9月20日からの1週間。

貴方はこの7日間がなにか・・・知っていますか?






答えは・・・・・・・彼女だけが知っている。








「おい!のやつは何考えてやがるんだ!!」
「んなこと俺らが知るかぁ!つーかこちとら朝からアイツ探してんだよ!!」


煙草をもくもくと炊きながら
盛大に低い声で怒鳴りあう鬼の副長こと土方トシゾーと、嵐の4兄弟3男ハーレム。


「そもそもちゃんは何所行っただらぁ?」
「いやぁ、我らもさっぱりでして・・・困りましたなぁ。誰もさんの行方を知らんとみえる」


年齢の割りに童顔な忍者トットリの疑問に
苦笑いで答えるのは心戦組局長の近藤イサミ。


はんは奔放なお人どすし、見つけるんは至難の技どすえ」
「あの馬鹿者が!見つけたらどうしてくれよう・・・・ククク・・」


そして勝手な独り言を言っているガンマ団NO.2の弟子(アラシヤマ)と
やはり勝手に怒っている特戦在籍の炎の師匠(マーカー)。

・・・・・・・いやな師弟。


さんってばお転婆だなぁ。今夜はお仕置きしてあげないとv」
「しっかし何所にも影も形もニオイもしないしぃ・・・。朝から探してんのに手がかりゼロ」


のんびりお茶を飲みながら物騒なことを言ってるのは心戦組一番隊組長の沖田ソージ。
その向かい側でお菓子を頬張りながら、バンダナを巻きなおしてるのは風使い、ロッド。


「飯でも用意したら匂いに釣られて出てこんかのぉ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もうやった」
「他にを見づける方法は・・・・・駄目だ、オラ思いつかね」


具体的な案を切り出した大柄な男は、ガンマ団でも剛剣で有名な武者のコージで
それより更に大柄な寡黙な、特戦部隊の古株Gが、既に決行済みであることを必要最小限の言葉だけで告げ
大して考えもせず挫折した田舎弁の小奇麗な顔をしているのは顔だけ阿呆のミヤギという。

そして・・・・・



「つーか何で皆さん、うちにいらっしゃるんでしょう?」



特戦部隊、心戦組、伊達衆ががん首揃えて相談中のパプワハウスで
皆の・・・・と、いうか・・・己の元同僚&元上司にこき使われまくっているは、
パプワ島赤の番人兼生涯下っ端のリキッド・・・・その人だった。




「リキッド!こっちにオヤツおかわりー!」
「隊長さっきから食いすぎっすよ!!次ので22個めですよ、かぼちゃプリン!!」

「リッちゃん、こっちもねv」
「お前は28個めだぞイタリア人!俺に一体何個かぼちゃ切らせるつもりだよ!
 手ぇベタベタするんだぞ、これ!!種だって三角コーナーに溢れちまってるしよぉ」

「坊や。こっちも追加だ。次のはもっとまろやかにしろ」
「何気に注文つけられてるッ!?
 しかもマーカー・・お前もう50個は食ったからな。かぼちゃプリンに胃袋占領されてるって、絶対・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・美味かった。もう一個・・・」
「お願い・・・・誰か止めて、この人たち・・・・・・・・・・・・しくしくしく」



