FRAH(*1) & TEGE(*2) in OKINAWA
だらだら日記 1




*1:フラー=沖縄の方言で“キチガイ”
*2:テーゲー=沖縄の方言で“いいかげんな奴”


車がなけりゃ、はじまらない

 沖縄は車社会だ。というか、車以外に輸送手段がない。人も牛も、道を通る。さらに、すべてを真っ白く見せてしまう強〜いティダ(太陽)のおかげで、ジャランジャラン(あ、これはインドネシア語。“散歩”の意味)もままならない。自転車もしかり。
 さて、引っ越し早々BALIに飛んだTEGEが、あちらで頭もブッ飛ばしている間、右も左も分からない沖縄で、私FRAHはまず車探しを始めた。
 汗ダラダラ、ドキがムネムネのWALKING。ラッキーなことに、ここ北谷は巨大基地KADENA AIR BASEに近いから、米兵相手の中古車屋が多い。
 ペイレス・モーターズやファッキン・モーターズ(ウソウソ)といった車屋には、ドル表示の中古車がズラリ。マーク2やカローラといったファミリーカーが$1000位とたいへん安い。ま、これを日本人が買うとなると、車検代などでさらに13万円かかるけど(基地内の車検料は異様に安い)。
 私FRAHはどうしても軽のバンが欲しかった。あの形、あのけなげさ、あのシンプルさ。軽バンが通る度に、目がずうっとその雄姿を追ってしまう。
 さて、ここ沖縄では、軽のほうがそれ以外よりも割高である。ニーズが高いからだ。中古市場に、軽自動車はなかなか流れない。思ったより軽バンを友にするのは難しそうだぞ、と、半ばあきらめかけたところで、フッとのぞいたパシフィック・モーターズにそいつがいた。
 顔見知りになっていたマイク(なんだかヤバいヘロヘロ野郎)に「あれは売り物じゃないんでしょ?」と聞くと「売り物だよ」と嬉しい答え。到着したばかりの名古屋ナンバー付き銀色スバルサンバーが、こうして私の友となったのだ。
 あとで友人たちにこの話をすると、必ず「私にたのんでくれれば、もっと安くていい車が手に入ったのに」と言われる。
 でも、このセリフを私は信じない。だって、ウチナンチュって、東南アジア人だもの。「じゃあ、お願い」って頼んだら最後、なしのつぶてにワジワジ(いらいら)するか、「今の時期、なかなか無いのよ〜」となんどりと断られるかに決まっている。
 沖縄に入ってくる中古車は9割9分、事故車だという話も聞いたけど、真相は分からない。軽は大丈夫、という話もある。いずれにしても、車探しは男探しと同じで、縁だ。
 今、ラスタカラーに塗られた(日射病になりかけながら、自分で塗った)FRAH−CARは、エアコンが止まり、時にルームミラーがもげ落ち、ラジエーターの水をしたたらせながらも(ちゃんと直したよ)、けなげにウンウン働いてくれている。



