チャーオv
全世界のロッドファンの女の子たち、暇ならお喋りしようぜぇ。
俺は今ね〜、空の上。
相変わらずヤローばぁっかでやんなっちまうぜ。
隊長も入れるんなら女の子にしてくんねーかなぁ。
モチロン俺好みの子。
キミみたいな可愛い子なら俺毎晩頑張っちゃうよんv
え?どーせ今も連れ込んでるんだろって?
信用ねぇなぁ。
まあ…居るには居るぜ。俺に飛びついてくるトビっきりのカワイコちゃんが。
今だってほーら、聞こえるだろ?
俺をご所望するカワイコちゃんの足音が…
「ロッド〜!暇じゃなくても遊ぼ!!」
残念ながら♂だけどねん。
「ロッド、遊ぼうぜ〜。ひまヒマひーまっ!!」
「人の部屋に入るときは2ノックが常識だぜェ、ボーヤ」
「あだだだっ!!ロープロープッ!」
自室でベッドに寝転がっていた俺に飛び乗ってきたのは
隊最年少の。
入隊してもう3ヶ月が過ぎたのに、今だにノックを覚えない。
せっかくの寝技も相手が坊やじゃやる気が出ないが、お仕置きしとかないと
悪いくせがついちまうからな。
「またマッパで寝てたのかよ、気持ち悪くねーの?」
「素肌にシーツが正しい大人の寝方だって言ってんだろ」
「マーカーは大人だけど、オレより着込んで寝てるぜ?」
「そりゃマーカーちゃんは過敏症だもん」
「かびん?」
「感じやすいっつーことv」
「灰になれイタリア人」
ゴォッ!!
可愛い弟分に性授業してたのを邪魔したのは、過敏症の炎使いマーカー。
なにかあるごとに俺を燃やす。
「マーカーちゃんってば、今日も朝から殺る気ビンビンなよーで。お〜アチチ」
「近づくな、服を着ろ、根も葉もないことをほざくな」
「ワオ、すっかり保護者じゃ〜ん」
「うるさい。、必要以上にこの男に近づくな、移るぞ」
「Σなにがだよッ!?」
移るって酷ぇな、俺にビョーキがあるみたいな言い方しやがって。
これでも避妊はちゃーんとしてるぜェ?
まーったく、に勉強教えるようになってから、ちょっと過保護すぎじゃね?
保護者っつーより母親だな、こりゃ。
「ロッド、お前はいい加減に起きろ」
「まだ10時だぜ」
「もう10時だ、命令が無いからと言ってダラケすぎだ。死んでも骨は拾わんからな」
「ひっで〜、俺らお友達っしょv」
「友人を作った覚えなぞ生まれて一度たりとも無い」
ピシャリと言い放つ。
コイツといい、コイツの弟子といい、どんな師弟だよ。
「マーカーって友達いねーの?」
「…お前もいないだろ、戦場育ちのボーヤ」
「そーいえば居ねーや。アハハ」
マーカーの嫌味が通じてないのか、はあっさり認めた。
今のは笑うところじゃないぜ。
「んじゃあさ、マーカーがオレの友達1号な!決っまり〜♪」
「勝手に決めるな」
「いーじゃん!オレ友達欲しいもん」
「ちゃ〜ん。俺は、俺は?」
「ロッドは2号、リキッド達にもあとで聞こっと」
計画を練るをマーカーはいつもの薄い笑みで見る。
さーては喜んでんな…
意外と分かりやすい同僚の腹の中を読んで、俺はマーカーの肩に腕を置く。
「マーカーちゃん友達できたなぁ」
「…服を着ろと言っている」
「照れるなって、俺は誤魔化せねーよんv」
「ふん……馬鹿には付き合いきれん」
マーカーは俺の手を払いのけてドアへ歩く。
「また本読むの〜?」
「ああ。邪魔をしたら燃やすぞ」
が遊んでくれとばかりにマーカーを見たが、その視線を遮断するように
言い放って、ドアを閉めてった。
残ったのは俺との2人きり。
…つーかアイツなにしに来たのよ。
目もすっかり覚めちったし、そろそろ起きるか。
このお姫さま放っておいて、私物溶かされたら厄介だしな。
「ロッドぉ〜、早く遊ぼうぜぇ」
駄々をこねるお姫さまを尻目に、俺は布団の上にあった皮パンを手に取る。
もちろん今日も生装備。
いつどこでどんなお誘いがあるか分らないから、常に下準備は欠かさない。
鼻唄を鳴らす俺の耳に、なにやらガッタンがッタンと不吉な音が聞こえてだす。
俺の着替えを待ちきれないで椅子を揺らしている音…。
確認はしてないが、俺の部屋に来たが座る椅子は決まってる。
2年ほど前、地元で買ったアンティークの椅子だ。
アンティークなんか柄じゃないが、アレは俺の美的アンテナにビビッと