見てるこっちが胸焼けするほどの食いっぷり。
特戦部隊が食べたものだけでプリンカップはちゃぶ台に高く高く積み上げられている。

特戦部隊は甘味物がお好きなようです。




「おい、リキッドに迷惑かけてんじゃねーよ」
「別にいいだろ。こいつは俺の部下だぜ?どう扱おうと俺の勝手だ!」
「隊長・・・。俺『元』部下なんですけど・・・・・」


ハーレムに頭を掴まれながら、ぼそりと仄かに己の立場を主張は
限りなく無意味に等しく、獅子舞の耳には届かなかった。

だが、そんなリキッドにも今日は心強い味方がいて
嬉しい事にもハーレムに刀を突きつけてくれた。

誰かは言うまでもないことではあるが、一応紹介すると
心戦組が副長を務める椿油に濡れた黒髪の剣士、土方トシゾー・・・その人である。


「てめぇ!リキッドを物扱いする気か?!」
「ったりめーだぜ。部下の物は俺の物、俺の物も俺の物、んでもって部下自身も俺のモンだ!!」

『(獅子舞がジャイ○ンを超えた・・・!!)』



その場に居る過半数が心のうちで突っ込みを入れる。
恐るべし獅子舞。
あの無敵のジャイアニズムを見事に打破した。



「・・・っと、ところで隊長!!」
「あんだよリキッド。かぼちゃプリンの追加出来たのかぁ?」
「いや、あんたが俺の頭掴んでる限りそれは無理っす」
「んじゃ何だ?」

「いや・・その・・・・・のやつ、今度は何やったのかなぁ・・・っと思って・・・・・・」



パプワハウスにこの団体さんが集合してからの会話を一部始終聞いてはいたが、
リキッドは皆が何故を探しているのか、まだ知らずにいた。

取り合えず、全員の言動からするに
何かトンでもない事をしでかしたのだけは間違いない。



「リキッド、おめー知らねぇのか・・・?」
「え?あ・・はい。そんなヤバいんすか?」
「やべぇ・・・つーか、強いて言うなら『最悪』だ」
「そ・・そんなに・・・・・・?」



深刻そうに呟くトシゾーに一大事を感じずにはいられない。
なんたって心戦組鬼の副長と呼ばれる男が、これだけ参るような事態なのだ。

尋常な沙汰と考えない方が懸命だろう。


大体よく考えてみれば、これはただ事じゃない。

トシゾーだけでなく、島中の人間達がここパプワハウスに避難するべくやってきたのだ。
しかも特戦部隊や心戦組だけならまだしも
現在はお互いを敵と見なしてよい伊達衆の面々も、ターゲットの本拠地であるココにやって来た。

それはつまり・・・・・パプワ島で無事で居られるのはココだけであるということに他ならない・・・。



「外で一体なにが起こってるんだ・・・・・」
「『百聞は一見に如かず』だ。身をもって知って来い」
「どわぁッ!!」


突如マーカーに蹴りだされ、パプワハウスの外に締め出しにされた。


「おいマーカー!!てめぇ開けろよ!!」


どんどんとドアを叩くが内側から反応は返ってこず。



「くっそー!誰の家だと思ってやがんだよ、あの変態チャイニーズ・・・!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・蛇炎流!」
「狽ャゃー!!あぢあぢあヂヂぢ!!」



閉ざされたままの扉の内から聞こえた声。
同時に燃え上がるリキッド。

師匠は通信機器の壁に引き続き、物的隔たりの限界を超えられたようです。


そして、人体発火という名の超自然現象に苛まれたリキッドは
轟々と燃え盛る炎を消すために一番近い水場、ホシウミ湖へと全力疾走した・・・。










じゃっばーん!!


