夏も真っ盛り。
気温は37.2℃。湿度は低く、気持ちのいい夏日。
こんな日にアレをやらずに何をやる?
「今日の実践訓練は、急遽プールに変更します」
白いハンカチで額を拭く高松がそう告知した次の瞬間、
クラス内では、暑苦しい青色の上着が飛び交い、野太い歓声があがった。
「さっすがドクター!話分かるやんv こないクソ暑い日にサバイバル訓練なんてやってられへんからな!」
「煩いですねぇ・・・さっさと水着持って移動しなさい」
「へーいv ほな皆行こかー!!」
『おーーーーーッ!!』
ウメダの呼びかけに気合の入った声で応える少年達の手には
既にプール道具一式が握られていた。
が、一人それに参加していない生徒が・・・・
「高松ー。あたしは?」
だ。
「そういえば貴女の水着の発注してませんでしたね」
「どーすんの?」
「どうしますか・・・・・」
一昨年、女子であるに男用の水着を発注しても仕方ないと、注文せず
去年はプールを大幅工事していたので使用できなかったので、やはり注文せず
そのまま放置していた事を、入学して2年経った今になってようやく思い出した。
思い出すの遅すぎやしないか?
「強化ウェアで入っちゃ駄目?」
強化ウェアというのは、のために高松が開発した代物で
シリコンと天然ゴムを使った機能性の高いアンダースーツである。
よく伸び縮みするのでがどれだけ成長しても
身体にきちんとフィットするようになっている。
ちなみにスポーツブラと1分丈スパッツを元にした2ピースデザインで、色は黒と白と赤の3種類。
「駄目です。あれは防水加工はしてありますけど、パットが入ってませんから」
「ぱっと?それが入ってねーと何か不味いのか?」
「ええ、色々と・・・・・・ッ!」
と話し込んでいた高松だったが、ふとあることに気づいた。
そう・・・生徒達がドアを出ずに赤らんだ顔やら、厭らしい顔でドアの前に突っ立っていることに・・・
そして無言で懐からメスを取り出した。
「アンタら、なに聞き耳たててんですか・・・・・・」
「へっ///・・・・あ!いや、え〜っと」
「早く出て行かないと・・・・・・・・・刻みますよ」
『ひ、ひぃぃいいいィい!!』
メスがきらりと光ると、少年達は皆
我れ先に我れ先にと押し合い圧し合いでドアを潜って一目散にプールへ向かった。
そして高松がメスを出して10秒もしないうちに、教室の人口密度は激減し
と高松の2人きりとなった。
「まったく、これだから思春期の子供は・・・ぶつぶつ」
「高松ー。結局あたしはどーすんだよ」
「そうですねぇ、仕方ありませんから今回は見学しててくだ・・・・「やだ!」
間髪入れない拒否。
「次回までには入れるように手配しますから、今回は諦めてく・・・・「いやだ!」
この反抗期娘が・・・・・ッ!
高松の額に怒りの青筋が浮かび始める。
「あたしだって暑いんだからプール入りたい!!」
「駄目ったら駄目です。しつこいですよ」
「やーだー!入る入る入るッ!!」
「水着もないのにどうやって入るつもりなんです?素っ裸で入る気ですか?」
「っ///!!んなわけあるか!高松のアホ!!」
やっと芽生えだした情緒を上手く利用する高松。
この辺は何と言っても歳の功だろう。
流石は伊達に40云年生きてない。
「入りたいー!」
「ダ・メ・で・す!!」
「うぅ〜っ、あたしプール入ったことないのにぃ・・・」
がここまでプールに拘る理由がこれだ。
内陸の戦場で育ったはプールに入ったことがない。
去年は工事のため入れなかったので、今年こそはと気合を入れてたのに
とんだ肩透かしをくらってしまった・・・・・というわけだ。
「プールぅ・・・・・」
「心配には及ばないよ、ちゃん!!」
「そ、その声は・・・・ッ!?」
がらっ!!!!
