「えーッ!!やだぁ!」
病院に響くの声。
さて、今度は一体なんだと言うのか。
そして一体何が起こるのか。
はたまた何も起こらない・・・ってコトは無いだろうが・・・
まあ、それは今日が終るまで解りゃしない。
「『やだ』じゃありませんよ。たまには素直に言うこと聞きなさい」
「やだやだ!絶対いやだ!!」
「聞き分けの無い・・・、何がそんなに嫌なんだか理解しかねますね」
全快・・・とまでは言えないものの、
手術後から快調に回復し、数日後には退院を控えるまでに元気になった高松は
上半身を起こして、傍らに居るの耳を引っ張る。
「イダイ、いでででッ!」
「『嫌だ』の一点張りばかりしてないで、さっさと理由くらい言ったらどうです?」
その問いかけと耳を引っ張る事に、一体どんな関係があると言う気か。
もしあるなら是非とも聞きたいものだ。
そもそも話の流れからするに高松が要望者のような気がしてならないのだが、
この男ときたら、完全に頼む姿勢をしていない。
いつの時代も親とは子供に対してやたらめった横暴なものだ。
「だってオレはオレなのにオレって言っちゃ駄目なんて変じゃん」
・・・・・・・・・・・・・・・。
「いいですか?足らない脳みそ酷使して、正しい日本語で、もう一度説明しなさい」
「正しい・・・?え〜っと」
考えてるのかいないのか、よく分らない表情で視線を上に泳がせる。
かと思ったら、今度は眉間にシワを刻み、難しい本を読むような顔で唸りだし
「ん〜・・・、オレもよく分んねーや」
ケロリと笑った。
「はぁ・・・そんな事だろうと思いましたけどね。・・・これだから頭悪い人は」
「オレ頭悪くねーもん。前の期末テストだって98点も取ったんだぜ!」
すげぇだろ!と得意満面に胸を張る。
しかし予想外とも言えるほどの意外な好成績を聞いても、
高松はしごく落ち着いた様子を崩さない。
それどころか、その表情は仄かではあるが笑みを含んでいる。
「そういえばあのテストで自分の名前書き忘れた馬鹿かいましたねぇ」
高松が呟いた言葉に、は肩をビクッと跳ねさせた。
「そうそう、確かその答案の裏面に私の悪口が書いてあったんで2点ほど減点しておきました」
はまたもビクビクッと面白いように反応を返す。
性悪さをむき出しにして高松は笑う。
「どこのどいつでしょうねぇ、そんな阿呆で馬鹿な生徒は。誰だか知ってたら是非教えて下さい」
「オレだよ!悪いか!鼻血工場ッ!!」
「逆ギレですか?嫌ですね、子供のくせにカルシウム不足ですよ」
「怒らせてんの高松だろ!」
「そもそもテストに私の悪口なんか書く貴方が悪いんでしょう。自業自得って書けますか?」
「書ける!!」
「漢字では?」
「・・・書けない」
「でしょうね。名前が無くても誰の答案か判ったのは、平仮名だけで書かれてたおかげですから」
「オレのって判ってて言ってたのかよ!!」
「ええ、勿論ですよ」
「〜〜〜ッ!!」
で遊ぶ高松の表情は、実験中並にサディスティックで
そのサドに、言いようにおちょくられてるの方は、沸騰したヤカンのようになって
今にも熱湯が噴出してきそうだ。
つーか高松、私情を絡めた採点するな。
教師の風上にもおけんやつ。
「本職じゃないからいーんですよ」
さいですか。
「とにかく、今から自分のことは”オレ”じゃなくて”私”にしときなさい」
「変えるの面倒くさいー」
「ではこうしましょう。一度でも”オレ”と言ったら即実験体。
きちんと”私”と言い続けられたら、週末の夕飯は好きなものを作ってあげます」
何だ、そのメリットの割りにリスクが大きすぎる取引は。
「マジで?!どーしよっかな・・・」
やるのか!?