「ぷっはぁ!!あー・・・死ぬかと思ったぁ・・・・・」


湖に飛び込んだリキッドは走って熱くなっていた体を(原因は走ったからじゃない)
水にとっぷり漬けて思う存分冷やす。


「・・・・・・・それにしても、マーカーが外に出りゃ分かるとか言ってたけど・・・・」


ここまで走ってきながら少し島の様子を見てみたが


「変わったことなんか何も無かった・・・よな?」


きょろきょろ辺りを見回すことで、自分の発言に間違いが無い事を確認する。
湖にはナマモノ一匹おらず、静かなものだ。

ざばざばと音をさせながら浅瀬に戻り
濡れた服を脱いで一息で絞って、また着なおす。


「あ、そーいや晩飯の材料きらしてたんだっけ。なんか集めてこねーと」


パプワハウスに戻る道と正反対の方に歩き出しながら
リキッドは呑気に晩御飯のメニューを考え出した。


「んーっと、オムライスは一昨日やったし、今夜はチキングリルにでもするかな・・・」


森の中を草を踏みながら慣れた足取りでひた進み
少し開けた場所に出た。

そこは山菜が多く野生している場所だった。


「・・・・ついでに採ってくか」


色々な葉が茂っている場所にめぼしを着け
腰を屈めて山菜を集める。

籠やふろしきを持って来てないので、水辺に生えていたフキの葉を一枚拝借し
その上に集めた山菜を乗せていく。

数分もする頃には、小さい一山分の山菜が集まった。


「ふぃ〜。こんなモンかな。さーて、帰って山菜丼の準備、準備っと」


なんかイキナリ和風メニューに変わってるぞ。
チキングリルはどーした、家政夫。



フキの葉で包み込んだ山菜を小脇に抱え、
パプワハウスへ帰ろうと元来た道に足を踏み入れた。

すると、漂ってくる甘い香り・・・。


「狽ア、このニオイは!!」
「ハローだにゃぁ〜」
「やっぱりコモロくん!むやみに胞子撒き散らしちゃいけません!!」


慌てて口と鼻に手を当てて、胞子を吸い込まないようにしながら
安全な距離を開ける。
流石、対処が素早く的確だ・・・・・。


「オショウダニスイング!!」
「いっでぇぇーーーーッ!!」


突如後頭部に発生した激痛。
慌てて手で確認すると、案の定・・・・・細い棒状のスティックが突き刺さってる。


「お目が高い。おニューのスティック(合金)です」
「危険物は投げたりしちゃ駄目でしょーー!!」


後頭部に深々と突き刺さったスティック(合金)を男らしくぶち抜きながら
オショウダニにお説教するが、本人は早々と逃げ去ってしまった。


「ったく!何なんだよ・・あいつ」
「くぃーん・・・くぃーん」
「きぃ・・キィー、キィ」
「ん?タケウチくんとテヅカくん。2人共こんなとこでどーしたんだ?お店はいーのか??」


足元に現れた3匹の胸きゅんナマモノ。

・・・・・・・・・・3匹?


「星の海を泳ぎたい・・・・・」
「はいはい、ホシウミ湖ならこの先だからね、ヤマギシくん」
「連れてって下さい」


がしっと、リキッドのズボンにしがみつくヤマギシ。


「え・・・・マジかよ」
「連れてって下さい。星の海まで一緒に行きましょう」
「いや、それは勘弁・・・・・

「駄目ー!!」



高らかな大きな声が森に木霊する。



「・・・・・・・・・・今の声って・・・」



ザザザっと、木々が不自然に鳴き喚いて

その直後


「リキッドー!ちゃんとヤマギシの頼み聞け!」

!やっぱりお前か」


今まで何所に居たのやら。
目の前の大木からが颯爽と飛び降りてきた。



「おい、。何だか知らねーけど、隊長達カンカンだぜ?一体なにしたんだよ?」
「なにって・・・別にあたしは何もしてねーよ」
「でも現に皆うちで・・・・・


「「「「「さ〜ん」」」」」



またも遮られる台詞。

しかも今度は複数・・・。



「あ!みんなだ!!」
「みんなって・・・・・・・・・・・・狽ーぇっ!?」



リキッドの目の前に現れたのは・・・大小様々姿形も多種多様。
とにかく島中のナマモノが勢揃い。



「・・・・・・・・これは何事でしょうか?」



島中から集まってるだけあって、その数は膨大。
視界が埋め尽くされるほどの迫力だ。

歯ごたえ満点のスルメでも噛んでいるかのごとく
目の前の事態が上手く飲み込みきれずに、リキッドは一人、ただただ呆然としていると



「リキッド知らねぇの?ほら、今日から始まるだろ!」
「今日から?・・・・・なんかあったか?」

「「「ちゃーん!!」」


の名を盛大に呼んで、リキッドとに寄って来たのは
おなじみの2匹。


「タンノくんにイトウくん・・・、相変わらずテンション高ぇ・・・・」


編みタイツとリボンが特徴的な、タンノとイトウ。



ちゃん!トシ様の居場所教えてちょうだい!!」
「あれ?あたし朝一番に教えただろ?」
「それがね・・・・あたしたち見失っちゃったの。それから行方が分からないのよぉ」
「もー、ちゃんと追いかけなきゃ駄目じゃん。でも、まあいいや。また探して教えてやるよ!」
「「ありがとぉ〜vV」」

