「ハーレムもっと右・・・・・あー!行き過ぎ左、左っ!!」

「あーん?うっせーな」

「ぎゃー!揺らすなよ、落ちるだろ!」



俺の瞳よりも青々と広がった空の下。

緑の匂いがするほど広がった森の中。

俺は・・・リンゴ狩りをするの踏み台をやってる。



「おい、もうその位でイイんじゃねーのか?」

「駄目!もっといっぱい獲らねぇとリキッドにでっかいアップルパイ作って貰えないじゃん」



俺の肩を両足で踏みつけて頭の上でギャンギャン喚いてる。

っんとに猿だな、おい。


もうかなりの量のリンゴが溜まってる籠をちらりと確認したあと

胸ポケットから煙草を1本取り出して、火を着けた。

もくもくと昇る紫煙。



「けほっげほっ!ちょっ・・ハーレム!煙!!」

「ん?あー、悪ィ悪ィ。ガキにゃ毒だったな」



モロに煙を吸うことになってるがますます騒ぐ

が、消す気はねぇ。

ただでさえ少なくなってきたコイツを1口2口で捨てるのは勿体無すぎる。



「〜っ、もーいいよ!やっぱ枝に登る!!」



そう言った直後

今まで乗ってた重みが一瞬倍になって、消え去った。


上を見ると、がかなり上の方の枝を掴んで足を引っ掛けるところだった。



「危ねーぞ」

「平気だって、木登り得意だもん」



そりゃ猿だから当然だろ。



「落ちたってキャッチしやんねぇからな」

「嘗めんな、着地くらい出来るっての」

「どーだか。猿も木から何とかって言うじゃねーか」

「猿って言うなぁ!!」



細い枝の上で叫んだ。

まさに、その時だ。



ぼきっ!!




「「あ・・・・」」



折れた。

まさか本当に落ちるなんて思ってなかったせいだろう。

投げ出された体は受身の体勢を取れてない。


無意識に足が動いた。


・・・が、


ひらりっ、むぎゅッ!!




「・・・・・・・・へめぇ(テメェ)」

「げ・・・・・・ごめん」



空中で器用に反転して着地体勢に入っていた

・・・・顔面を踏みつけられた。



「あ!ハーレム血!」

「あん?何所だよ??」

「ほら、ココ!」



触れられた頬に走った、ちりっとした痛み。

自分でも触れてみると、見慣れた赤が手についた。



「ごめん、靴底に仕込んでる刃のせいだ」

「んなモン仕込んでんのかよ」

「消毒しねーと・・・・早く帰ろ!!」

「別に大した傷じゃねだろ。消毒なんていらねぇよ」


「・・・・・でも毒塗ってあるよ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マジか?」

「うん・・・って、おわぁ!?」

「うっし!マッハで帰っぞ!!」



を担ぎ上げてダッシュする。

冗談じゃねぇ。

特戦部隊の隊長が部下に負わされた傷で死んじまったら、笑い話もいいとこだ。



「ハーレム、走ると毒回るよ?」

「急がなかったら間に合わねぇだろーが」

「そっか。んじゃ・・・・」



自分のじゃない髪が顔にかかる。

傷に生温かい何かが触れて、血が吸い出される感覚がした。



「応急処置・・・///効果あるか知らねーけど、一応・・・」



照れた顔で、

それよりも申し訳なさの濃い声で

頬から口を離してぺっと口の中のものを吐き出してから、小さく呟いた。




「んだよ、その顔・・・文句あんなら口で言えよ」

「ねぇよ。・・・・・・飛ばすから落ちんなよ」

「うん。ラジャー」



リキッドの作ったアップルパイなんて目じゃねぇほどの

甘いデザートが贈られた頬を軽く擦って


「(次は口にさせるか・・・)」


そんなことを企みながら、を担いで森の中を命懸けで走った。










*あとがき*

ごめんなさい。
ええ、ごめんなさい。
もうそれしか言う事ありません。ごめんなさい・・・・。
本当、ほんとーにごめんなさ・・・(以下半永久的にエンドレス)