「あー、制服は肩凝るっちゃ」
「あの島居た時は楽だったべ」
「そうだっちゃね」



ガンマ団本部をきっちり制服を着込んだ姿で歩いているトットリとミヤギ。
まだパプワ島から戻ってきて間もない二人は
シンタローに呼び出され、総帥室へと向かっていた。



「ぶっ!」



そして廊下の角を曲がった所で、僅かに先を歩いていたミヤギが何かにぶつかった。



「ミヤギくん!大丈夫だっちゃか?!」
「おお、平気だべ」
「すまんのォ、ぶつかってしもぉた・・・っと、ぬしらじゃったか」
「そういうおめはコージでねぇか」
「本当だわいや!髪切ったんやね」



ミヤギがぶつかった大柄な男、コージ。
つい数日前にミヤギとトットリ、それとこの場には居ないもう一人と共に
島から帰って来た刺客の一人だ。

彼の落ち武者のように長かった髪は
今やスポーツマンのように短くざんばらに切られていた。



「邪魔じゃったけん、昨日自分でやったんじゃ。似合っとるじゃろv」
「ミヤギくんもコージも短くしたっちゃね。僕もそろそろ切るがや」



仲間はずれになりたくないトットリは
まだ一人だけ島に行く前と変わらない髪型をしてる自分の髪を弄りながら
そう呟いた。



「別に無理して切ることねぇべ」
「そうじゃな。トットリは十分短いじゃろが」
「嫌だっちゃ。僕も切るんだわいや!」
「こないなところで騒いでへんで静かにしなはれ」


トットリの真後ろから聞こえる特徴的な訛りの声。

3人が振り返ると、そこには想像通り
島から帰って来た刺客の最後の一人、アラシヤマの姿があった。



「廊下は公共の場どすえ。子供やあらへんのや、騒ぎはるのも横並びも控えてほしいど・・・
「ああーーーーッ!!!」
「・・・す」


嫌味台詞が終わらぬうちに、トットリが指を刺してアラシヤマに奇声とも言える叫び声を降らす。
自分の言葉を全く聴いて無いであろう、その忍者に
アラシヤマの機嫌は一気に急降下した。



「なんどすのん。話も聞かへんで人を指差しよるなんて」
「アラシヤマの左目が出てるっちゃ!!」
「左・・・ああ、髪切りましたからな。それがどう・・・」
「ずるいっちゃー!!僕も今すぐ切りたいっちゃ!!」



ギャーギャー騒ぐトットリに唖然としたアラシヤマは
肩をすくめているコージとミヤギに視線を送った。



「一体なんどすの?この童顔忍者はんは」
「髪が切りたいらしいべ」
「はぁ、そうどすか。それだけどしたら、わては失礼すますわ」
「どこ行くんじゃ?」
「シンタローはんの所どす。”親・友”のわてに直接のお呼び出しどすえ〜vv」



バックに花を撒き散らし、まるで2世代前の少女漫画のヒロインかのごとく
軽やかに踊るアラシヤマを尻目に、コージとミヤギは互いの顔を見合う。



「アラシヤマも呼ばれとったんか」
「オラ達4人さ呼び出して、シンタローは何すっつもりだべか?」
「さあのォ。じゃが、早く行った方が良さそうじゃ」
「なんでだべ?」
「約束の時間をとぉに過ぎちょる」
「本当だか!?早ぐ行がねぇとシンタローが怒るべ、ほれ行くだぞトットリ」
「ッ?!待つっちゃミヤギく〜ん。コージ」



ミヤギの一声で、騒いでいたトットリは急いで2人の後を追う。

後に残されたのは・・・



「シンタローはんvわては何処までも着いて行きますえ〜vvバーニングラブどす〜vv」



自分の世界に浸かって幸せいっぱいなアラシヤマ一人きりだった。
いつだってオンリーワン。

訳:オンリー(だけ) ワン(一人)