「「ちゃん、ちゃん」」


喜びに浸りながら、ルンルンとステップを踏みながらにお礼を言う2匹と
入れ違うように、また2匹のナマモノがてこてこと可愛らしく足音をたてながらやってきた。

ただし、今度の2匹は
リキッドも認める胸きゅんアニマル。


「なーに?エグチ、ナカムラ」
「僕達もお願いがあるんだ」
「あるんだー」

「なになに、探し物?それとも探し人??」
「ううん。これをね、冷たくしてほしいの」
「こっちは温めてほしいの」


エグチくんが差し出したのは、ドロドロになってしまったシャーベット。
ナカムラくんが差し出したのは、乾いて固まってしまった絵の具。

どっちもそのままじゃ、とても食べられないし使えない。

だが、の能力を持ってすれば・・・


「そんなことならお安い御用!」


は得意げに2匹からそれぞれ器を受け取って
静かに左右の手に意識を集中させだした。

すると、みるみるうちにドロドロシャーベットは瑞々しく輝く固形状に、
カッキンカッキンの絵の具は固めの液体状に・・・と、元在るべき形状に姿を戻した。


「・・・はい!これでいい?」
「わーい、ありがとうさん」
「ありがとー」
「へへ、どーいたしまして!」


よしよしと小さなナマモノ2匹の頭を満足そうに撫でる。

リキッドはそんな微笑ましい光景に、胸きゅんしていたが、
ふと、あることに気がついた。



「・・・・・・・・・・・・・・・あれ?」



って・・・こんなに優しかったっけ?


いや、そりゃーは俺と同じで胸きゅんナマモノには優しいけど
何かこう・・・・みんなを労わってるみたいな・・・


そんな感じがしないでもない。



〜」
「はーい、今度は・・・・・って、コモロ!お前は駄目!!」
「なんでだにゃ〜。差別は人類の最後の敵〜」
「うっさい。お前は動物じゃなくて植物だから愛護しないの!!」


「・・・え?」


動物はOKで植物は駄目なのか?


愛護・・・・・・・・・・動物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・愛護・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ!!





「わかった!9月20日から1週間って動物愛護週間だ。そうだろ?」
「ぴんぽーん!あったり〜!!」

「でもそれと、隊長達の言ってるヤバい状況と・・・なんか関係あんのか?」


再び考え込むリキッド。

それに反して、の方は・・・・


「・・・あ。そーいやリキッド」
「ん?」
「さっき『みんな』って言ってたけど・・・もしかしてパプワハウスにみんな居んの?」
「ああ。迷惑なくらい全員集合してるぜ」
「トシゾーも居る?」
「トシさん?居るけど、それがどーか・・・・

「っしゃあ!ビンゴー!!」


は素晴らしく漢らしいガッツポーズで喜び
くるりと、例の2匹の方を振り向いて・・・


「タンノ、イトウ!トシゾーはパプワハウスだ!!」


情報を提供した。


「きゃーv本当ね、本当なのねvV」
「今すぐ行きましょう!」
「いってらっしゃーい!頑張れよぉー!」
「「待っててトシ様ーvV!!」」


そうして恋する乙女2匹は弾けながら
ばびゅーんとニトロを積んだレーシングカーのように
飛びっきりのロケットスタートで駆け出して行った。



「俺・・・・もしかしてトンでもない事しちゃった・・・・・予感?」
「イイことしたんだって!」
「そりゃあ、あの2人にとっちゃイイことかもしんねーけど・・・・」


トシさんにとっちゃ災難以外の何物でもない気が・・・。


「アーメン、トシさん。無事を祈るっす」
「なに十字きってんだよ」
「いや、トシさんの冥福を祈って・・・」
「冥福って・・トシゾー死ぬの?」
「いや、死なない・・・とは思うけど、それに値する地獄の逃走劇が起こると思うぜ」
「ふーん。大変だね、トシゾー」


めちゃくちゃ人事ですね。お嬢さん。



ちゃーんv」


漢っぽい声を無理矢理高くしているような妙な声色で
誰かがを呼んでいる。

どしーん・・・どしーん・・・と
体中に響く重低音をお供につれて
とリキッドの前にやって来たのはピンク色の恐竜、ハヤシくんだ。


「あたしのお願いも聞いてくれるかしらぁ?」
「いいよ。なーに?」
「あたし、ぷりっぷりの男肉が食べたいのぉ。出来るだけ美形がいいわv」


お・・・男肉?


「なーんだ。モサと同じことか!任せてよ!!」


モサくんと同じって・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もしかして、


「なぁ、
「ん?」
「モサくんに提供したのって、まさかとは思うけど・・・・」
「ソージとマーカーだよ?」


それがどーかした?
と、でも言うように不思議そうな顔をする

ああ、わかってない!