「この私がちゃんをプールに入れるようにしようじゃないかーッvV」
窓から威勢よく登場したのはピンクスーツが眩しい、我らがマジック元総帥。
お馴染みのオプションのシンタロー人形を右腕に抱えているのまでは、いつものことだが
今日は左手にも何やら、もう一体人形を抱いている。
「マジック様、その左手にある人形は・・・・・」
「これかい?ついさっき出来上がったんだよv ちゃんにそっくりで可愛いだろう?」
2体の人形に頬擦りしながら高松に自慢するマジックは
最早可笑しな中年でしかないと思う。
だが、そのマジックを更に上回るほど可笑しな中年、高松が
含み笑いをしながら(またもや)懐に手を差し入れ、何かを取り出した。
「ふふふ、甘いですよマジック様!私の渾身の作品をご覧あれ!」
「そ、そっ、それはァ!!」
「スリーサイズから髪の長さまで全て正確に模った”1/6フィギア”です!!」
どどーん!と効果音をつけてマジックの目前に突き出す。
そのフィギアの精巧さときたら、宣言するだけあって大きさ以外はそのものである。
「ついでに解説しますが、関節フル可動で、更に瞬きもできます」
「おぉォ!!」
「肌はシリコン使用で、より本物に近い感触に仕上げてみました」
「おおぉぉおッ!!」
「服は今のところ特戦部隊の隊服、マジック様お手製の特別隊服、士官学校の制服、強化ウェア、着物の5パターン」
「うぉぉおおおおッツ!!!」
「おまけに髪の毛は本人のものを使用」
「これで譲ってくれ!!」
「嫌です」
マジックがゴールドカードを惜しげもなく差し出すが、高松はフィギアをポケットにしまい込む。
どうやら売品にするつもりは一切無いようだ。
つーか、いよいよもって変態だな・・・・。
「ねぇ〜、プールはどーなったんだよ」
「おっと!そうだったねv」
リアルフィギアの魅力も本物には適わず、マジックはあっさり本物のの方に振り向く。
その隙に高松は机に放り出されたゴールドカードをさり気なく拝借していた。
「これさえあればちゃんもプールに入れるよv」
高松の行いに気づかないマジックは、意気揚々と手提げ袋から
ぴろりーんと一枚の水着を出して広げた。
それは言わずと知れたベタなスクール水着というやつで・・・
ご丁寧に胸のところに名札までついている。
「それ・・・・聖マリア学園の物ですよね、どうなされたんですか?」
「制服を発注したとき、水着も一緒に頼んでおいたんだよv」
ちゃんの成長も考えて3年分ほどね♪
と、ウインクつきで返事をするマジック。
うわぁ・・・・本物だよ、本物の変態だよ・・・。
どうしよう・・・・・・・。
「、良かったですね」
「うん!マジックありがとーなv」
「いいんだよv さあ、頑張っておいで」
「はーい!!」
受け取った水着を振り回して元気よく教室を出て
クラスメイトの待つプールに向かう。
「ちゃん本当に可愛いなぁv」
「さて、では私も行くとしましょう。マジック様もそろそろ私室に戻られては?」
「何を言っているんだい?」
「・・・・・・・・・・・・・・・まさか」
「私も行くに決まってるじゃないかv」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・やっぱりですか・・・」
まあゴールドカード頂きましたから構いませんけどね・・・。
「何か言ったかな?」
「いえ、何も」
「そうそう、さっきのフィギアなんだが・・・」
「(どきっ!)な、何でしょうか?」
「私のちゃん人形と交換しないかいv?」
「・・・・・・・・・・お断りします」
2つの手製ぬいぐるみを抱いたピンクスーツの中年マジックと
白衣の右ポケットに手製フィギア、左ポケットにゴールドカードを携えた中年高松の
変態の変態による変態のための勝負に
まだ決着はつかない・・・・・・。
「うー、ひゃっほーい!!」
ばしゃーんッ!!
「ぷっはぁ!プールだプールだ♪」
「アホっ!いきなり飛び込むなや!!」
「うおりゃあ!水沌の術ッ」
「ぶほぉ!!ただ水ひっかけとるだけやろが!!」
キラキラ太陽光を反射させる水。
生徒全員が入っても余裕があるほど広い競泳場。
人工芝とタイルで埋められたプールサイド。
これぞまさに金の無駄使い!