FRAH & TEGE in OKINAWA
だらだら日記 2




複雑怪奇な、沖縄古典音楽

 ドミファソシドをランダムに並べれば、沖縄音楽が出来上がる、と音楽の時間に習わなかっただろうか。
 沖縄の歌というと、"島唄(こら沖縄の音楽ちゃうでー)"か"ハイサイおじさん"か"花"。もう少し知っている人で、"十九の春"か"芭蕉布"。
 沖縄音楽っていいわよねー、と言っている人に限って、この程度にしか曲を知らない。
 これらは、日本語で言えば歌謡曲あるいは演歌、沖縄流に言えばすべて民謡だ。
 沖縄音楽には大きく分けて古典と民謡の2ジャンルがある。
 ヤマトンチュで沖縄古典音楽を聴いたことのある人など、1000人に1人の割合もいないだろう。
 約2年前、私FRAHは、とある友人(母親が沖縄・久高島出身)の超強引な誘いに負けて、三線(サンシン。大和では蛇味線などと言うが、こんな言葉、沖縄では聞いたことがない。三味線と呼ぶ人は多くいる)を習い始めた。
 ちなみに、TEGEと出会ったのは、この中野の三線教室だ。
 三線教室(正確には古典音楽研究所)では、古典音楽を習う。
 この古典音楽というもの、始めて聴いた人はだれもが「なにこれ?」と言うはずの、奇怪な音楽だ。どういう風に、と説明するのは大変難しいのだが、たいへんゆっくりしていて、メロディーらしきものがなく、アーウーと意味不明の歌詞をうなりながら、三線をベーン、ベーンと忘れたように爪弾くもの、といったところだろうか。
 音感はいいほう、と自負していた私だが、この古典音楽には苦労した。なにしろ、手ほどきを受けてからすでに2年が経過し、後述するが3ヶ月間古典音楽漬けになってもなお、一曲としてまともに覚えた曲がないのだ。
 古典音楽は三線(三線弾きは必ず歌を歌わなければならないので、歌三線〔ウタサンシン〕と呼ばれることもある)、琴、笛、胡弓、太鼓から形成される。
 三線と琴は独奏(=独唱)用にも、地謡(ジカタ。伴奏)用にも使われる。
 笛、胡弓、太鼓はジカタ専門だ。
 古典音楽の発展には、沖縄の地方2大紙(沖縄タイムス社と琉球新報社)が大きく貢献している。いずれの新聞社も毎年夏に、新人選考会を数ヶ月にわたって開催し、古典音楽を学ぶ者は、遅かれ早かれこの選考会を受けることを師匠から求められる。
 はじめに受けるのが新人賞、これに受かると2年以上の期間を置いて優秀賞、さらに最高賞、最後にグランプリとこれでもかとチャレンジしていかなけらば、一人前にはなれない。
 これとは別に、教師試験、師範試験というのも存在する。
 どの部門のどの師匠も、タイムス派と新報派にバッチリと分かれているから、タイムスの新人賞を受けたあとに新報の優秀賞を受ける、という人はいない。
 公演は基本的に同一新聞派の演者で構成される。
 さて、私FRAHは去年、ナイチウチナンチュの友人がタイムスで舞踊の新人賞を受けるというので、応援のためにノコノコ那覇までついてきた。
 選考会場のタイムスホールのドアを開けてビックリ仰天。舞台から5メートルほど離れた所にズラリと10人の審査員が並び、さらに5メートルほど距離をおいて観客がいるのだが、誰一人として咳ばらい一つしないのだ。
 ひたすら静寂の中、一人、一人と同じ踊りを踊っては去っていく。ホールにみなぎるものすごい緊張感。
 これが延々と何日も繰り返されたのち、最終の結果発表の日には、約半数の人が「また来年かぁ」といいながら、すごすごと引き上げていく。
 そして今年。なぜか私は3ヶ月にわたる選考期間中ほぼ毎日、タイムスホールで黙々と(でもないか)審査員の先生方にお茶を出し続けるハメになった。
 一時間おきの休憩ごとに、さんぴん茶(沖縄ではジャスミン茶のことをこう呼ぶ)や緑茶、コーヒー、弁当、おやつなどを用意していると、審査員の大先生方から「うちに嫁にこい」「もう本土には帰るな」「こんど家に遊びにいらっしゃい」などと温かい言葉を色々いただいた。
 さらに、大先生は奇人変人ばかりで、中でも舞踊には実にさまざまな流派が存在し、流派が時にいがみ合い、足をひっぱりあっているということも分かった。
 今ここで、あの流派のあの先生はあの先生と仲が悪い、といった話はしないが、いずれにしても、どの古典芸能界も人間関係は複雑なようだ。



