のうちに、この家の周囲に魔法陣を張った。
それもとびきり便利で高度で難しい上級魔法陣を。


この魔法陣の元々の効果は3つ。

指定した人間の出入りを不可能にする。
探知を無効化させる。
術者の力を増大させ、術者に対し敵意を出す人間の力を弱める。



これを張れるというだけでも十分凄いのに、
は自分なりにアレンジして更に2つ効果を増やした。

その内の1つが、”陣内にいる人間の正体と移動を術者が感知できる”・・・という効果だ。





シリウスは極力スネイプを見ないようにしながら
リビングを横切りキッチンに行くと、棚の横に吊るしてある干し肉を口にくわえて引っ張った。
肉は少し伸びたあと、ぶちっと釘から千切れて床に上手いこと落下した。
落ちた肉を満足気に眺め、シリウスは軽く鼻をならす。

試みが成功したことに気を良くしたのか、今度は引き戸を鼻で開けて
中からが(嫌がらせで)用意した自分用の犬皿も取り出した。

そして冷蔵庫も同じようにして扉を開けて、中から牛乳パックを出そうとしたが
・・・・・・・・・そう簡単にはいかなそうだ。



「わふぅ・・・・・(届かない・・・)」



牛乳の位置はシリウスの頭より高い場所。
その上、パックの封が開いているので落とすことはできないし、
側面を噛んだりしたら牙が刺さって穴が開いてしまう。

さて、どうしたものか・・・・・。



「わう・・・わん(ここをこーやって・・・・こうすれば・・・)」



扉を全開にして前足で押さえつけ、首を伸ばして懸命にパックの口の部分をくわえようと奮闘するが、
前足が滑り落ちて鼻をぶつけてしまうだけで、なかなか上手くいかない。

1度だけスネイプの方を見てみたが、やはりというか何というか・・・・
手伝ってくれそうな気配は欠片もない。




「(あんなヤローにミジンコ程でも希望を持った俺が馬鹿だった。自力でやろう)」



再度挑戦を試みる。

・・・・・・・・・・が、何度やってみても結果は同じ。
うん十回と失敗し続けたので、いい加減諦めて扉を閉めようと前足を下ろした時
後ろから伸びてきた手が牛乳パックを掴んだ。



「はい、これでしょ?」
「わうん!!(vV)」



マグルのジャージとキャミソールに身を包んだだ。

牛乳をとってくれた事も嬉しいが、それ以上に首にからかけたタオルが何だか色っぽい・・・
と、シリウスは無駄に興奮して喜んでいた。



「セブルス新聞なんか読んでないでやってあげてよ。どーせ気づいてたんでしょ」
「なぜ我輩がそんな事せねばならんのだ」
「ばうばう!!(俺だってお前に優しくされたかねーよ!!)」



そっぽを向くスネイプと、逆方向を向くシリウス。
そんな2人を見て、やれやれ・・・と思いながら、は犬皿にとくとくと牛乳を注す。



「ほーらよ。新鮮ミルクだよ」
「きゅーんv(でも俺的にはのミルクの方が・・・・・)狽ャゃんッ!?」



は何かを感じ取り、牛乳パックを持っていない方の手で、犬シリウスの頭をがつんと殴った。
その音にびっくりして、スネイプもキッチンまでやってく。



「どうしたんだ;」
「ちょっと悪寒が・・・・・・・」
「悪寒と犬を殴ることと何か関係あるのかね?」
「ある!・・・・・・多分」
「くぅ〜ん・・・・ふぅん、フン・・(やっぱ俺とは心が通じ合ってるんだなv 痛いけど幸せ・・・)」



殴られたのに悶えてるシリウスを奇妙に思いつつ
スネイプはの腰にさり気なく手を伸ばした。



「わん!!わんわんわん!!(あ!テメー何してやがる!その手離せ!!)」
「ところで、座ってゆっくり語ろうではないか」
「あ、うん」
「わふう!ぐるるぅ!!ぎゃんぎゃんぎゃんッツ(の腰は俺のだ!つーかは俺のだ!!)」



をソファまでエスコートする最中、
敵意むき出しで、今にも噛み付いてきそうなシリウスをスネイプは思いっきり見下し・・・



「この犬は新しい使い魔か?」
「え?あ・・・うん!そーなんだ。可愛いっしょv」
「わふんv(チャンス!)」
「うわっ、し・・・スナッフルやだ、擽ったいよ(このエロ犬・・・・!後で覚えてろよな)」



スネイプには動物好きであることは知られているので
不自然にならないようにシリウスを抱き寄せて頬を寄せ、艶やかな毛並みを撫でる。

それをいいことにシリウスは、ここぞ!とばかりにの顔や身体に
鼻を擦り付けたり舐めたりしている。



「いつからだ?先月の始めに来たときは居なかったと思うが・・・」
「ああ、まだ飼い始めて1ヶ月くらいだからね」
「(先月の初めって言ったら俺の1件でホグワーツ中が大変だった頃だろ?
そんな時にに会ってたのか?!知ってたけどつくづく最低なやつだな!)」



