インドのトイレ食べながら読むかどうかは自分で判断してください
紙がない。そんなことは当たり前のことだから今さら触れない。
インドは不思議の塊だ。常識の壁を平気でぶっ壊してくれる。
だからこっちにもそれ相当の覚悟があるし、もうなにを見てもなにを
経験しても驚かない自信があるのに、やっぱり裏をかかれてしまう。
1.カジュラホに行ったときのおはなしです
インドの長距離バスは不親切だ。タイのそれとは違って、トイレ休憩なんて
もんはない。
男は便利だ。バスを止めて立ちションすりゃいいんだから。だけど女は
そーは行かない。
ジャンスィーからカジュラホまでのバスに乗った。だんだんトイレに行きたく
なってきた。でもバスを止めて道端でする勇気は「まだ」ない。
バスが突然ギギギィといって止まった。やった、故障だっ。
「Let's go」西洋人のおばさんと一緒に、草むらで連れションした。
2.カジュラホから帰ってくるときのおはなしです
途中、バスターミナルに何度か停車した。トイレに行かない手はない。
トイレどこ? トイレどこ? 誰にも英語が通じない。
素焼きの壷の前に座った水売り女たちが、こっちに向かってしきりになにかを
叫んでいる。え、なに? そっち?
トイレがあった。壁もあった。ドアにはカギがなかったけど、そんなのどってこと
ない。汚いのにも馴れている。
トイレから出てきて水売り女たちに手を振ると、みんなが笑顔を返してくれた。
それがうれしかっただけ。
3.アジャンタに行ったときのおはなしです
アジャンタとエローラを1日で回るという、ムボウなスケジュールをたてた。
暑さの中でアジャンタのすべての窟を見て回ったら、ヘトヘトになって腹が減った。
「こっちのほうが下のレストランよりずっと安い」
階段の上の食堂のヤツがそういっている。ほんとかどーかは分からないけど、
ま、いっか。
うまくもまずくもないターリー食べて、チャイ飲んで、「トイレどこ?」ってきいたら、
「そっち」って指差された。
そっちって・・・。食堂の外へでて、ぐるりと歩くと、んぬ? ここかな?
L字型の壁があって、中の土からアンモニア臭がする。
別にそこですることに抵抗はなかったけど、下をみるとバス停が。なんだよ、
丸見えじゃん。
壁を作る方向くらい考えてほしいよね(結局遠慮させていただきました)。
4.エローラに行ったときのおはなしです
エローラに着いたときにはアジャンタの疲れがたまっていて、
足が思うように前に進まなかった。
それでも来たからにゃ全部見なきゃあかんがな。
ティンタールの3階までのぼって、カイラーサもくまなく見て、
ジェインテンプルもみんな見て、本当に疲れた。
さぁ、トイレに行って宿に帰ろう。
公衆便所に小奇麗なOL風日本人の方々がいた。なんだかみんな
呆然と立ち尽くしてるように見えた。
「ここ、空いてるんですか?」「ええ・・・」
あ、あったぞあったぞ! 便器のない公衆便所が。みごとに「床だけ」。
これか。みんなが戸惑ってたわけは。しかもそこにはみごとなトグロまで。
「こんなところでウン○ができる人の気がしれないわね」
ドアの向こうで彼女たちが話している。
まだまだ修行が足りないようだね。
5.オシアンでのおはなしです
ラジャスタンの小さな町、オシアンに行った。ジェインテンプルと
ドゥルガーテンプルで有名な町だ。
そこで昼に食ったターリーのうまかったこと! もりもりおかわりした。
食ったら出すでしょ。だからトイレはどこか聞いた。店員がついてこいっていう。
はぁ、また外だね・・・。
家の裏の細い路地のところにコの字型の壁があった。その中をのぞくと・・・
「うへぇ!」
その様相にはさすがのワタシもびっくりした。
だって下一面にビニール袋が捨ててあるんだもん。上に乗っていいものやら、
下はどうなっているのやら、ひぃー、想像したくなーい。
はじのほうでそそくさとすませました。
5.ラジャスタンに行ったときのおはなしです
インドの主要幹線道の脇にはダーバと呼ばれるものがならんでいる。
それはレストランと休憩所と売店を足したもので、トラック運転手たちが
ベッドの上で寝ていたり、表で水浴びしていたりする。
ダーバにもピンキリあって、きれいなダーバにはきれいなトイレがあるし、
きたないダーバにはトイレなんてない。
最初に入ったダーバのトイレは男女別だしきれいだった。
その次に入ったダーバのトイレには、ハエがゴマンといてコワかった。
最後に入ったダーバにはトイレがなかったから、となりのとなりのダーバ
まで歩いて、コの字壁型簡易トイレで用を済ませた。
5.ダラムサラに行ったときのおはなしです
デリーからダラムサラまでタクシーで行くことになった。仕事だからね。
たまにはゼイタクだってするのさ。
途中のパンジャブでシク教の祭に遭遇してしまって、ヒドいことになった。
道路大渋滞、完全マヒ。前にも後ろにも進めない。そのおかげでダラムサラ
までなんと17時間もかかってしまった。
当然、途中でトイレに行きたくなる。ダラムサラの上の町、マックロードガンジー
まであと1時間くらいの山道でトイレに行きたくなった。下の町のゲストハウスは
ことごとくトイレを貸してくれない。下の町のインド人ってとってもいじわるよ。
こーなったらアウトドアしかない。
タクシーを止めて、斜面を下りていった。
「うげーっ! いてぇーーーっ!」
右手に燃えるような痛みが走った。こらただごとじゃあないぞ。
翌日、日光の下でよくよく見たところ、ダラムサラの雑草にはことごとく
トゲがあることが分かった。
「インドは国自体が巨大な便器です」
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