「シンタロー、入るけんのぉ」
「おっせーぞ!10分も待たせやがって」



厳重そうな扉を潜ったコージ達が見たのは
高そうな椅子に浅く座って、同じく高そうな机に片肘をついて
その手の上に高そうな・・・
じゃなくて端正な顔を乗せた新総帥だった。



「すまんべ、シンタロー」
「ごめんだっちゃ」



背の高いコージの背に隠れるようにして
ミヤギとトットリも部屋に入って来た。



「一応聞くけどアラシヤマはどーした?」
「途中で会ったけど置いてきたっちゃ」



爽やかな笑顔で答えるトットリ。
いつもなら『よくやった』とばかりご満悦になるシンタローだが
今日はちょっと眉を曇らせた。



「ったく、今回はあいつも来ねぇと駄目だっつーのに」
「そーなんだか?」
「まあな。・・・あんましやりたくねーけど、仕方ねぇ。やるか」
「やるんだっちゃか?」
「やりたくねーけどな」
「シンタローも一苦労じゃな」



意味深なやりとりを繰り返す一同。


そしてシンタローは、覚悟を決めてその名を呼んだ。




来いアラシヤマ・・・




同じ室内の3人ですら聞き取れないような小さな声だった。

しかし



「今ワテのこと呼んでくれはりましたなvシンタローはん!!」



アラシヤマはやってきた。
そして歓喜の声をあげた。

ハートをそっこら中に飛ばしながら、興奮の炎を身に纏いながら
シンタローの足に抱きつきながら・・・



「うおー!!離れやがれ!熱ィんだよ」
「嫌どす、わては一生離れまへん!!」



NO1と、NO2が、己の命をかけている最中
他の者たちと言えば



「わー、アラシヤマいつもより燃えてるっちゃねミヤギくん」
「シンタローもいつもより必死だべ」
「茶菓子は無いんかのォ、シンタロー」



仲良くお茶中。

ちなみにアラシヤマが眼魔砲にて始末されるまで、あと数秒。












「それでシンタロー、オラ達を呼び出した理由は何だっぺか?」
「ああ、それな。あの発火物のせいで忘れてたぜ」
「ううう、既にNOT人間扱い・・・・・愛が痛いどすぅ〜」
「んな気色悪いもん、お前には一切無い・・・!」



取りあえず落ち着いた総帥室にて、シンタローは改めてアラシヤマに精神攻撃。



「あっと、用件の前に決まった事があんだよ。それ先に言うぜ」



椅子にふんぞり返ったシンタローは、机の引き出しをごそごそ探ると
机の前に並んで立つ4人に安物の茶紙に包蔵された荷物を
一人一人に投げた。



「なんじゃ?」
「開けてみるべ」


ミヤギの声で、4人が一斉にがさごそ包みを開けだす。
紙を床に捨て去り中に収まっていたものは、
今までのものとは違うスーツのようなデザインの制服と、ネクタイ。
一着づつ色の違うコートと、ガンマ団のマークをそのまま象ったバッチ。


4人は顔を見合わせ、ほとんど同時にシンタローを見た。


シンタローは、ワケが分らないと顔に書いてある4人を見て、
楽しそうに口元を笑かす。


「これって・・・・」
「わてへの愛のプレゼントおすか?!」
「眼魔砲」



ちゅどーん・・・



「馬鹿のせいで話が逸れたが、今日からお前ら4人で”伊達衆”な。階級は部隊長の上だ」
「「「「・・・・・・・・・・は?」」」」



説明されても状況が飲み込めない一同が、より顔を崩しても
シンタローは話を続ける。



「で、仕事内容は主に各地の統治と俺の直接命令。
現地で起こった問題は、よっぽどじゃなければお前らに全部任す。けど報告だけはしとけよ」

「ち、ちょぉ待っておくれやす」
「どーゆう事だっちゃ?!」



4人は、ここまで説明され、ようやく今説明されていることが
かなりの大事であることに気づく。

現場での一切を任されるということは、
部隊長どころか一般課士官長クラス・・・いやもっと上か?
とにかく幾ら実力があっても、ある一定以上の歳を重ね、戦闘経験を積まなければ
普通は一団員以上にはなれないもの。