シリウス、そりゃお前の私情だろが。
いちいち口(?)を挟むんじゃない。



「最近どーしてたの?前は月に1回は来てたのにさ」
「わう!?(そんな頻繁に来てたのか?!こいつ、まだの事本気で・・・)」



ソファに腰をおろし、シリウスの頭を撫でながら問う。
できるだけ自然に犬シリウスからスネイプの注意を逸らしたかったためだ。



「ああ、ブラックの件でな。知っているだろう?」
「シリウスがアズカバンから脱走してホグワーツに侵入したって話?」
「そうだ」



スネイプは憎たらしそうに眉を潜めて、歯をぎりっと噛み合わせる。



「・・・、もしブラックが現れたら直ぐに我輩に知らせろ。お前の目の前で消し炭にしてくれよう」
「(誰がお前なんかに殺られるかよ)」

「物騒だねぇ・・相変わらず。そんなに嫌い?シリウスのこと」
「当然だ。嫌い云々ではない、我輩は奴をこの手で殺してやりたいほど憎んでいるのだ」
「へいへーい。知ってますよ」
「(その点については同意見だ。俺もお前のことが殺してやりたいほど嫌いだ)」



生意気な目つきの犬と、両手を広げヒラヒラさせて嘗めくさった対応をする
歪みっぱなしの眉に加えて目頭まで歪めるスネイプ。

折角の色男が台無し・・・・でもないか。
これはこれで好い男だ。



「・・・・・・・相変わらずお前はあのような輩を信じているようだな」
「当たり前じゃん。友達だもん」

「(いや、恋人だろ)」

「信じても無駄だ」

「(お前がに抱いてる思いの方が遥かに無駄だ)」

「さぁて、どーだか。あたしはあたしの見たものしか信じない」
「・・・・・ついでに言っておくが、ルーピンもブラックと繋がっている。やつのことも信用せんでおけ」
「信用?あたしリーマスには信頼しか寄せてないけど?」

「(よーし、よく言った。けど信頼以上の思いは寄せるなよ。それを寄せる相手は俺だけでいい)」


















そんなどうでもいい雑談を小1時間もした頃になって、がコーヒーのおかわりを注そうと
キッチンに向かった時、スネイプがソファから立ち上がった。



「・・・・・・名残惜しいが、我輩はそろそろ帰るとしよう」



ソファが空くと、シリウスはすかさず其処を陣取り
ニオイをつけてマーキングを始める。

本当に犬だろ、お前。



「あれ?何か用あって来たんじゃないの?」
「用なら済んだ」
「へ??」
「久しぶりにお前の・・・・・・・・っ」



”顔が見たくなっただけだ”・・・・・と続けるはずだったが、言わずに咽の奥に押し戻した。

はそれを怪訝に思い、頭一つ分高いの場所にある薄暗い面を覗き込む。



「なに?」
「いや、お前が勝手に死んでないかどうかを確認しに来ただけだ。
・・・・最も、無駄足になることは分かっていたが」
「なんだそりゃ」



そして、スネイプは柄にも無く優しい雰囲気の顔で微笑んだ。



「お前がそう簡単に死ぬはずがあるまい。頭を潰しても火であぶっても生きていそうだ」
「それって褒めてくれてるのかなぁ?」
「最上級の褒め言葉のつもりだったが・・・・・お気に召さなかったかね?」
「そんな害虫への賞賛みたいなのを気に入れと?」
「ふ・・・・我輩には何のことだか分かりませんな」



頭を潰されても、火であぶっても死なないもの・・・。
多くの人の頭の中には黒くてテラテラした生命体の姿が思い浮かぶだろう。

冗談とは言っても、あんなものを連想できるような言葉を好きな女性に送るなんて
よほど嫌われてない自信がないと出来ないことだ。



「セブルスなんか、さっさと帰れ」
「わんわん!!(そうだ、そうだ。そしてもう来るな)」
「そういえば土産にハニーデュークスの新商品を持ってきたんだったな。いらんか?」



自分の座っていた・・・今はシリウスが陣取っているソファの横に置いてある紙袋を
指差しながら、スネイプは性格の悪げな微笑をする。

は一瞬きするほどの速さで紙袋を取ってきて中身を確認すると
満面の笑顔をスネイプに送った。



「またいつでも来てねv 今度は庭でお茶会できるようにスタンバって待ってる!」
「狽うん?!(そ、そんな・・・ッ?!)」
「それは嬉しいことだな。だがその時は、この犬を我輩の目の届かない所に繋いでおきたまえ」
「なんで?」
「・・・・・・・・どことなく、ブラックを彷彿して気分が悪くなる」
「「ぶっ!!」」



