「いただきまーす!!」



低血圧とは程遠い元気な声が

今日も獅子舞ハウスから聞こえてくる。





「ちょっと待て。

「はに?(なに)」

「待てと言った傍から食うんじゃない。この食い意地娘が」

「あー!あたしのタマゴサンド返せよ!」

「人の話を先に聞くという礼儀を少しは持て」

「ああー!!食うな馬鹿!」


が口にくわえたサンドイッチをちぎって奪い
自分の口に運ぶマーカー。

心の中で「の食べかけ・・・ククク」
などと変態じみた悦に浸ってることを全く外に悟らせないのは、流石としか言いようが無い。



「あたしのタマゴサンドぉ・・・あたしの・・・・」

「・・・・。これを」

「え?Gのやつ食っていいの?ありがと!」


Gから受け取ったタマゴサンドをほくほくとした顔で受け取り
またマーカーにとられてしまわぬよう、今度は一口で頬張った。

その拍子にパンからはみ出したタマゴが
べっとりとの口元を汚す。

それに目をつけたのは、隣に座っていた獅子舞・・・もといハーレム隊長。


ちゃ〜ん。口元に弁当つけてんぜ」

「ぎゃあ!!舐めんな、汚ねぇだろ!」

「あーん、汚ぇだとぉ?俺の舌技で昇天させたろか、くそガキ」


長い蛇舌をチロチロとさせての頬を舐めるどころか
そのままキスしそうな近さ。


「朝から盛るんじゃなぇよ、中年野生親父!!」

「なーに言ってんだ!盛るってのはだなぁ・・・・面倒くせぇ。実践で教えてやる」

「断固拒否だ。エロハゲ」

「なら私が・・・・」

「立候補してんじゃねーよ。変態チャイニーズ」


正面と隣からの熱烈なお誘いを
一刀両断。

そんな中Gだけは黙々とウインナーをかじっている。



・・・・・・・・・・・と。
皆様お気づきであろう。

いつもならこんな会話に絶対に飛びつくはずの
いや、むしろいつもならこんな会話の元凶であるはずの

あのオトコがいないことに。



「・・・・・・・・・・・・ロッドを、起こさないでいいのか?」



ぼつりとGが言う。

それに反応したのは、の顎をとり
口説きモードに入っていたマーカーだ。


「ああ、そう言えばそうだったな。すっかり忘れていた」


そもそも最初にに話しかけたのは
そのためであったのに。



。ロッドを起こして来い」

「えー。食い終わってからでいーじゃん」

「残飯一つ残さす完食するやつが言うな」


大食らいの男達と、それ以上に食い意地の張った
その面々にかかれば、どんな大量の料理もキレイさっぱり食べきられる。
よって獅子舞ハウスに食べ残しが出たことは未だかつて一度たりともない。

