あんたが嫌いにさせた。
「許して、ちゃん」
「いやだ」
「お願い!!謝るからさ、ね?」
「い・や・だ」
こんなやり取りをして早1時間。
目の前であたしに謝り続けてるのは、あたしがマネをやってる男バスキャプテンの仙道。
「本当にゴメンね?」
「聞き飽きた」
「じゃあ・・・・・すみませんでした」
「話にならん」
あたしは、その場から離れる。
慌てて追いかけてくる仙道。
「待ってよちゃん〜」
「待たん」
「う〜ん、それじゃあ俺が追いつく」
2mくらいあったはずの間がたちどころに消された。
こういう時、本気で身長差が憎らしい。
また距離を開けるために早足にする。
仙道は、また慌てて追いついてくる。
「ちゃん、戻ろ?」
「やだ」
「けど、お弁当まだ途中だよ?」
「一人で食ってろ」
「参ったなぁ・・・」
「勝手に参ってろ」
仙道が困ったように笑う。
まるで、聞き分けのない子供を相手にしてるように。
「そんなに嫌い?」
「大嫌い」
「美味しいじゃん、ほうれん草」
「嫌いなモンは嫌い。
んでもって、それを知ってて弁当にほうれん草入れた仙道も嫌い」
「俺、嫌われちゃったの?」
「うん」
「じゃあまた好きになってもらわなきゃだ」
「もうならない」
ふいっと顔を逸らす。
「あんたと別れて越野の彼女になる」
「え?!ちょっ・・ちゃん?!」
ここでイキナリ全力疾走。
言い逃げあるのみ。
「ちゃ〜ん!!」
追いかけてくる。
ああ、やっぱりいつもみたいに追いつかれるのかな?
今まで一度もあいつから逃げられたことなんかないし。
原因は彼の手作り弁当に入っていたほうれん草。
嫌いなモンは嫌い、愛情たっぷりだって食べたくない。
知ってるくせに、あたしをからかうためだけに毎日毎日入れる仙道は性格悪い。
だけど・・・
追いかけて欲しくて、怒ってないのにわざと怒るあたしの性格も良ろしくない。
つまるところ似たもの同士だったりする。
「もう入れないから考え直してよ、ちゃ〜ん」
「絶対やだ!」
「俺のこと好きだよね?」
「嫌い!あんたが嫌いにさせた!」
学校中に響く2人の声がやむのは
仙道の手があたしを捕らえる、あと数十秒後のこと。