反応して、思わず衝動買いした。
だから『アンティーク=この部屋で一番値が張る家具』。
という式も楽々成り立つ。
「早く、早く〜!!」
「リキッド坊やはどした?」
少しでもの気を紛らわそうと、どーでもいい質問をすると、
「あっちに旅立ってる」
即座に返ってくる答え。
「俺が寝てる間になーに楽しそうなことしてんだよ」
「やったのハーレムだもん」
どーせ一緒になってやってたんだろ。
わかるっつーの。
「んじゃ、Gは?」
「朝からずっとクマ作り」
部屋行ったら『今日はロッドに遊んでもらえ』だってさ。と続ける。
「獅子舞様は〜…また酒だよな」
「いや、馬」
「またケンタウルスホイミかよ。あのオヤジ」
パンツのチャックを気をつけて閉めながら(なんでかって?そりゃ巻き込んだら痛いもんv)
今頃競馬場でフィーバーしてる隊長の姿を想像する。
いー加減にあの生涯負け馬から離れてくれよ…。
今まで一体どのくらいの(俺たちの)給料がつぎ込まれたのか
全額現金で揃えれば、きっと歓楽街の貸切だって出来るぜ。
「うん。ついてくって言ったのにトイレ行ってる間に置いてかれた」
妙にしょぼくれて言う。
ああ、なるほど。
隊長が競馬。
Gが熊作り。
リキッドは気絶中。
マーカーは読書。
で、俺が寝ているとなれば、の相手をする人間は誰も居ない。
「んじゃお兄さんが午後どっか連れてってやっかね」
「マジで?!」
「マジ、マジ。ただし迷子になんなよ」
「もうなんねーよッ」
「どーだか。お子様ランチでも奢ってやろーかぁ?」
「馬鹿にすんな!!」
歌のようにリズミカルな会話。
実は特戦部隊でこんなテンポの会話ができるのはだけだったりする。
獅子舞様はあれで一応隊長だし、敬語使わないわけにはいかないわけで。
マーカーは気丈っつーの?アジア系は軽い会話しねーからな。
Gはそのまんま。無口で対話タイプじゃない。一方通行のポケベル人間。
リキッド坊やは切れやすくて、すーぐ頭に血が上る。
その点こいつは、まるでイタリアの知り合いと話しているように喋りやすい。
そんなことを無意識に思いつつ上着を探す。
夕べどこに脱いだんだっけな…
「皮ジャンならソファにあったよ。オレ溢したジュース拭くのに使ったもん」
「人の隊服でなにしてんだよ!ちょっと痛い目みっかぁ?」
「ぐぉえッ!?」
細ッこい首にヘッドロックをかけると
浮いた足をバタつかせて外そうとするが、はっきし言って全然意味が無い。
強いって言っても所詮はちみっ子。
あと5年もすると、俺たちと似たようなもんになるんだろーけど
今はまだガタイからして、ロックさえしちまえば…
「そう簡単には外せねーよんv」
「ぜっ、たい…外す…もんね―ぇっ」
「ムリムリ、ギブしねーと落とすぜぇ」
「うくッ…ぅ―――」
「ありゃ?もうイッちったの?俺ってテクニシャ〜ン」
小さな悲鳴をあげて、もがいていた腕が重力のまま下にぶらさがった。
「このまんま獅子舞様に謙譲すれば俺の給料上がるかもv」
良からぬ事を思い浮かべ、早速隊長の自室にふん縛っておこうと
脱力しきった身体を持ち直そうとしての首を解放した
正にその瞬間。
その身体は俺の手を弾き、床に着地して素早く2、3歩分の距離を開けた。
気絶したのは演技かよ。
「変な芸覚えやがって…」
「『ささやかなボーエーしゅだん』だもんね」
「リキッド坊やか」
余計なこと覚えさせるなよ。
一回小細工をしだすと次から次へとやりだすだろ。
覚えたことを駆使して、悪戯に発展でもされたら一大事。
人の被害を見る分には楽しいからもっとやらせたいが、自分の物にも被害が及びかねない。
これは先手を打っとかないと、自分にも災いが降りかかることは必至。
順番的に俺が2番手だしね。
「、リキッド坊やの言うことなんか聞くとロクな事ないぜ〜」
「なんで?」
「現に今あっち逝ってんだろ?防衛できてねーじゃん」
「そーだけど…」
「だろ♪」
「そーだな。今度からやめよっと」
洗脳成功。
子供は素直なうちが花だな。
あと少し育ったら人の言うことなんか聞きゃしない生意気なのになるんだぜ。
進めって言われりゃ止まって、動くなって言やどっかに行っちまう。
なんで分かるかって?
