「ぼくらのクラブのリーダーは〜♪」


フライパンの上でオヤツになる予定の生地が

味しそうな音をたてて。



「ミッキーマウス、ミッキーマウス、ミッキーミッキーマウス♪」


口ずさんでるのは大好きなヒーローの歌。


そして・・・



「腹減ったー!!リキッドおやつーー!」



ドアを威勢よく開け放って

駆け足で訪ねてくる大好きな女の子。




「今日のオヤツは?」

「ホットケーキ。もうすぐ出来るぜ」

「やりぃ!!」


ガッツポーズで喜ぶ

ホットケーキ一つでそこまで喜べるなんて

こいつの頭は本当に戦うことと飯のことしか入ってないんじゃ…


そんな今更すぎる心配をしながら

俺はぷつぷつと穴の空きだした生地を

手早くフライ返しでフライパンとくっついてる部分をはがし



「あらよっと」


くるんと宙で回転させた。

こんがりといい具合に焼けた狐色のホットケーキは

まだクリーム色の面を下にして、またフライパンに戻る。




「リキッド!今のもう一回やって!」

「え、さっきの引っくり返すやつをか?」

「うん!!もっかい見たい!」



眼をキラキラと輝かせてがせがむ。

そのリクエストに応えて、俺はまたホットケーキを宙に投げた。


今度は一回転半して、同じ面を下にして着地。



「もう一回!!」

「そんなにやると、ちゃんと焼けねーんだけど…」

「そーなの?」

「そうなんだよ」

「不味くなる?」

「そりゃやりすぎれば固くなっちまうし、多少は味も悪くなるだろーな」

「じゃあ…我慢する」



そんなにしょんぼりされたら

なんだか悪いことをした気分になってしまう。



ちらりとボールの中の生地の量を確かめる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・微妙だ。


視線をに戻す。

まだ残念そうに焼きあがったホットケーキを見ている。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・よし!




バターを適当に切って、熱いフライパンに落とす。

じゅわっという音と、独特の香りが家中に広がる。



残りの生地を流し込む。



「リキッド、それパプワたちの分じゃねーの?」

「そのつもりだったんだけどな」

「いーのかよ、焼いちゃって。冷めちゃうぜ」

「あいつらには別の作るからいいんだよ。だから・・・」

「だから・・・?」



満遍なく穴が空いた生地をフライ返しで返し易くして

フライパンの中で軽く揺する。




「リキッド特製、特大ホットケーキの宙返り。ちゃんと見とけよ」



いまいちカッコがつかない台詞だけど

の笑顔が俺に向くには十分な台詞。



その笑顔をしっかり見てから

手首を捻って、フライパンいっぱいの大きさの特大ホットケーキを

くるん、と引っくり返した。



両面とも焼けたら、大皿に乗せて

最初に焼いたやつを重ねて

その上に更にハニーシロップをかける。



「ほいよ。いっちょ上がり」

「いっただきまーす!!」



フォークなんか使わないで素手でちぎる。

大きく大きく口を開けて

一口でぱくり。



「美味いか?」

「うん!すげぇ美味いよ」


シロップのついた指を舐めて、その甘さにもご満悦。

・・・隊長たちの前でそれやるなよ。

絶対襲われるから。



「リキッド、口開けて」

「えッ!?い、いや俺は・・・むぐ」

「な、美味いだろ」

「い・・・今まで食ってきた中で、一番美味い・・・・かも」



正直、味なんて甘いことくらいしか分からない。

それどころじゃないから。


今のって、もしかしなくて・・・

カップルでやる『はい、あーんv』ってやつだよな!?


ドキドキが止まらない!!




取り合えず


料理が得意で本気で良かったです。





「あ、リキッドほっぺにシロップついてる」

「お、お前だってついてるぜ」


言われて自分の頬を擦るが

それらしいものは手につかない。

もおなじく。



「リキッドのあたしとるから、あたしのリキッドがとって」



・・・・・・・・・・・・・それはつまり

アレをやっていいってコトなのか?


『はい、あーんv』の次にやるべき、アレを!!



!俺からとっていいか?」

「別にいいけど」

「いいんだな?!や、やるぞ」



の細い方をがしっと掴む。

心臓がありえないくらい煩い。まるでポップコーンが弾けてるよう。

顔を恐らくありえないほど真っ赤だろう。


俺は、勢いに任せ



―ちゅッ



の頬についたシロップをキスするみたいに舐め取った。





そして、俺の頬についてるシロップは




―ガツッッ!!



幻の左によるストレートパンチによって拭われた。





「リキッドだけはそーゆうことしねぇと思ったのにぃー!」



ショックと怒りの篭った叫び声。

走り去るスピードはギネス級。

だが、手にはしっかりホットケーキの皿を持っていた。



どうやら『はい、あーんv』は、そんなつもりもなくやってくれたコトだったらしい。

そうだよな。がカップルの定番2の

『ほっぺについてるゾ。ちゅっv』なーんてやってくれるわけ・・・


くれるわけ・・・・・・





・・・・・俺の馬鹿、ぐすん。


















*あとがき*

ごめんなさい。なんかリキッドが痛い子になっちまいました。
読んで頂いてお分かりだと思いますが、これ最初は「得意技」の方でUPする予定でした。
・・が、急遽こんな形で「ほっぺにkiss」の方に。
ああ、突飛なことはやるもんじゃないっすね・・・。反省。