と言う事は、食事時間に遅れれば、
おのずと飯抜きということになる。


「後でうるさく言われては敵わん。さっさと起こしに行け」


以前にも何度か、ロッドが食事に遅れてきたことがあり
その度にネチネチと言われるのは料理番のマーカー。

別にロッドが腹をすかせるのはどうでもいいのだが、
文句を言われるのは面倒なのだ。


「ちぇっ、わかったよ。あたしの分残しとけよな」


ぶつくさと言いながらも、食べかけのから揚げを口に押し込み
箸を置いて席をたつ。

そして足取り速くロッドの部屋へと急ぐ。




「ロッドー?まだ寝てんの」


ばたんとドアを開けると木製のルームプレートが音をたてる。

部屋はそれなりに散らかっていて、
あちらこちらに怪しい私服や本が堂々と置かれている。


そして窓辺に設置されている大きなベッドに寝そべっている大きな身体が
案の定、気持ちよさ気に寝息をたてていた。


は扉も開けっ放しでロッドに近寄り
枕元に両手を突いて、やや大きめの声で話しかける。


「ロッドー!!朝だよ、起きろー!」


だが、効果はいまいち。
軽く寝返りをうって、また寝入ってしまう。


「ったくもー。大人のくせに」


痺れを切らしたは、仰向けに寝転がっているロッドの上に飛び乗って、
ますます声を張り上げる。


「ロッドってば!朝だよ、あーさー!!朝飯だよ!!」


完全に馬乗りになって、ゆさゆさとロッドの身体を揺すってみる。

すると、ロッドが身をよじりながら
何かを言い出した。

その顔はかなり緩んでいる。


「ロッド起きた?」

「ん〜、・・ダメだって。それは俺の役目〜vV」

「なんだよ、寝言か・・・。・・・・・・・・・・でも」


やけにはっきりした寝言だ。
どんな夢を見てるのかと、興味が湧いてそのまま聞いてみることにした。


「積極的な子、お兄さん大好きよんv」


甘い声で手をもぞもぞ動かし


「あ〜・・そこ、マジいいvそう、そーっと・・・・」


そう言ったかと思えば、枕に顔を擦り付けて


「ヤラシイ声〜vV俺のそんなに美味しいv?」



布団で隠れて見えはしないが

腰の辺りを妙に動かして・・・



「ほんっとお前サイコーだぜぇ。〜vV」





・・・・・・・・・・・何の夢を見てるのかは

あえて、ここでは言いませんが、



「夢だからって、あたし使って勝手なことしてんじゃねー!!」

「げふぅッツ!?」


過剰に赤面したからの渾身の一発。

上に乗ってるせいもあって力の込もり具合もばっちり。


タレ眼が更に垂れるほど極上の夢から、地獄のような痛みにより
強制的に目覚めさせられたロッドはあやうく永遠の眠りにつくところだったが、
今しがた受けた痛切なダメージを差し引いても余りあるほどの美味しい自分の状況に気がついて
これ以上ないほどパッチリと両眼を見開いた。

そして、最高に爽やかで甘い笑顔がに向けられた。

その瞬間。
の脳内では、果てしない身の危険と限りない嫌な予感が
討論することなく意見を合致させ、すばやくロッドの上から退くべしと身体に命令した。


だがしかし、ロッドは起き抜けとは思えないような馬鹿力で
の腰を自分の身体から逃げないように素早く、尚且つがっちりと押さえつけた。

恐るべし。女好きの本能。




「そんなとこ乗ってると挿れちまうぜぇ。ちゃんv」

「は!離せぇ!!」

「やーだよんvつか挿れちゃっていい?俺の準備万端だし。ほらv」

「ぎゃぁああ!!布団めくるな!服着ろ!妙なもん擦り付けてくるなぁッ!」


ロッドの上に乗ってしまったことを字の如く激しく後悔しつつ
必死で暴れるが、人間の三大欲求がうちの一つに火をつけたロッドから
逃れるのは至難の業。


「さっきの夢みたいに俺の美味しく食ってv」

「夢と現実を一緒にすんな!つーかこんなコトしてたら朝飯が・・・」

「朝飯?そんなのココで済ませりゃいいってv」

「ここで・・って食うもんなんか何も・・・・・ッまさか!」

「そのまさかv んじゃ、いっただきまぁ〜すvV」

「ロッドなんか食いたくない!ちゃんとした飯がいいーーー!!」








そのころ。






「・・・お、の悲鳴。ロッドのやつ、やっと起きたか」

「そのようですね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・ん」

「ふぅー、ごちそーさん。美味かったぜマーカー」

「恐れ入ります。では参りますか?」

「おう。大事な食後のデザートをロッドに独り占めさせねぇぜv」


しーしーと楊枝で歯の間を掃除しながら
美味しい美味しいデザートが叫び喚いてる部屋に
ぞろぞろと向かう男3人。



その数分後。

更なる少女の悲鳴がパプワ島に響き

お隣さんのお侍さんと、やや遠く離れたおうちの家政夫さんが

血相変えて飛んでくるのだった。




ここんとこのパプワ島の一日は

こんなふうに獅子舞ハウスから始まる。
















一日は一つの物語。
何の変哲も無い日だって立派なお話。
同じものなんて一つも無い。

これから先 幾つのお話を
あたしは作って語っていけるんだろう。





*あとがき*

なんだこれ。
獅子舞ハウスとか言いつつ、マカとロドしか目立ってないよ(ガタガタ)
しかも短い・・・。
まあ、ロッドの「そんなとこに乗ってると〜」を言わせたかっただけなんで短いのは仕方な・・・くないですね。すみません!