この子わかってないッ!!


「一応聞くが、なんでその2人なんだ?」
「だって、モサくんのリクエストが『笑顔の美青年(美少年でも可)』と『つり目で細身の男』だったんだもん」
「ピンポイントじゃねーかよ」



モサくんたら、よりによってパプワ島きっての恐ろしい人選して・・・。


「他に・・・・・どいつに誰を提供したんだ?」


リキッドが恐々と詳細を聞くと
は嬉しそうに笑いながらリキッドが知りたいことを細々と語った。



「えっとねぇ・・・オショウダニには的が欲しいって言うからロッドあげて・・・」

そういえばロッドのやつ、やたらと刺傷が多かったな。


「テヅカとタケウチは人体実験やりたいって言うから、その辺にいたイサミ渡して・・・」

だから近藤さん、ちょっと目の焦点が合ってなかったのか。


「タケダ達は何するか教えてくんなかったけど、取り合えずアラシヤマあげたよ」

リトルグレイのタケダくん。血が欲しいからって、あんなのの吸っちゃいけません。



「残りの連中は?」


ここまで来たら、最後まで聞かないわけにはいかない。
リキッドは可笑しな使命感に駆られながら続きを問いただした。



「あーっと、クボタが飯食いたいっつーから食いでありそうなコージの居場所教えて・・・」

食いではあっても、筋肉質で美味そうにはとても見えねぇって。


「あとは、ミヤギとトットリの居るところにイトウの子供を案内してやった!!」

・・・・・・・・・・言われてみれば、あいつら何かヌラヌラしてた気が・・・


「それと森ん中に居たクマたちをGに会わせてやったくらいかなぁ」

それは良し。


「最後の以外は問題大有りだな」


Gはきっと幸せだっただろう。
大好きなクマが逢いにきてくれて。

思い出してみりゃ、あいつ一人怒ってなかったもんな。
むしろ幸せそうだった気がする。





「さーてと、んじゃ行こっか!」
「ど、何所にだよ?」
「決まってんだろ。ハヤシの欲しいものがあるところ」


それって・・・・・つまり・・・・・・・・・・


聞き返す前に、リキッドはに腕を掴まれて
そのままハヤシくんの背中まで強制的に飛び乗らされた。

この小さな体の一体どこに
俺を掴み上げてジャンプするだけの力があるんだ?



「ハヤシ!パプワハウスまでLet´s GO!!」
「ああああ、やっぱりぃ!!」
「OKよ、全力前ー進vV!!」



ハヤシくんが走るたびに凄まじい振動が、背中に乗っている2人に伝わる。
は猛スピードでの移動が楽しいらしく、笑顔で「行け行けー!」と叫んでいるが、
リキッドの方は、これからの展開を想像してひたすら汗だくになっていた。




「このまま向かったら俺絶対ぇ裏切り者として磔にされる・・・!!」





そしてその予想は、的のど真ん中を外れることなく的中した。

パプワハウスに着いたハヤシくんは、前足で器用にパプワハウスを掴み取り
中に居たハーレムたちの姿を確認するやいなや、一目散に襲い掛かったのだった。

リキッドに襲いくるのは、もちろん。
怒気をたっぷり含んだ元・上司の声。


「てっめー!!リキッド裏切りやがったな!!」
「ご、誤解っす。これは成り行きで・・・・」
「恐竜に乗って俺らを見下ろしたまま言う台詞じゃねーっつの!!」
「でも降りたら俺まで・・・・・」


ぷちぷちと言い訳をしていると、
前にいるが、リキッドの方に顔を向けた。


「ん、リキッド降りてーの?いいよ」
「へ?」
「いってらっしゃーい」


どかっ!

ひゅーぅぅぅ・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どしゃ!!