俺がそーだったから。
多分は特戦の中じゃ俺に一番似てる。
あくまで子供時代のな。
将来は俺みたいなプレイボーイになったりして。
「ロッドなにニヤニヤしてんだよ」
「なんでもねーよ、飯食い行こーぜェ」
「オレもう食ったし」
「もっと食わねーと俺みたいにはなれねぇぜ☆」
「なりたくねーから食わないっ」
話は飛んで、今から1ヶ月前のこと。
俺はこの時ちょっとばっか気になることがあった。
「ー、お前ヒョロすぎねぇ?」
「気にしてんだから言うなよ!」
「ちゃんとトレーニングしてんのかよ」
「いっつも一緒にやってんだろ!!」
「まあそーなんだけどよ…にしったて…」
リキッドがの腕と自分の腕を比べて笑った。
はそれにキれて、リキッドに喧嘩をしかける。
兄弟のじゃれ合いにしか見えないが俺は『あること』が気になってた。
「しかしリキッドの言うことも一理あるな」
「どーかん」
の書いた作文のチェックをしてるマーカーの言葉に俺は同意をしめす。
誤字脱字が多いらしく、作文用紙は赤ペンで手直しでいっぱいだ。
『字は書けるようになっても文の構成が滅茶苦茶だ』と
何日か前に呆れていたのを思い出す。
「2ヶ月も特戦にいて、あの薄っぺらさは無しっしょ」
「体質で一定以上にならない者もいるが…」
「なぁG」
「…………なんだ…?」
「お前こないだが12歳だって言ってたよなぁ」
「………ああ」
12歳って言ったらもう身体が出来てくるころだろ。
アジア系でもねーのに…ちょーっと発育不全だと思うわけよ。
「一度ドクターに見せた方が良くねぇ?」
「お前が気にするとは珍しいな」
「なんかなー…」
「特に異常は診られんし、気にすることはないと思うがな」
「けどよ〜」
「栄養が足らなくて成長が遅れているだけだろ」
てっきり固執していることを突っ込まれると思ったのに
真面目に答えを返してきたマーカー。
「子育て経験者がそー言うなら気にしねーよ」
「人を子持ちのように言うな」
「似たようなもんだろv」
そしてそんな話の事はすっかり忘れていた今日この日。
思わぬ形でこの時の引っ掛かりが明らかになるのを…俺は知らなかった。
「よりによってコーヒーかよ、これじゃ着れねーぜ」
談話室についた俺を待ってたのは、たっぷりとジュースを飲み込んだ俺の上着。
匂いからするとオレンジと思われる甘い柑橘系の香りがする。
「つーわけで洗っといてよ、リキッドちゃん」
頭に止血痕が残るリキッドに皮ジャンを投げる。
水分を吸って重くなったそれは、リキッドの持っていた洗濯籠にジャストで落ちた。
俺はその足で冷蔵庫まで行く。
「俺だけじゃなくてにもやらせろよッ」
「もうこないだのこと忘れたわけ?」
「う゛……」
「じゃー頼んだぜv」
まだ記憶に新しいの合成ガス事件を思い出して、
蒼ざめながら山積みの籠を持って部屋を出ようとする坊やと入れ違いに
顔を合わせたばかりのやつが入ってきた。
「」
「あれ?マーカー本読んでたんじゃねーの?」
「そのつもりだ。お前は昼までにこれを直しておけ」
「え〜、今からロッドと遊ぶのに…」
俺まだOKしてねーぞ。
冷蔵庫を開けると溜まっていた冷気が纏わりつく。
何も着ていない上半身には反射的にブルッときた。
「今日はこれをやれば無しだ、午後は好きなようにすればいい」
「やったー!それならやる!」
日課になりつつある午後4時からの勉強タイムは無しらしい。
マーカーがに数枚の紙を渡して、俺の横まで来た。