「ん〜、毎日好きなもん食わせてくれるならやる!」
「嫌ですよ。そんな面倒なこと」
「じゃあやんねぇ」
の中では、やらない、という事で意見がまとまったらしいのだが、
高松はそれを良しとしなかった。
「退院したら夕飯に新薬混ぜ続けますよ。いいんですか?」
「狽サんなのオレ食いたくない!!」
「”私”・・・でしょう?。さぁ、言ってみなさい」
「ぬぅぅ」
意地を張ってなかなか言おうとしないに、高松は追い討ちをかけるように
「言わないと朝食にも混ぜますよ」
「何だよソレ!絶対反対!!」
「反対しようがしまいが私はやると言ったらやりますよ」
「ッッッ!高松なんか、高松なんか鼻血にまみれて死んじまえ!!」
「嫌ですよ、そんな死に方」
「バーカ!!鼻血!!」
ガララッ!ガン!!ぎぃィ・・・・・・バタン!
・・・・・・・・・・・。
「見事にドアぶっ壊して行ってくれましたね」
意味不明のような、的を射てるような悪口を吐き捨てられた高松は
やれやれと壊れたドアを見つめて言った。
「まったく、たかが一人称を変えさせるのに、何でこんなに苦労しなきゃなんないんですか」
私はただ”オレ”を”私”に変えて欲しいだけなのに。
「グンマ様くらいバ・・・・・・素直なら楽なんですけどねぇ」
子供の成長は目覚しい。
特戦に所属していた頃より、10cm以上伸びた身長。
キンキンと耳をついた声も少しは大人しくなった。
肌からは子供特有の赤らんだ色素が抜け、桜色が薄く透ける白になってきた。
それはまるで輝く桃真珠のようだ。
それに反して、まだまだ少年のような細い骨ばった四肢や腰、胸、肩だが
これらも数年と待たぬ内に、丸みを帯び女性らしいラインとなるだろう。
が士官学校に入って今日で丸1年。
これを機会に、自分が女であることをキチンと理解させたい。
自身も強くなるを懇願している事も考えれば
それは出来るだけ早くしなければならない。
女のしなやかさは、時に男の力任せな攻撃を凌ぎ、それに勝る強さになる。
入院生活で暇を持て余していた高松が読んでいた古い書物には、
そんな一文が綴られていた。
確かに女が男と同じ腕力になるには、男の何倍も身体を鍛える必要がある。
だが、鍛えた男と、鍛えた女では、また差がある。
性別上、それはどうしょうも無いことなのかもしれない。
けれども、力が強さの全てではない。
現には、自分より遥かに大柄な男達を蹴散らしている。
戦いには、技術、経験、勘、才能、速さ
・・・と、様々なステイタスとパラメーターが求められる。
力はあくまでも、その中の一つでしかない。
そしては既に、そのほとんどにおいて高い数値を弾き出している。
ではが今以上強くなるには何が必要だろうか?