それなのに突然そんな高い地位が舞い込んでくるなんて・・・



「シンタローはん。幾らなんでも、それはイキナリすぎやおまへんか・・・?」



野心家なアラシヤマすら躊躇しざるを得ない。
だが、シンタローの方は全く問題にせず



「何言ってんだよ。お前らあの島で、歳くった連中以上に経験値増やしたじゃねーか。
実力は元々あるんだから、何も問題ねぇだろ」



確かに・・・。

No1と謡われたシンタローや、エリート中のエリートである特戦部隊と戦った事のある人間なんて
今の一般課には居ないだろう。



「ちなみに特戦部隊とはどっちが上なんじゃ?」
「そーだな。あっちは別に階級ってわけじゃねぇし・・・・・・お前等だと思うぜ」

「「「特戦部隊より上ッ?!」」」

「ほぉ〜、そぎゃん立場にわしらがなるんか」


質問者コージと回答者シンタロー以外は、
物凄い形相で制服一式を、ガタガタぶるぶると震える手で握り締める。



「オラ達が・・・・・・夢みたいだべ」
「痛いっちゃ。でも痛いってことは夢じゃないがや、ミヤギくんv」
「わてが、わてがお師匠はんより高階級・・・vv」
「この制服も、わし好みの男気溢れた制服じゃけんのぉv」



一部見当違いなことを言っているが、
過半数はシンタローから聞いた事実に、喜びや驚きを露わにしている。


一人は隣の親友の頬を抓って現実を確かめ
頬を抓られた者は、幸せそうな綻び笑いで制服を抱きしめ
そして陰湿な雰囲気の者は『フフフフフ・・・』と嬉しそうに笑ってるが、眼は大真面目だ。


まあ何にしても皆、思い思いに感動していたが
シンタローの



「言い忘れたけど給料はそのままだぞ」



の一言に、ピタッと面白いように固まった。



「要は、仕事内容が部隊長で、給料は一般兵・・・ちゅーコトどすか?」
「まあそういう事だな」
「なんでだっちゃ?昇格したのに給料上がらないなんて聞いたことないっちゃよ!」
「んだんだ!!一般兵と同じ給料の上司なんて格好つかんべ!?」
「うるせーなぁ。いっぺんは喜んだくせに・・・」
「ちぃとばかり何とかならんかのォ、シンタロー」
「無理。階級上がったんだから、そんくらい我慢しろ」
「せ、せめて時給100円でも・・・」
「却下」



様々な異議異論意見が飛び交うものの、全てに一瞬で判決が下される。
それどころか最後には



「お前らなぁ!特戦部隊に比べりゃマシだろ!!」
「「「「う・・・・・・・・・・;」」」」


と言って黙らされてしまう始末。


それでも不満満面な顔に変わりはなく、今にも文句が口から出てきそうだ。
シンタローは仕方なしに最終手段をとる。






「仕方ねぇ。なら上層会議でもやるか?」



上層会議。
ガンマ団の各部隊、上位5人が参加し、議案内容を検討して決議するシステム。

この会議中は、いかに総帥とは言えど独断で決をとることは出来ない。

何故そんな民主的なシステムがガンマ団にあるのかというと・・・
それは後ほど。


さて、そしてシンタローからのこの提案を出された(仮)伊達衆の4人は



「「「「頼む(っちゃ)(べ)(どす)(けんのォ)」」」」


異論無しで僅かな希望を、上層議会にかけたのだった。




シンタローは面倒くさそうに、机のリモコンを巨大なモニターに向けてスイッチを押した。



『やぁシンちゃんvどぉしたんだい?何か困ったことでも起こったならパパが何でも・・・・・』
「うるせーよ、ちょっと黙れ親父」
『ううう、シンちゃん酷い・・・パパ泣いちゃう』