この発言には、犬になってるシリウスまでもが噴出した。



「だぁーはっはっはっは!!ククク・・・ぷはーーッあははは!!」
「な、何をそんなに笑っているんだ///」



笑われたことに少々照れ気味なスネイプだが
が何に、こんなにウケているのかは分からないようだ。



「いや・・・何でもないっ・・・けど、セブルス鋭いね・・・ぷくく」
「どういう意味だ?」
「きゃんきゃんきゃうん!!(!こいつ怪しんでるぞ!!どーするんだ!)」



この上ないほどに焦るシリウスを知ってか知らずか
は笑いながらも冷静に、スネイプの問いかけに答える。



「あたしもさ、こいつシリウスに似てるなーって思って拾ったんだ」
「そういう事か・・・・なるほど」



スネイプは品定めをするようにシリウスをじっとり見るが
シリウスが顔を背けると、対抗しての方に顔を戻した。

それに更に対抗して、シリウスはソファから降りての脚に擦り寄って
正しく獣の眼光でスネイプを睨みつける。



「ふんっ・・・・では今夜はこの辺で失礼する」
「うん。また来てね」
「茶会、楽しみにしてますぞ」
「あー・・・そのことなんだけどさ。今度来る時は連絡ちょうだい、ふくろう便でも吼えメールでもいいから」
「それは構わんが・・・・・読むのが面倒だから一々連絡しなくていいと言っていなかったか?」
「いやぁ、ほら・・・あたしにも色々あるんだって」
「色々とは?」
「ん〜・・・それは・・・・」



気になったことは、とことん探求してくる。
これがスネイプの限りなく厄介なところ。

は誤魔化すためとはいえ、かなり苦し紛れな言い訳を思いついた。



「狽たしセブルスからの手紙が欲しいの!ほら、そうすれば形としてとっておけるじゃん」
「わふ・・・(苦しいだろ、それ)」
「そういうことなら・・・・次からは連絡しよう///」
「わう!?がるる・・・!(普通納得するか!?の笑顔に誤魔化されたな、このムッツリ)」
「じゃ、じゃあそーゆうことで!」
「ああ・・・・また近いうちに」




ぱたん・・・・・。



!塩撒け塩!!屋根から1袋全部撒くぞッ!!」
「馬鹿叫ぶな!聞こえたらどーすんだよ!!」


扉が閉まったと同時に、人間に戻ったシリウスが叫ぶのを
力づくで止める

どうやらドアを閉め、すぐに去ったらしくスネイプが戻ってくる気配はない。



「それにしてもアイツ・・・・・まだ俺のを狙ってたのか・・・」
「さーて、貰ったお菓子食べよっかな」
「だがお前もお前だ、。何であいつに言い寄られてることを黙ってた」
「なんかチョコ系が多いなぁ、何気にあたしの好み細かく把握してるよね、セブルスって」
「なにが『茶会を楽しみにしてる』・・・だ!茶会って面じゃないだろ、誰がどう控えめに見ても」
「そういえばリーマスに貰ったハーブティーもあったっけ」



リビングに戻りながら、お互い相手に話しかけるが
会話はできていない。

にも関わらず、どちらも気にする様子はない。


要するに、自分の好きなことを話せればそれでいいのだ。
相手が聞いているかどうかは二の次。






「「あ!!」」
「明日こそ一緒に風呂入ろうな?」「明日の朝ご飯パンとライスどっちがいい?」




まったくの同時にどうでもいい話題を切り出した。
これには突っ込まずにはいられない。




「アンタの頭の中は、本当にそれしかないのかよ!?」
「そっちこそ何でいきなり明日の朝飯の話題なんだ!?」
「大事じゃん!朝ご飯は一日のエネルギー源なんだから!」
「風呂だって一日の疲れを癒す大切なことだろ!」
「だったら大人が2人で入ったら癒されるもんも癒されないでしょッ」
「癒される!!普通に一人で入るより全然癒される!」
「なんで?!」
「決まってるだろ?!ボディーソープで洗いっことか、湯煙の中の水中プレイは男の夢だ!」
「またそれかいッ!!」
「それだけじゃないぞ!風呂なら鏡もあるし、声も響くし、何より後の処理が困らない!!」
「死にさらせーーーッツ」





その頃・・・、街道を歩くスネイプが闇夜に響く犬の遠吠えを聞いて
学生時代にに夜の悪戯を仕掛けて、
寮棟のてっぺんから簀巻きにされ吊るされた天敵シリウス・ブラックの姿を思い出したそうな・・・・。















前世 過去 今 未来 来世
どこにも完成した自分なんていない

何かを失い 何かを得て
巡る季節のような 廻る風のような
変わりゆく存在でありたい

変わらぬ夢を見続けていたい・・・