と力説できるほど豪華な士官学校のプールにて
飛び込んだ地点に居た親友ウメダに早速じゃれつく。
特戦部隊時代に海に落とされたことはあったが、
それとは、また少し違うプールにはこれ以上ないほど、はしゃいでいた。
「は相変わらず元気だね」
「ええ・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、何でアンタが居るんですかサービス」
「シンタローからが水泳の授業をするって聞いてね、飛んできたんだよ」
プールサイドにパラソルとビーチチェアを我が物顔で置いている美貌の男サービス。
彼はその言葉の通り、飛んできた。
自家用ジェットで。
何を隠そう、実践訓練を中止にしてプール授業に切り変えたのはシンタローだったりする。
ちなみにそのシンタローは・・・・
「!水球やろうぜ♪水球!」
「シンちゃん僕もやっていい〜?」
「水球のルールは2チームに分かれて・・・いいか?2チームに分かれて・・・」
「ミヤギくん!一緒のチームになるっちゃv」
「もちろんだべ、もおら達と同じチームだぞ!」
「はんv わてら2人が組めば無敵どすえ」
「ここはジャンケンで決めたらえーが♪ のぉv」
既にグンマ、キンタロー、伊達衆と共に久々のプールをエンジョイしていた。
「水球かい?久しぶりに私も参加しようかな」
「親父、平気なのかよ。腰痛めたって知らねーぞ」
「心配してくれてるんだねシンちゃんv パパ嬉しいよ!!」
「だぁぁあああ!!水着で抱きついてくるんじゃねぇ!!」
ばしゃばしゃ水柱を立てて暴れるシンタローが少し哀れだ。
上半身裸の父親にひっつかれて嬉しい成人男性がいるだろうか?
そんなもん居たらやだ。
「叔父貴と高松もやるだろう?」
「いや、私は審判をするよ」
「お誘いは嬉しいんですが、私は一応生徒の監督もありますので・・・」
優雅に答えるサービスとは裏腹に、キンタローの誘いを断る高松は、やや残念そうだ。
実は結構やりたかったりするんだろうか?
それは兎も角、だが・・・・・
「行かないんか、」
「・・・・・・・・・・うん」
いつもならシンタロー達に飛びつきに行くのに、今日はその気配はない。
そんなを、ウメダ少年は自分に都合のいい解釈をする。
「(も、もしかして総帥らとおるより俺と一緒に居たいんやろか?!)」
淡い期待を胸に、心の中でガッツポーズと阿波踊りを同時にかます。
なかなか器用だな、おい。
「ちゃん、どうしたの?おいでよv」
痺れを切らしたグンマが手を差し伸べるが、はその手をとらない。
ウメダの後ろで顔を半分だけ出して、じぃっと深い方にいるシンタロー達を見つめるだけ。
「ちゃんが無口って・・・・すっごい変だわいや」
「水球嫌いなんだべか?」
「ひょっとして、泳げんのじゃなかろーなぁ?」
「なに言うてますのんコージはん、はんに限って・・・・限って・・・・・・」
アラシヤマの言葉の途中から、の顔が目に見えて歪んでいく。
「悪いかよ、どーせ泳げねーよ・・・」
(よっしゃーーーーーーッ!!)
男達は目の色を変えての居る一番浅い場所まで猛ダッシュ駆けつける。
誰かがウメダを轢いたが、誰も何も気にしない。
それどころか次から次へとウメダを踏んづけてに近づいていく。
上層部の連中に足蹴にされプールに沈んでいる彼を不幸と言わずに何と言えばいいのだろうか・・・・・。
そんなことはさて置き、まずの手を取って話しかけたのは、
「私が教えてあげよう、手取り足取りバッチリとねv」
胡散臭い歯磨き粉のCMスマイルのマジック。
だが、それを
「いーや、俺が教えてやるよ!ガンマ団NO.1のこの俺が!」
息子シンタローがプールから親父を弾き出し阻止。
だがそれに乗じて、ちゃっかりを抱き寄せていたりするから
所詮は親子である。
「実戦でも使える泳ぎ方なら僕が一番だっちゃわいやv」
「おらに遠泳さやらせたら、日本一だべ!!」
そして油断したシンタローに捨て身のタックルをかまして
の両隣を奪い取ったのはベストフレンドのお2人。
相変わらずナイスな連係プレイだ。
「一緒に泳いどるうちに覚えるじゃろぉて、わしと泳がんか?」
しかしコージは、そのベストフレンドの間に居たを
見事に後ろから掠め取った。
が、それも長くはなく・・・・
「はん!みなはんより、わての泳ぎ方の方がお手本になりますえ」
伊達衆ナンバー1のアラシヤマが
水中に潜んでコージに足払いをかけて転ばせ、その隙にコージと入れ替わった。
うーん。こいつが突如水から出てくると、そこらのホラー映画よりよっぽど不気味だ。
「普通に考えて、ここは教師である私が教えるべきでしょう?」
プールサイドからアラシヤマを足の裏で水中に戻しながら