高松は考えた。
考えに考え抜いた。
そして出した結論が『女であることを自覚させること』であった。
だがしかし、そんな甲斐甲斐しいまでの高松の親心は
悲しきかな
娘には伝わらなかったのだった。
「”私”が駄目でも、せめて”あたし”とくらいは言ってもらいたい・・・」
女の子を育てるシングルファザーの気持ちを知る43歳の苦悩。
「あー!もうムカつく!!」
「そうタギるなや、暑苦しゅうて敵わんわ」
病棟を飛び出したは、ウメダとばったり会い
廊下を歩きながらウメダに高松との一部始終を話していた。
「ウメダは何でオレがオレって言っちゃ駄目なんだか分る?」
「さぁ、Drの考えとることなんて俺には想像つかへんな。他の誰かに聞けや」
「そだね。そーする!」
「まあ適当にきばっとき」
「うん。ウメダまたなー!!」
ウメダと別れたは、行く先々で会う人会う人に謎掛けをした。
「なんでオレは”オレ”じゃ駄目なんだか分る?」
誰もこの謎には答えられず、首を横に振るばかり。
それでもは諦めずに団内を走り回る。
まるでアリスに出てくるウサギのように、走る走る。
小一時間も過ぎた時には、総帥室のある最上階の1階下にまで来ていた。
その廊下をやはりバタバタ走っていたは
前方を歩く人影を見つけた。
長い髪を揺らし、堂々と歩く男。
「あ!!シンタローッ!!」
「ッ!?」
は、歩く男の背中に、思いっきり飛びついた。
否、正しくは、タックルした。
予期せぬ事態に、”シンタロー”は危うく転びそうになるも、
反射的に片足を前に突き出し、それを堪えた。
”シンタロー”は自分の背中に突如飛び掛ってきたモノが何であるかを確かめるべく
青い双瞳をに向けた。
「あれ?シンタロー、眼何で青いんだ?髪も金色になってる・・・」
「・・・人違いをされたのは初めてだ」
「何言ってんだよ、シンタロー」
金髪青眼の”シンタロー”の背中にへばりついたままで、不思議そうに小首を傾げる。
「俺はシンタローじゃない。俺は・・・・・・キンタローだ」
金髪青眼の”シンタロー”は少し渋ってそう名乗った。
・・・と、いうことは必然的に”シンタロー”とは別の人間ということになるのだが、
はどんぐりのように丸くした目をパチパチ瞬きさせ
「キンタロー?シンタローじゃねぇの?こんなそっくりなのに」
「・・・俺とアイツが・・・似ているだと?何処がだ?」
「似てるっつーか同じ?髪とか眼の色は違うけど・・・。うん、同じ!」
シンタローとキンタロー。
確かに両者とも整った顔ではあるが、その質は全く違う。
それはもう極端なほどに。
しっかりとした黒髪をたなびかすシンタローはイカにもな兄貴的な風貌の男だ。
だが、サラサラの金髪を風に流すキンタローは
どちらかと言うと、高等マフィアの跡取り息子のようだ。
殺し屋組織の一族と聞けば、どちらがソレっぽいかは一目瞭然。
それほど違う外見の2人を、見間違っただけでなく
『同じ』と断言する。
キンタローは初めて感じる戸惑いを隠し切れないで、訝しげな表情になる。
「・・・お前、確か名前は””だったな」
「オレのこと知ってんの?」
「ああ、シンタローと話してるのを見てた」
「見てたって何処で?」
「シンタローの中だ」
「中?シンタローってチャックでもあんの??
つーか中に居たキンタローがココに居るんじゃ、今は誰がシンタローん中に入ってんだ?マジック?」
キンタローが自分を知っていること。
その理由はシンタローの中で見ていたからということ。
どちらもの理解範囲は超えて、未知の領域で、はキンタローの言うことを
自分なりに理解しようと思いつくことを片っ端から言った。
キンタローは早口の質問にどう答えていいか分らず、
の口を自分の手で塞いだ。
「少し黙れ、答えるより説明した方が早い」
「んぐ。んーんん」
コクコクと首を縦に振って、キンタローの意見を受け入れる。
それを見てキンタローはから手を離すと、
何かを思い出すように切な気な瞳でゆっくり語りだした。
「俺はマジックの弟、ルーザーの息子だ」
の知らない名前。
マジックの弟ということはハーレムの兄・・・あるいは弟ということになる。
は脳の片隅に、ハーレムの髪型のマジックを思い浮かべた。
「そしてシンタローの中で24年間、ずっと閉じ込められていた。
だが、ついこの間、シンタローが死んでおかげで俺がこの世に出てこられた」
「シンタロー死んだの!?」
