秋捜し
「小さい秋、小さい秋、小さい秋見つけた〜♪」
「終わってんじゃん」
「出だし何だっけ?」
「誰かさんが〜だろ?」
「そっか」
学校帰り
信長とは制服デート中。
「何で歌ったんだよ?」
「え?いや、秋だな〜って思って」
「まぁ秋だよな」
木の葉が黄色や赤に変わりかけてる。
風は冷たくもなく暑くもなく
しいて言うなら 心地いい。
「秋と言ったら?」
「バスケの秋!」
スポーツの秋の間違い。
「は?」
「食欲の秋!!」
「だろーよ」
「当然!秋はいつもの3倍は食べるよ」
自慢して言うことじゃないって。
「女の台詞じゃね〜」
「ノブのがいっぱい食うじゃん」
「男は成長期だからイーんだよ」
2人とも食べすぎ。
「狽っ、『食欲の秋』発見!」
ほら、とが指差した先は、屋台のたこ焼き屋。
「食うか」
「食うとも」
たこ焼き2パックお買い上げ。
「ノブ、一個ちょ−だい」
「んじゃ口開けろ」
少し歩いた所のガードレール。
それに寄りかかって食欲の秋を満喫。
信長は自分のパックから一個、の口に運んだ。
「ん〜、んまい」
「のも食いてえ」
「えーー」
「オレの食っただろ」
「ちぇっ」
コーンの一番少ないのを、信長に食べさせる。
「ケチくせーぞ」
口をモゴモゴさせながら言う。
「だってコーン好きなんだもん」
パックの中の黄色い粒を、寄せ集める。
「おっ」
「何かあった?」
「あそこ、似顔絵描きやってる」
信長が割り箸で指したのは、道路を挟んだ向こう側。
「アレって『芸術の秋』?」
「そーじゃね?」
「描いてもらおっか」
「食い終わったらな」
興味津々の2人は、急いでたこ焼きをつまむ。
空いたパックは、きちんとゴミ箱に。
「ふんふふ〜ん♪」
「おい」
画用紙を眺めるに、声をかける。
「ん〜?」
の持ってる紙には、長髪の少年。
「いつまで見てんだよ///」
「だって似てるんだもん。猿っぽいとこが」
「見ながら歩くな」
「いーじゃん」
「やめねーと、こっちの部室に飾るぞ!!」
「んなっ///やだっ恥ずかしい!!」
信長の持ってる紙には…可愛い少女。
「、」
「また何か見つけた??」
「『読書の秋』してこーぜ」
常連の本屋の前。
「ジャンプ買うの?」
「金ねーから立ち読み」
「じゃあ今週はあたしが買うよ」
「やりいっ!!」
「ノブまだぁ〜??」
「うるせー」
「まぁだぁあ〜〜〜?」
「ジャンケンで負けたんだから待ってろよ!!」
帰宅。
ジャンプを先に読んでるのは信長。
「あたしが買ったのに」
「いつもはオレが買ってんだぞ」
全てはジャンケンで決まる。
買ったのに先に読めない辛さは、思いの他きつい。
「気になるぅぅ〜」
信長のベッドで暴れる。
枕が哀れだ…
「なら一緒に読むか?」
見かねた信長は言った。
「読む!!」
は、待ってました!と言わんばかりに、信長の横に転がる。
信長がページをめくる。
それをが覗き込む。
「アッホくせー!!」
「くはははっ!あり得ないし!!!」
笑って。
「はぁ〜、何でココで…」
「だよなぁ」
呆れて。
「マジかよ!?」
「うッそ?!こんな展開あり??」
驚いて。
「あっ!まだ読み終わってないのに捲んないでよ」
「読むのおせー」
「うるさいなぁ…」
がページを戻す。
さっきより少しだけが距離近くなった。
「…///」
「てーかノブが読むの早いんだよ」
隣で信長が赤くなってるのに、は気づかない。
「捲っていーよ」
全く聞いてない信長。
「早く〜」
「(キスしていっかな〜…)」
聞いてない。
「信長ぁ〜??」
「狽、ぁあっ!!??」
見惚れていた顔が、自分の方を向いていて仰天。
「ボーっとしないでよ」
「わりー、」
「疲れてるの?」
額にかかってる信長の髪を、が撫で上げる。
「疲れてるなら寝れば?」
明日に響くよ?
の心遣いは嬉しい信長だが
今は…
「、今から『食欲の秋』と『スポーツの秋』やろーぜ」
「はぁ?『食欲の秋』はやったじゃん。『スポーツの秋』だって部活あったし」
「オレの食欲は尽きねえ!!」
「はぁああ?!」
寝転がっていたを、小脇に抱える。
―ドサッ
「さっ、やるぞー!」
「一応聞くけど…何を?」
「と仲良く運動vv」
食べ物が美味しい秋。
年中美味しいが、一層美味しい秋の夜。
END