「け・・蹴り落とすか・・・・・。ふつー・・・・・・」

「男肉〜vV あーんv」
「って!ダメージくらってる場合じゃねぇ!!逃げろ、俺ぇ!!」


間一髪でハヤシくんの牙から逃れて
ダッシュで走る、走る。

近くには特戦部隊の面々やら心戦組に伊達衆もいて
例外なく、全員命を懸けた必死の形相だ。

そんなリキッドたちを他所に、はハヤシの背に乗ったまま無責任に能天気に言った。



「みんなちゃんと動物愛護しろよー!今週は動物愛護週間だよー!」



逃げ惑う男たちの心は一つ。





「「「食われろって言ってんのか、それ!!」」」





そして、愉快な・・・もとい無情な事に

新たなる試練も
足並み揃えてやってきた。





「きゃー!!見つけたわ、トシ様ーvV」
「ああん、逃げないでぇ。ちゃーんと愛護してちょうだぁいv」

「ぎゃー!!来るな変態ナマモノ共ぉぉーー!!」



恋する乙女2匹の登場により
ふんどし侍ことトシゾー、半永久的に追いかけっこ決定。



「オショウダニー・・ッスイング!!スイング!!」

「ってぇー!!なにすんだよオショウダニ!!羅刹風!!」



気合満面ドラマニズムの先制攻撃により
歩くポルノ電波塔ことロッド、決着がつくまで流血決定。



「取り合えず夢魅ろよぉ〜。トリップだにゃ〜」

「・・・・・・・・・・・・クマ・・・ミーシャさん・・・・・・・」



一目瞭然有害キノコの胞子振り撒き活動により
キングオブ熊マニアことG、幸福な昏睡状態決定。



「キィー・・キィキィ。キィー(実験いっぱいできるよ)」
「くぃーん。くぅん、くぃーん・・くぃーん!(そうだね。大儲けできるね)」

「あああああ、老後の貯金がぁぁあ・・・ただでさえソージに注ぎ込んでるというのにぃ・・・」



悪どい胸きゅんアニマルズのぼったくり計画実行により
ナイスミドルコンテスト優勝こと近藤、自己破産決定。



「十円傷つけちゃえー」
「ちゃえー」

「可愛いナマモノを傷つけるなんてぼかぁ無理だがや!」
「オラもだ!!いだだ!!何気に痛いべ、十円傷・・・」



無邪気なナマモノの他愛ない悪戯行為により
顔だけ阿呆ことミヤギと、成長途上の疑惑者ことトットリ、動けずじまい決定。



「はーっはっは!カッパ海老戦☆隊!!俺たちの魂はやめられねえ、止とまらねえ!!」

「たたみかけるんじゃねー!!」



超大手お菓子メーカーを敵にしている全身タイツのゲリラ・シャウトにより
生涯独身永久独り身ことリキッド、精根尽きるまで突っ込みの刑決定。



「ぶってくれぇぇぇ」

「あわわ、針はお師匠はんのだけで十分どすぅぅ!!」



危ないマゾッ気満点の海鮮類の体当たりにより
誰もが認めるNO.1ストーカーことアラシヤマ、修行時代のトラウマに心身ともに痛めつけられること決定。



「私のボルトはさんびゃくまーん!」

「わしぁビリッとくるもんは苦手なんじゃぁー!!」



旬の蒲焼はとてつもなく絶品の無許可放電により
必殺技不明の妹より弱い男ことコージ、焦げ尽きるまで電気治療決定。



「男前の人肉がいっぱぁーいvV 特にあの金髪の人あたし好みだわ〜v」
「ホコホコの男肉モササーv 笑顔の美少年と細腰の人、今度は逃がさないーv」

「金髪って俺かぁ?!どわ、追いかけてきやがった!」
「くぅ!何故私が恐竜などに狙われねばならん!!」
「やだなぁ、走ると汗だくになるのに・・・・」



カラフルなニューハーフ恐竜2匹のお食事タイムにより
原始人の獅子舞ことハーレム、チャームポイントは薄笑ことマーカー、毒吐きマネーラヴァーことソージ、
無制限ルール無用の男肉おあずけ大作戦をやること決定。




誰か・・・・




『誰かを止めろーーーーーッツ!!』






頑張れ男たち。

率いるナマモノたちが好き放題できるのは

あとたったの6日間だ。


そう、あと6日間は、パプワ島・動物愛護週間なのだ・・・・。






















子供のうちは叶わなくて
大人になると見失ってしまう

この時にしかできないその何かを

見つけて掴んで抱きしめて
一生に胸に輝かせて生きていこう