「いや、今は生きている。だが、1度・・・いや、2度死んだ」
「2回も!?シンタローすっげぇな!で、で?どーなったんだ?」
信じられない話をあっさり信じて、は更にキンタローの話に聞きかじる。
キンタローは深く息を吸って、一層深い悲しみを灯した瞳で
島であったことを語る。
「覚醒した俺はコタローと2人で団内を彷徨った。そこに現れたのが・・・ハーレムだ」
「ハーレム!?」
「そうだ。そして俺は特戦部隊と共にあの島に向かった。シンタローやマジックの行ったあの島に」
「壊しちゃったのか?その島。オレ行って見たかったのに!!」
特戦部隊の出動とは、”攻撃目標 全破壊”
行ってみたかった島が、大好きなやつらに壊されたと思ったは
複雑な気持ちを直接キンタローにぶつけた。
「島は壊れた。だが、壊したのは特戦部隊じゃない。コタローだ」
「コタロー?さっきも出てきたけど、そいつ誰?」
「コタローはシンタローとグンマの弟だ。今は本部で眠っている」
「シンタローとグンマの弟ぉ?」
「言い忘れていたが、あの2人は従兄弟ではなく兄弟になった。そしてその3人の従兄弟が・・・」
「キンタロー?」
「・・・そうだ」
間を置いて一言で答えた。
はふーんと納得したようにキンタローをマジマジと見る。
送られる視線がどうにも居心地悪く感じたキンタローは、を軽く睨んだ。
「俺に言いたいことでもあるのか」
「うん。ある」
「何だ?」
「あのさ、今度はオレの話聞いて」
「お前の話だと?」
「うん!」
にぱっと効果音が聞こえるような笑顔をキンタローに向ける。
わきわきと身体を動かしながらキンタローの返事を待つは
キンタローにとって、何とも不思議な存在であった。
「いいだろう。聞いてやるから話してみろ」
自分でも何故そう言ったのか分らない。
でも、シンタローの中から見ていた時から
はキンタローにとって気になる人間の一人になっていた。
その理由は?
[(あの時の俺には、今あるモノが無かった)]
俺のために涙を流してくれる人間も
俺を従兄弟だと慕ってくれる人間も
俺が”父さん”と心の底から思える人間も
あったのは、シンタローを殺してやりたいと思う自意識(プライド)と
早く外に出たい、自分になりたい、という心逸感(ジレンマ)だけ。
俺は父だと思っていたマジックに存在すら知られていなかった。
だが、は実親に捨てられながらハーレム達に認められていた。
この差は何だ?
存在を無視された俺と、存在を否定された。
同じ”孤独”を持っているはずだ。
俺はシンタローの中で一度も笑ったことはなかった。
俺の見る限り、はいつも笑っていた。
何故そうも笑っていられる?
お前は”孤独”なはずだ。
の姿を見るたびに、言いようの無い不快感が俺の身体に満ちた。
あの不快感の正体は多分”嫉妬”だ。
自分を確立しているが眩しかったんだろう。
眩しくて眩くて、眼を逸らした。
俺の居た暗がりからでは、太陽()の光は強すぎて、眼が痛かった・・・
「で、みんなに聞きまわってんだけど・・・キンタロー分るか?」
「・・・・・・・すまん、聞いてなかった」
「マジで?あんな真面目な顔してたのに?!全然聞いてなかったのかよ!?」
「ああ」
「ぶっ!キンタローって意外とボケてんだな」
やはりは眩しい。
直視しにくいほど眼に優しくない光だ。
だが今俺の居る世界は暗くない。が居る世界と同じ世界だ。
俺の”孤独”はここには無い。
「じゃあもう一回話すから、今度はちゃんと聞いてろよ!」
「わかった」
はキンタローが今度こそしっかり自分の話を聞こうとしてるのを確認してから
身振り手振りを加えて、自分の話をしだした。
「オレ今な、何でオレが”オレ”って言っちゃ駄目なのかよく分んないから、
誰か分るやついないかな〜って思ってみんなに聞きまくってんだ」
「そういうことか」
「そーいうことだ。・・・で、キンタロー分んねぇ?」
「わからん。だが、お前が自分をどう呼ぼうが、お前である事に変わりないだろ」
言葉なんて所詮は包装紙。
どんな立派に包んでも、それで中身が変わることは無い。
「そーなんだけど・・・結局何で”オレ”じゃあ駄目なのかが分んない」
「大体、なぜ駄目だと思う?」
「だって”私”って言えって怒られたんだもん。それって駄目って事だろ?」
「確かにそうだな」
「あーあ、誰か分るやついねぇかな〜」
白樺の細枝のような手を組んで、頭を捻るを、キンタローは何を悩んでいるんだ?