「ご注文は?」
「コーヒー」
「ほいよ、 片方は俺のだから飲むなよ」
「言われんでも2本も飲まん」
よく冷えた缶コーヒーをマーカーに2本手渡して、今度は上の冷凍庫を開けて
目当ての物を探す。
「…あンれ〜?ピノの苺がねぇな…何処入ってんだぁ?」
「それなら今朝食後に隊長が食べてたぞ」
「うッそだろ!?あれ日本でしか売ってねーのにっ」
「私に言うな」
「あんのオヤジ、人のモンばっか食いやがってぇ!自分で買えっつーの!!」
荒っぽく扉を閉めると俺より少し小さいそれが揺れる。
慌てて抑えたから倒れはしなかったが、万一壊れでもしてたら給料から引れる…
壊れてることがないよう祈って、ごまかすようにマーカーに声をかけた。
「今日はお勉強しなくていいのかよ?」
「私もたまには集中して読書したいからな、犠牲になれ」
「暇だから別にいいけどよォ、俺は勉強なんか教えらんねーぜ?」
「期待してない」
「そーかよ」
冷蔵庫に寄りかかる俺に缶コーヒーを渡すとマーカーは背を向けて
振り返らずに…
「サボらないように見張るくらいは出来るだろう?」
そう言い残して自分の部屋に戻って行った。
最初っから俺にやらせるつもりだったのかよ…
自分勝手だよなぁ。
好きでやってるくせに、自分の時間が欲しくなったら人任せなんてよ。
知ってるんだぜぇ。
最近に母国語まで教えてること。
隠してるみてーだけど、前に中国語のテキスト買ってんの見たし。
よし、決めた。
今度このネタでからかってやろう。
適当に腰をおろしてプルトップを開ける。
飲みながらを見れば、一生懸命紙と睨めっこしている。
これってかなり暇かもしんねぇ…。
いつもならに付きまとわれて仕方なく相手をするから暇にはならない。
けど今はそのが勉強中。
しかも今やってるのを終わらせれば今日の勉強は無しときてる。
余所見もしないで夢中でペンを走らせてる。
これなら見張りなんていらねーよ。
「おーい、ボーヤ」
「ん〜?」
「お兄さんと遊ぼうぜぇ」
「うん、これ終わったら遊ぶ…」
「チェッ、つれねーの」
部屋もどっかな…
いや、でもがもし逃げたり居眠りしだしたら俺までマーカーに燃やされかねない。
しゃーない、終わるまで待つか…。
何気なくボーっと部屋の中を見回す。
俺の興味を引くような変わった様子も無く、最終的には物よりは
何かしら動きのあるに目が行く。
「………」
遅れて届いた俺たちと同じ皮ジャン。
それを着ている身体は細いというより小さい。
具体的な出身地は知らないが、欧米産であることは間違いないと思う。
けどコッチ方面の生まれだと12歳にしては小柄すぎる。
大きく開いた胸元もまっ平らで、無いも同然の胸筋では力強さに欠けていて
これなら総帥デザインの隊服の方が格好もつくし、何より似合ってる。
なーんか引っ掛かる。
視線を上にずらす。
ここに来たころは歳不相応に尖っていた輪郭も
今では子供らしい肉を付けて、頬から顎まで滑らかな曲線を伸ばしてる。
Gが切ってやった髪も少し伸びてきてて目にかかってた。
それを時々邪魔そうに払うと、他より陽に当たっていない額が顔を見せる。
金の瞳を宿した瞼から伸びた睫毛は、上向きになだらかな弧を描いている。
当の眼球は太陽の光を吸い取ったような金色で
常人のそれよりもくっきりと物を反射させる。
鼻は低めだがスッと一本筋が通ってて、追いかけると
薄色の唇に辿り着いた。
……んん?