つい先ほどアラシヤマと似たような行動と言動をする元総帥に
アラシヤマを除く4人は、ぐったりしたように溜め息をつく。



「上層会議やりてーんだけど、秘書課に5人出すように言っておいてくれ」
『わかったよv伝えておこう。他の連絡も私がしておこうか?』
「いや、いい。自分でやる」
『そうかい?それなら私は大人しくシンちゃんの総帥ぶりを見守ってるよvv』
「いや、止めろ」
『上層会議には私も出るからね〜v』
「もっと止めろ!」



ブチッ。

シンタローは画面の向こうで人形片手に
盛大に手を振るマジックを強制的に消した。




「さて、次だ・・・」



疲れたようすを見せながらも、シンタローの手はリモコンを操作し
マジックの居る元総帥室とは別の場所に標準を合わせて
またも、スイッチを押した。



「シンタロー、画面つかないっちゃよ?」
「っかしーな。壊れたか?ちょっと待ってろ」



シンタローは椅子から立って、モニターを直接弄りだした。
どうやら少し時間がかかるもよう。

その間、少々”伊達集”に任命されそうな4人の会話を聞きましょう。



「やったべ!上層会議さえ開かれれば、あげな無茶な階級に任命されなぐで済むべ!!」
「そうどすな。お師匠より上のランク言うんは魅力的どすけど、あん条件は遠慮願いますわ・・・」
「そがしょ。青の一族は金に汚いだらぁ、それ以外のみんなはきっと僕らの味方になってくれるっちゃ」
「特に特戦部隊のハーレム様は酷いもんじゃけん」
「あのお方は別格どす。ロッドはんの話やと、特戦部隊の新入りはん・・・リキッドは初任給10円やったとか」
「10円だか!?今時、幼稚園児だって100円は貰うべ?!」
「うぬぬ。意外と苦労人じゃのォ、あの男も」
「悲惨だっちゃ、特戦部隊」



以上。
”伊達集”になるかならぬかの瀬戸際の男達の会話終了。




「よーし!直ったな。スイッチオン」




シンタローの声と同時に、少しブレた画面は徐々に色を増やし
誰も居ないどこかの談話室を映し出した。

高さの無い低めの長方形のテーブル。
その四方を2種類の長さのソファが囲んでおり、奥には簡易キッチンがある。

何より印象的なのは



「シンタロー、これ何処だらぁか?見たことない場所だっちゃ」
「それにすても、凄まじい酒瓶・・・いや、空き瓶の数だべ。何十人で宴会やったんだべか?」
「団内じゃ無いんじゃろうが・・・・・・ん?どうしたんじゃ、アラシヤマ。顔蒼くさせよって・・・」
「ななな!こ、ここ、なん!ッこ・・・此処はぁぁぁああ!!!」



?マークを浮かべるミヤギ、トットリ、コージとは対照的に
アラシヤマは一人、映し出された場所に見覚えがあるようで、
かなり重度で混乱している。



『あんれ〜、
隊長。モニターのスイッチ入ってますよぉ』
『あ〜ん?どーせ兄貴じゃねぇのか?放っとけ放っとけ!!』
『では切ってまいります』
『おう、ついでに
ロッドと酒の追加持ってきてくれ』
『え〜、俺もですかぁ?
マーカーちゃん一人で行ってきてv』
『いいから行けっつの!
Gは俺と飲み比べの続きやんぞーーv』