と言わんばかりの表情で、に言った。
「駄目だと言ったやつに直接聞いたらどうだ?」
「あっ!その手があった!!」
「気づかなかったのか?」
「全然気づかなかった。んじゃ早速高松のとこ行こう!!」
「高松?・・・ちょっと待て」
「うぉッ?!」
嬉々としたようすの口から嬉々とした声で高松の名が飛び出ると
キンタローは無意識にの肩を掴んで、行動を停止させた。
は、突然肩だけ押さえられたので
既に走り去ろうと回転しかけた足がムナシク宙を掻き
「でぇッ!?」
その場で後ろ向きにすっころんだ。
「ててて、何すんだよキンタロー」
「それを言ったのは高松なのか?」
「”オレ”って言うなって怒ったやつのこと?そーだよ。キンタロー高松のこと知ってんの?」
尻餅をついたは、打ち付けたお尻を痛そうに擦る。
キンタローも悪いと思ったのか、手を差し伸べてが立つのを手伝った。
「高松は俺の・・・大切な人間だ」
そう言うと、それまで哀しみで覆われていたキンタローの青い瞳が様子を変えた。
それを下から覗くようにジィッと見入る。
「キンタローの眼、一番シンタローと同じ感じがする」
「あいつの眼は青じゃない、黒だ」
「色じゃなくって、中の方がすっげぇキレイに光ってんだよ2人とも。ピカピカした石みたいに!」
石?宝石か何かのことを言っているのか?
「つーか今思ったんだけどさ。シンタローとキンタローで並んだら絶対キレイだぜ」
「何故だ?」
「シンタローの眼って時々ちょっと赤っぽく見える時あったんだ。
赤と青って全然違う色だから、一緒だと余計キレイに見えるじゃん?だから思ったんだ!」
「赤と・・・青。シンタローと、俺が・・・」
赤と青と言われれば、キンタローの頭には真っ先に秘石のことが記憶に甦る。
自分たちの運命を支配していたあの石のことを。
自分達を作り出した秘石。
自分達の運命を狂わせた秘石。
だが、呪縛からはもう解き放たれた。
脅えることなんて何も無い。
最近まで敵だったものと限りなく近い形のものを、俺とシンタローが持っている。
運命を壊した男と、俺が。
そう思うと、今まで感じたことが無いくらい清清しい気分になれた。
「呪縛は消えても、秘石は俺たちと共にあるということか」
片目を軽く押さえ、閉じた瞼の奥で、あの島を思い浮かべた。
「、お前が俺たちの”秘石”を嵌めて置く門になれ」
決して力が暴走しないように。
2色の力が対立しないように。
きっとなら門になれる。じゃないと駄目だ。
新たな秘石の存在に気がついたにしか、こんな大役は務まらない。
「いいよ、じゃあキンタローはオレの友達になって!」
そう言って右手をキンタローの前に突き出した。
キンタローはそれに戸惑いながらも、ゆっくりの手を握り返した。
以前にシンタローがしたのと同じように。
「・・・友達が出来たのは初めてだ」
「そーなんだ?じゃあ今度オレの友達紹介する!!」
「いや、いい」
「なんで?」
キョトンと見上げてくるの顔は、キンタローの眼には、やけに可愛く見えた。
思わずひょいっと片手で抱え、形のよい頭を・・・撫でた。
「俺の友達はお前一人だけでいい」
海に浮かぶサファイアは
夕焼けを閉じ込めたルビーの知らない所で
小さな小さな恋をした
自分さえも気づかないちっぽけな恋をした
”ちっぽけな恋”は やがて”大きな愛”へ名前を変えて
純金のために輝きを増し続ける