保護者、兼、教師の高松がを自分の方に引き上げようと手を伸ばしたが
その手は白く美しい手に阻まれる。
「教え方自体なら、お前より私の方が上手いよ、高松」
類稀なる美貌の持ち主サービスは、在ろう事かプールサイドに膝をつき
高く結い上げられたの髪にキスを落としながら、そう進言した。
「、俺が・・・いいか?俺がお前が完璧に泳げるようになるまで付き合おう」
高松とサービスが嫌味ったらしい毒の吐きあいを始めた頃
キンタローはの目の前で熱心な自己アピールを始める。
そして、その横から同系色の長い髪をお団子にしたグンマがぷかぷか浮かびながら
「それより僕と浮き輪使って遊ぼうよぉvV」
と、甘い誘いをかけてくる。
「どないするん?」
「うーーーん・・・・」
やっとの思いで水中から戻ってこれたウメダは、2度とそんな被害に合わないように
プールサイドに避難している。
一方、水の中にぶくぶく顔を半分沈めながら悩む。
ウメダはそれを見て顔を朱色に染めながら、自分もそっとお誘いをかけようとした。
「な、何やったら・・・俺が教えたってもええ・・・・」
「「「「「眼魔砲ッツ!!!」」」」」
どごーんっ!!!
5つの青い閃光がウメダに激突。
不思議なことにすぐ近くに居たには全く掠りもしなかった。
愛の成せる技・・・・とでも言っておけばキレイでしょうか?
そんな激争のせいで思わぬ強敵が
このプールサイドに近づいてきていることを、まだ誰も気づいていない。
そして、その男自身も、この争いを知らない・・・。
一歩、また一歩。
徐々に近づく男の気配に、その男と最も関わりの深い人物であるサービスがやっと気づいた。
高松との毒吐き戦の途中でくるりと後ろを振り向き、更衣室から、ここに繋がっている通路をみると
その男とバッチリ目があった。
男はぱぁっと少年のように笑うと大急ぎでサービスの元に走ってくる。
「サービス!俺のこと置いてくなよ」
「ジャン・・・来たのか」
「来たのかって、ジェット機の運転したの俺だろ!なのにお前さっさと何処か行っちまうし・・・」
シンタローそっくりの顔をした、この男の名はジャン。
サービスと高松の竹馬の友で、元赤の番人で、現在はサービスの館で科学者の真似事をやっている。
「ところで目当てのやつは見つかったのか?」
「ああ、この子だよ」
を引き寄せ自分の隣に来させると、濡れて額にはりついている前髪を優しく掻きあげて
ジャンにその顔を見せる。
「可愛いだろう?私のウサギは」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ジャン?どうし・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・か?」
大きく見開いた目を十数秒以上も瞬きさせず
小さく震える手でゆっくりを指差しながらそう呟いた。
「ジャン、何故お前がの名前を知ってる?」
「あんたが教えたんじゃないんですか、サービス」
「いや、のことは”ウサギ”としか言ってない・・・!」
「ウサギって・・・・・まあ何でもいいですけど」
腕組をしながら呆れ調子で返事する高松。
それでいいのか?保護者よ。
「、お前チン・・・・じゃなくてジャンのこと知ってるのか?」
「いんや知らねぇ」
シンタローがばしゃばしゃ水を切りながらに近づいて問うが
は考えることなく即答する。
ジャンがショックのあまりガ○スの仮面みたいな顔になっている。
「俺だって、!俺だよ俺!!」
「どっかであったっけ?」
「(狽ェーん!?)」
あ、ジャンが隅っこでいじけだした。
「本当に知らないだらぁ?チンのこと」
「パプワ島で赤の玉の番人だったチンだべ」
「実は強いチンじゃけん」
「はっ!まさかチンはんもはん狙いどすか!?」
「てめぇら守ってやった恩忘れやがって・・・・」
よってたかって追い討ちをかける伊達衆に、ちまい反論をするが
所詮は数の暴力に適いやしない。
哀れ・・・元赤の番人。
「ちゃん・・・本当に知らないのかい?」
「うーん・・・・・・”名無し”になら似てる気がするけど・・・」
『”名無し”??』
皆が視線をジャンに集める。
ちくちくと突き刺さる視線の中心にいるジャンは、のその言葉を聞いた途端に
立ち上がって水の中のの手を握った。
「そっか!俺お前に名前言ってなかったんだっけ。そーか、そーか♪」
「あれ?じゃあお前”名無し”なの?」
「その”名無し”っての、もうやめろよ。俺にはジャンって名前があるんだからさ」
「ジャン?」
「ああ。・・・それにしても、お前大きくなったな。一瞬分からなかったぜ」
結局のところ知り合いだったようだが、一体どんな間柄なんだ?