最後の声が聞こえてすぐに2つの足音が、近づいて来ているのか、
徐々に大きく聞こえ出す。



「・・・誰か来るんじゃ?」



コージ、ミヤギ、トットリは画面に誰が映るのか気になって興味深く見る。

一方、誰が出てくるのか予想がついているシンタローはいつもと変わらない様子で
耳慣れた口調と声で、想像がついてしまっているアラシヤマは、涙混じりに

やはりジッと画面を見る。


そして映ったのは・・・




「「「ぎゃぁぁああああ!?マーカーッ?!」」」
「どひィぃぃいいイイ!?やっぱりどすえぇぇェええッツ!!!」



オールバックが素敵な3×歳、炎を操るナイスミドルでした。



『・・・喧しい』
『おっ♪京美人じゃんv他の連中も、その後の具合はいーのかぁ?』
「ロッドはん?!じゃあやっぱり其処は・・・」



画面の横からヒョイッと顔を覗かせたイタリア人の存在により
アラシヤマの予想は無残・・・見事に・・・・・・・



『特戦部隊の通信に何の用だ?・・・おい、聞いているのか、お前等』



当たったのだった。



まだ記憶に新しい敵だった・・・・しかも自分達をコテンパンに打ちのめしたマーカー本人が画面に映った瞬間
シンタロー以外の面子は、口から”何か”得体の知れないものを出して驚き全開。

そしてその驚きはロッドの出現にて、更に色濃いものへとなった。

極めつけの”特戦部隊”という単語が出てきた時ときたら、もはや廃人に近い状態で、
まさにトドメの一発だった。




そんな惨劇の中、シンタローだけはまともに、マーカーの問いかけに答えた。




「よぉ、特戦部隊。ちょっとあの飲んだくれ出してくれよ、つーか出せ」
『おーおー、威勢がいいねぇ。最近の坊やは』
「いいからハーレム呼んでこい」



画面の右側に居るハニーブロンドの半裸男がからかうように言う。
シンタローはそんな事に怖気づくことなく、再度強く言う。



『ロッド、呼んできてやれ。”新総帥”のご命令だ』
『そーだな。”新総帥”様、直々のご・命・令だしねん。んじゃ呼んでくるわv たーいちょー!』



ロッドが再び画面から消える。
左側に居たマーカーは、相変わらず動く気配は無いが・・・。


「お前はもういいぜ?」
『私が居ては何か問題でもございますか?』
「別にねーよ」
『そうですか。それでは居させて頂きます、”新総帥”』



クドイほどに”新総帥”の部分を強調して言うマーカーとロッドに
何ともいえない腹立ちを感じる。

別にハラワタが煮えくり返るほどではないのだが、
まあ、俗に言う『カチンとくる』というやつだ。



「けっ、嫌味くせぇオヤジどもだぜ」
『お褒め預かり光栄です』
「こいつの師匠なだけあって毒吐きだな、てめぇ」
『私が認めているのは、ハーレム隊長ただ一人ですので』
「別にいーけどよ、そのうち実力で認めさせっから」
『楽しみにしていますよ。』



さり気なく『お前を総帥とは認めない』と布告されたが、それには腹が立たなかった。
そう簡単に全員に認められるとは思っていなかったし
特戦部隊ほどの実力者なら、それも当然だろう。

その辺は時間をかけて自分の力量と器を見せ付けていかないと。


それに、特戦部隊はまだいい。
隊員にとって絶対的な存在である隊長が、自分を認めているから。
だから過激な真似はやらかしても、反逆などに繋がることは(多分)ない。



団内には、殺し屋からお仕置き集団への移行を良しとしない者たちの集団も
少なからず居るらしい。
そういう連中を押さえ込む、もしくは説得するには
やはり、自分を支持してくれる人間が必要不可欠だ。


口では決して言わないが、”伊達集”結成の理由もその辺りが強い。

そしてこの4人には共に死線を越えた信頼関係がある。
シンタローにとって、これ以上強い信頼置ける人間はいないだろう。





しばらくすると、またも画面に映らない場所から複数の足音が聞こえ出した。



『シンタローから連絡だとぉ?あのガキが俺に何の用だよ?仕事かぁ?』
「違ぇよ、叔父貴。上層会議開催の連絡だ」
『あぁ?上層会議?兄貴がお前の名前決めるってんで作ったアレか?』



シンタローがやってきたハーレムと喋っていると
復活したメンバーの代表として、ミヤギがそっとシンタローの肘を叩き、コッチを向くように促した。


そして小声で・・・



「シンタロー、何で特戦部隊に連絡する必要があるだ?!」
「そりゃアイツらだって部隊の一つだからな」
「そ、そんなぁ〜どす」

『おい!人のこと呼んでおいて放っとくんじゃねーよ』
「ああ、悪ぃ。で、特戦部隊全員参加で頼むぜ」
「「「「全員ッツ!?」」」」
『ちっ、面倒くせーな。わぁったよ』