ここまで来て、胸のもやが一層濃くなった。
無心に立ち上がり、勝手に足が動く。
「ロッド?」
が俺を見上げる。
そりゃ勉強中に後ろに立たれて
その上前髪かきあげられたら誰だって何かと思うよなぁ。
不思議そうにする顔をジッと見てると、だんだん不満気な顔に変わる。
「なんだよ?」
「ん〜や、なんでもねぇけど…」
「だったら邪魔すんなよな〜、終わんねぇとマーカーに怒られるだろ!」
「怒るなよ、カワイイ顔が台無しだぜぇ」
眉間にしわを寄せるを見て俺はいつもの軽口を言って手を退けた。
サラッと落ちた前髪からするにしっかり手入れしてる。
香りが石鹸なのは気になるところだけどな。
俺は同じ場所に座りなおしてもう1度を見た。
…1ヶ月前、マーカーと話してた時のあの引っ掛かりを思い出す。
なんなんだ?
前より引っ掛かりが強くなってる気がする…
なんとも言えない、この違和感。
「洗濯終わったぜー。…なんだ、とロッドだけか」
「誰かご指名でもあんのかぁ」
「ねぇよ!…あれ、勉強してんだ?」
「うん。今日コレだけでいーんだって」
「良かったじゃん、マーカーにも良い所あんだな」
「坊やも一緒にやったらどーだ?」
リキッドは額に分かりやすく血管を浮かべて
俺の正面に座って飲みかけだった自分のカップに口をつける。
そして口から虹を出した。
「ブーーーーッツ!!ぐおッゲホっ!んだこれ?!」
「ああ、それ朝にハーレムがなんか足してたよ」
「さき言えッ!うう‥ぐェは…」
「ギャハハハハ!獅子舞サマの嫌がらせに当たっちまったなv」
顔を苦痛に歪めて咳き込むリキッドは恨めしそうに俺を睨む。
うちの新人はホンット可愛がりがいがあるぜぇ。
そう思いつつ、ついさっき坊やのカップに注ぎ足したコーヒーを舐める程度に飲む。
しっかし隊長も同じことやってたとはな。
「リキッド生きてっか?はい水」
「おお…ザン…キュ……」
が持ってきた水を瀕死さながらの状態で受け取る。
どっちが年上だかわかりゃしねぇ。
「狽fUHAAAAAAaaa……――――」
「うおっ!?」
受け取ったコップの水をほんの少し口に含んだだけのリキッドが
奇怪な声を出して盛大にぶっ倒れた。
正面で行き成り巻き起こったことに呆然としてる俺は
その一部始終を冷静に見ていたに疑いの目を送る。
「なに盛ったのお前?」
「マーカーが背ェ伸びるから飲めって言ってくれたカンポーヤク」
「カンポー…アレか。やるねぇ、ボーヤ♪」
に上を行かれちまったぜ。
にしてもマーカーの漢方薬か…
俺も前に飲んだことあっけど、あの時俺は人生最悪の境地まで行ってきたぜ。
あいつが言うには健康に良いらしいけど
命を奪いかねない不味さで健康食品なんて信用できねーな。
ぶっちゃけ俺もスグ気絶したから味なんか覚えてねーし。
マーカーに漢方薬と獅子舞サマに眼魔砲なら、俺は後者をとるね。
呪われるより吹っ飛ばされる方が断然いーぜ!
「やべっ、勉強しねぇと」
「え〜もぉ?もっと相手しろよv俺つまんねーじゃん」
「うあっ!離せよッ」
「や〜だね」
「終わんねぇとマーカーに燃やされるって!!」
に今日2度目のヘッドロックかける。
1度目とは違ってかなり力は抜いてるものの、キレイに決まってるから外れることはない。
俺の膝の上で騒ぎ立てながらジタバタもがくの声で
ノびていたリキッドが身体を起こした。
「うぅ…マジ死ぬかと思った……」
「おっ、リキッドちゃん、いい夢見れた?」
「夢どころじゃねーよ!ジョージが花畑で冠作ってたわい…!!」
自分の胸元を鷲づかみにしてゼェゼェと肩を上下するリキッド。
初代アメリカ大統領とディズニー坊やが、どーゆう関係なんだかちょっと気になる。
「ロッド、マーカーに言いつけるかんなッ!!」
「わぁったよ。さっさと終わらせちまえよ」
俺だって好き好んで燃やされる趣味は無い。
暇つぶしの相手もできたことだし離してやると、は首を回しながら勉強に戻る。
俺は肩をすくませてソファに寄りかかった。
「ロッドさ、最近よくかまってるよな」
「…そぉ?」
図星。自分でもわかってること。
でも何でこんなにかまっちまうのかは分らない…。
そりゃ可愛いとは思うぜ?