ジャンの言動はいちいち育ての親のようだ・・・・・。
「ジャン・・・・・・・・・」
「何だよ?サービス」
「いまいち話が飲み込めないんですけど・・・・・説明してもらえませんかねぇ」
高松がコメカミの辺りを押さえながら聞く。
他の面々も訝しげに眉をひそめてジャンを睨んでいた。
「あー・・・俺さ、実はの拾い親なんだよ。確か5歳の時だったよな?」
「うん!でもジャン、あの時死んだだろ?何で生きてるんだよ?」
「あー、あれは死んだんじゃなくて、赤の秘石に呼び戻されて・・・・」
「赤の秘石??」
「赤の秘石っていうのは俺の創造主で・・・・・・・・・・」
ジャンは説明下手なので、詳しい説明はここでしよう。
ルーザーに殺された肉体を赤の玉に復元してもらった後、ジャンはとても暇だった。
なので、ちょっとだけ島の外に散歩しに行った。
その時に親に捨てられて彷徨ってるを発見。
どうせ島に戻っても暇なので、そのまま一緒に暮らした。
その7年後、赤の玉に「いい加減に帰って来い」と呼び戻され、肉体を放置して幽体で島に戻った。
「・・・・・・・つーわけなんだよ♪」
「お前、番人なのに島離れるなよ・・・・」
「まあ細かいこと気にするな。元々島に何かあったら直ぐに戻るつもりだったんだし」
そーゆう問題じゃないだろ。
「名前を伏せていたのは万が一にも、ガンマ団の耳に入ることが無いようにですか?」
「そうとーり。流石だな高松」
「どーも」
「しっかし・・・がハーレムに拾われてたなんてな」
「お前は昔から読みが甘すぎるんだよ、ジャン」
「おっしゃるとーりで」
でも、もしが特戦部隊の一員として島に来てたら・・・・・
そう考えるとジャンは背筋に嫌な汗が噴出す。
感動の再会が、そんな最悪のものでなくて本当によかった。
「ジャン、ジャン!」
「なんだよ?」
プールサイドに突っ立って、ハーレムの隣で島を破壊するの姿を想像して
顔を歪めていたジャンの足をがつつく。
そして言った。
「泳ぐの教えて」
『えッ!?』
「ああ、いいぜ。じゃあもっと広いところ行くか」
「うん!」
文句を言う暇なく、集団から離れていく2人。
普通なら割って入ってでも、ジャンを沈めてでも阻止するのだが
それが出来ない理由がある。
それは・・・・
「あたしね、強くなったよ?もうジャンより絶対強いぜ!」
「でかいこと言うよーになったな。ハーレムの影響か?」
「違うもん!本当に強くなったんだってば!!」
「はいはい」
「あー!!信じてねーだろ!」
がジャンを引っ張っていっているためだ。
取り残された十余名は、仲睦ましい2人の後姿をむなしく見送っていた。
気温は現在38度。
湿度は一桁、風力も0。
まさに夏。
男達(ヤロー共)の心の温度は絶対零度まで下降中・・・・・。
焼ける身体 妬けるカラダ
どうにもこうにもオサマラナイ
真夏の太陽のように手加減なしに
温まった水のように馴れ馴れしく
ほら そうやってまた僕を軽々しく刺激する
そうやって僕らを本気にさせる