頭をガリガリかきながら、本当に面倒くさそうにするハーレム。
その後ろで、前に映ったときよりも垂れ目をトロンとさせたロッドが
笑顔で園児のように手を振っていた。



『つーか新総帥v会議内容って何なんですかぁ?』



どうやら酒を追飲してきたらしく、声からも酔ってることが伺える。
どうでもいいが、物凄く楽しそうだ。

一応書いておくが、ロッドの隣では酒瓶を抱えたGが泣いている・・・。



「コイツらの給料増額するかしないか」

「「「給料?!増額ッ?!」」」



特戦部隊の目の色が恐いくらい分りやすく変わった。

ギラギラと飢えた獣のような視線を、ミヤギ達に這わせ
画面越しでも伝わるほどの殺気に満ち溢れている。



「おい、アラシヤマ。今の月給額を言ってみろ」



マーカーが静かなる声で問う。
そのあまりの恐ろしさに、指名されたアラシヤマ以外の面々も、恐怖で表情が凍りついた。
当のアラシヤマときたら、人生にさようなら・・・とでも言いそうな勢いで
激しく涙と血を際限なく垂れ流している。



「早く言え・・・燃やされたいか?」
「は、はいどす!島に行く前に貰っとりましたんは月給で・・・」













アラシヤマの答えた金額は、普通より少し多い程度のものだった。

その証拠に、コージも多めの時は同じくらい貰っていたし
ミヤギ、トットリも、それを下回るが似たような額を貰っていた。

それを考えれば、No2である者の給料としては、むしろ低いと思う。








だが、特戦部隊の者たちには、そう思えなかったようです。







『はぁぁぁあ??!!ありえねーし!!何でお前そんな貰ってんだよッツ!』
「ろ、ロッドはん?!」
『うぉおおぉお!!俺達の、俺達の給料は・・・ッくぅぅうぅ!!』
「Gはん、大丈夫おすか?」
『やはりトドメをささなかったのは私の間違いだったようだ・・・』
「お師匠はぁぁん!?皆はん目がッ、目が仕事の時の目でっせ!?」



ついさっきまで陽気に笑っていたイタリア人が、

いつもは寡黙で物静かなドイツ人が

幼いときから育ててくれた厳しくもクールな中国人が



暴風を纏い、地響きを唸らせ、赤炎を散らしながら
アラシヤマを親の仇のように睨んでいた。


そしてこの時





「皆はん!落ち着いておくれやす!!えっ?!あ!
ぎぇええエぇェえェえッツ!!!!










特戦部隊は通信機器の限界を超えた。





















「アラシヤマ生きちょるか?」
「駄目だがや。原型すら残ってないっちゃ」
「特戦部隊恐るべしだべ」



3人は見るにも耐えないアラシヤマに、最後の情けをかけてやり
手を手を合わせ、静かに祈りを捧げ・・・



「勝手に殺さんでおくれやす!!」



なかった。




「あーあ、またモニター壊れちまいやがった」



アラシヤマの無事の有無など気にもとめていなかったシンタローは
特戦部隊の連中の必殺技を、見事に通信しきったモニターに向かって
ガッカリしたように呟いた。



「シンタロー、一つ聞きたいだらぁが・・・」
「その・・・オラ達も、上層会議出るんだか?」



この質問にシンタローは、当然とばかりに頷きながら





「会議は特戦部隊とお前とのタイマンになるだろーから、まあ殺されない程度に頑張れよ」








この一言で、4人が必死でシンタローに頭を下げて
上層会議の取り止めを請うたのは言うまでも無く
取り止めの条件として、給料は現在額維持のままで、”伊達衆”に就任するのを
4人が4人とも承諾したのは、更に言うまでもないことなのだった。




こうしてこの日、新ガンマ団の中枢を担う”伊達衆”が誕生した。













NEXT→