けどな、
俺はショタコンでもなければ生粋のゲイでもない。
リキッドの言うことに曖昧な返事だけ返して
テーブルの隅に置きっぱなしにしていた雑誌を手に取る。
安物なだけあって大したのじゃない。
表紙につられて買っちまったけど、載ってる写真はいまいちで
これを見ても皮パンがキツクなることはない。
やたら見せればいいってモンじゃなくて、こう…見えそで見えないアングルとか、艶っぽさが欲しいよな…
まあそれでもヒマを弄ぶよりはマシだ。
「おいロッド、それ読むなら部屋行けよな///」
正面にいるりキッドに表紙が丸見えだったらしい。
顔を赤くしながら諌めるような口調で言うリキッドは、今の俺にとって
こんな本より格好の暇つぶしになりそうだ。
「なんだよボーヤ…興奮しちまうっての?」
「だっているだろ!!つーかココ置くんじゃねーよッ」
「見たいなら見たいって言えば〜?ほらよ」
「なっ///」
適当に開いたページを見せてやると、期待通りの反応をくれた。
顔は背けてもしっかり目は釘付け状態。
「タマッてんなら俺の秘蔵本貸してやっけどv」
「イ、いらねーよっ///」
「適度に抜いとかねーとイザって時に使い物になんねェぜ」
「余計なお世話だ!!」
強がっちゃって興味津々のくせに。
「…なぁ、それ面白い?」
「興味あんの?こっち来〜いよ」
「止めとけよッ」
リキッドが強めに言うが、それをナチュラルに無視しては机に飛び乗る。
開いてるページは、金髪のきつめ美人が
獣のように腰を高く突き出して、あからさまに誘ってる表情で写ってる。
ちょっと刺激が強すぎっかぁ?
「大人ってこーゆうの好きなのか…?」
「俺は直に触る方が好きだけどな」
「リキッドも?」
「えっ!!そりゃまぁ…男だしな……///」
「ふーん……」
じっくりページを観察する。
ページをめくって次々と女体を目の辺りにしていくと俺とリキッド。
背表紙に近づくに連れてモロになっていく被写体にリキッドは一人ソワソワし、
ゼリーのような液体に塗れて足を広げている女のページで
ついに鼻血を噴き出して、慌てて近くにあった布で鼻を覆った。
そんなリキッドとは対照的に、は淡々と最後まで見続けて
パタンと背表紙を閉じてしまった。
「どーよ、坊や。大人の階段上った気分は」
「ん〜〜……つまんね…」
「はぁ?!」
「こんなのどこがイイのかもわっかんねーし、つまんねーよ」
有り得ねぇ…!!そんなの健康な男じゃねーって。
俺なんか中学あがる頃には脱童貞してたぜ。
それが女体にすら興味無し?
面白くない…。
照れて絶句…ってんなら、思いっきりからかってやるのに
この坊やときたら、感動詞の一つもないで最後まで見終えちまった。
確かに俺からしたら大した本じゃねーけど、
もうちょっと反応あってもいいってのに…。
そっちの方には全く興味を示さないを、どーにかして
からかってやりたくて、俺は最終手段に出ることにした。
「そんなんじゃ、いつか使う相棒が泣くぜぇv」
ちょっかいをかけるつもりで…俺は手を伸ばした。
「………………ん?」
俺、今……触ってるよなあ?
にしちゃ感触が………
「いつまで触ってんだよロッド、が可哀想だろッ!!」
の股間に手を置いたまま止まってる俺に
リキッドが声をかけてくる。
「オイ!いい加減に…」
「………無い」
「ハ?」
「アレがねぇ…!!」
俺が3●年間1度たりとも離れることなく付き合っているあの感触が…
例えるならナマコみたいなグニッと生々しく残るあの感触が…
トイレに行けば必ずこの手で持って支えるアレのあの感触が…
まるで無い。
いやいやいや、ないわけない。
大小の差はあっても、絶対にあるはず。
…それともこの坊やのは握れないほどの極小サイズなのか?
だとしたら哀れすぎる。
たとえ腕っぷしが強くて
顔がキレイで
尚且つ常人離れしたテクがあったとしても
ナニがちみっ子以下じゃ女はなびかない。
「あるわけねーじゃん。オレ女だもん」
「ああ、な〜るほど。それじゃあるわけねーな……ってオンナ!?」
女ってあれか。華奢で柔らかくて甘い匂いのする
俺の大好物のこと?
あまり使われてない俺の脳が限界速度を超えて活動してる中、
リキッドは赤く染まったティッシュの山をゴミ箱に詰めながら
に話しかける。
「狽ヲッ、って女だったのか?」
「そーだよ」
「俺てっきり男かとばっか思ってたぜ」
「みんな知らねぇんじゃん?オレのこと坊やって言ってるし」
「ふーん、そーいや便所で会ったこともねーっけ」
「オレいつも個室だもん」
『そりゃそーだよな』と芳香剤のごとく爽やかなリキッド。
「ちょ――っと待ってくれるかぁ…」
「ロッド顔わりーよ?なんか変なモン食ったんじゃねぇ?」
「、それ言うなら顔色」
この状況でマメな突込みが出来るリキッドの脳内が理解できない。
さっき驚いてたんだから、リキッドだって今初めて知ったはず。
普通はもっと驚くだろ。
歳やら名前が違ったのと、付いてる物が違ったのとじゃ、重要性が段違いだ。
それなのに目の前の坊やときたら…
「…なんでリキッドちゃん、そんな普通なわけ?」
「なんでって…別に男でも女でも大して変わんねーじゃん」
「はぁ?違うだろ?!全然全くコレッぽっちもッ!!」
いつもと立場が逆で、取り乱す俺が落ち着いてるリキッドに食って掛かる。
マーカーに見られたら嫌味の嵐に遭うだろう。
リキッドは机の上に座ってるを見て少し考えるが
すぐに俺に向かって口を開いた。
「じゃあロッドは、が女だと何が変わるんだよ?」
「そりゃあ………」
女の子だぜ。
オ・ン・ナ・ノ・コ!!
いくら子供でも女の子を野郎と同じ扱いにするなんてイタリア人の恥だぜッ!
そーだな…まずは・・・
「危ないところ守ってやって」
「俺たちと変わんないくらい強いのにか?」
「…服の1着や2着買ってきて」
「Gが作ってるし、総帥からもプレゼントされてるぜ」
「……食事は極上のワイン開けたり…」
「未成年だっつの」
「夜の相手に…する気はねーけど」
「したら犯罪者」
「殺し屋なんだから今更犯罪者もねーだろ」
「うるせーな。で、他には?」
一つ一つ思い当たって行くが、にしてやれることは
何一つ無い。
ってことは…
「……変わんねーわ。全然」
「だろ?」
バタンッ!!
俺が納得したと同時に
勢いよく開かれたドアから気持ち悪いくらいの酒臭が入り込んでくる。
「オメーらぁ!戦闘準備しろっ!!」
「隊長!?競馬行ってたんじゃ…」
「携帯で呼び出されたんだよッ、おかげでホイミの勝ちシーン見れなかったぜ!」
見ても見なくても、どうせ負けレースだろ。
「おらおらマーカー、G!!さっさと出て来――い!!」
部屋に隊長の大声が響き、ドアが開く音が2つ聞こえる。
俺たちは隊長の後に続いて廊下に出た。
「(が女の子とはな〜。
あの違和感はだからか。あ〜スッキリしたぜぇ。
言われてみりゃ可愛い顔してるもんなーv筋肉つかないのも納得。
そっか、そっか。女の子……!)」
俺は出来る限りの爽やかな笑顔を作って
先を歩いてるの肩を軽く叩いた。
振り向いたが口を開く前に、用件をサラリと言う。
「なぁなぁー、もぉ何年かしたら俺と一緒に寝ようぜv」
「ロッドと…?別にいーぜ、そんくらい」
「あッ!俺が一番初めな。他のやつが誘ってきたら『売約済み』って言って断れよ」
「うん、わかった」
俺の意図を察していないどころか、『売約済み』の意味も分らないまま
会話の勢いと流れでうなづく。
これで予約は完了。
さっきの場に隊長とマーカーが居なかったのを神に感謝するぜ。
居たらこう簡単にいかなかっただろーしねん。
そーだ、神様。
感謝ついでに、俺のお願い聞いてくんない?
「ヒャッホーぅv約束だぜぇ〜♪」
俺が予約引取りする頃のがとびっきりの美人に育ってくれてますよーにv
子供は何かを失くして大人になる
希望 夢 理想 願い
全てを失っても どうか忘れないで
今あるその幸せ
抱きしめてるモノを 忘れちゃいけない