FRAH & TEGE in OKINAWA
だらだら日記 3




日焼けしたがるのは、ウカレポンチな観光客だけなんだって

 ハイサイ、チューガナビラ。みなさんお元気ですかーっ! 沖縄でハイ、ウチナーでポン(?)。
 沖縄の夏は暑い。もちろん、東京の夏も暑いし、バンコクの夏はもっと暑い。そりゃーそうなんだけど、沖縄の夏は、ベタベタ暑い。ジリジリ暑い。
 徹夜明けの「あー太陽まぶしい、世界が白い」ってな状態が、ずっと続いてる。
 沖縄に来てはじめて、汗が滝のように流れ落ちる状態を体験した。スポーツしたり、激しい◎×□でもすりゃ、汗ダラダラになるの当たり前なんだけど、表5秒歩くだけで、背中ペタペタになる。
 ウチにゃエアコンないから(これって、ウチナンチュには信じられない状況なみたい)、ホットシャワーなんか浴びようもんなら、もー大変。あとで汗シャワーも浴びちゃうのよ。
 日差しが強い。むちゃ強い。太陽光線がグサグサ刺さって、痛いんだから。
 すぐ焼ける。海に行かなくても、ずっと建物の中にいたつもりでも、あっという間に黒くなってる。これを私は「生活日焼け」と命名している。
 ちなみに、ウチナンチュの女の子は日焼けをとっても嫌う。女の子たちが海で遊ぶのは、夕方になってからだ。夕陽に照らされながら、ウフフフ、なんて水浴びしてる女の子たちって、ちょっと不気味よ。
 肌が白いってだけで、顔がどんなでも、一応はもてるらしい。お前らバリニーズか?
 だから、若いネーネー(ネエちゃん)たちが日傘さしてるのを「なんだ、かっこわりぃ」とけなしてはいけない。車の運転席で帽子かぶって、ほっかむりして、手袋してるおばさんは、殺してOKよ。お前らなんか、黒かろーが白かろーが、誰も気にしちゃいねーよ。
 沖縄は渋滞のメッカだ。バンコクと一緒で、みーんな車で移動するからね。
 で、スカタンFRAH−CARはエアコンぶっこわれちゃってるから、渋滞に巻き込まれちゃうと、死む。しかーもー、マニュアル車なもんで、クラッチ切ってはつなぎ、切ってはつなぎ、暑い、まぶしい、死にそー、隣の車は窓が閉まってる、くそっエアコンきいてやがるんだ、Jパンが足にひっついちゃって気持ちわりーよー、AMラジオはくだんねーしゃべりばっか、何だよ早くスタートさせろよ、急に割り込むなよ、ウインカー出せよ、バカヤロー!
 いっちばんひどいのは、国道58号の朝7時30分〜9時30分と夕方5時30分〜7時30分のバスレーン時間のときだ。一番左の一車線がバス・タクシー・バイク専用レーンになっちゃうから、渋滞がひどくなる。
 バスレーン違反はすぐ、ハイハイこっちね、って警官に手招きされちゃうから、守らざるをえないし。観光シーズンは、"わ"ナンバーがいっぱいつかまってて、ちょっと気持ちいいね。
 TEGEがBALIから帰ってくる時なんか、普段は空港まで40分位なのに、渋滞してて1時間40分もかかっちゃって、そしたら、途中で心臓バクバクで、頭クラクラだった。
 そのくせTEGEったらマニュアル車運転できないから、私が那覇空港に降り立っても、姿見せないの。なんかとっても損した気分。
 原チャリに乗る人も多い。オバア(ばばあ)が街中を原チャリでカッ飛ばす姿が見られるのって、日本じゃ那覇くらいじゃない? それは決してカッコよくなくって、棺桶が走っているとしか思えないバイオレンスなシーン。
 あと、バスレーン時間の原チャリ群は、北京の自転車群にひけをとらない(ちょっとオーバー)異様かつジャマなもの。
 3ヶ月の那覇通いの時は、路線バスを利用した。番号の書かれた乗車券を取って、降りる時に番号に応じて料金を払うのは、田舎型。
 んーでもって、バス料金はバカ高い。ウチから那覇までなんて、片道550円(降りるバス停によっては600円)。毎朝6時半に起きて、高いバス代払って、真面目に3ヶ月勤め上げたのに、沖縄タイムスったら、交通費くれないでやんの。金よこせーっ!
 だけど、バスはバスレーンをスーイスイだから、時間は読めるし、エアコンきいてて快適(寝すごしてバスターミナルまで行っちゃうと最悪)。
 ウチナータイムという言葉がある。沖縄時間ということで、お分かりの通り、待ち合わせにゃ遅れるよっ、ってことだ。
 まあ、本土の人間にも時間にルーズな人はたくさんいて、私なんてFRAHだからサ、待ち合わせに5時間遅れたことがあってサ、でも神奈川新聞で記者やってる相手は、6時間遅れてきた。
 さて、ウチナンチュがみーんな時間にルーズなのは、“南国ボヨボヨーン”が主な原因なんだけど、道路の渋滞も理由の一つなんだって。でもさー、これっていい訳めいてるよね。だったら家をもっと早く出ろ、スカポンタン! 失礼。



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だらだら日記 4




ゴーカート気分で、ゴーゴー

 東京で運転できても、沖縄では運転できない。これはTEGEのお言葉。
 んだんだ、そのとーり。沖縄の車って、なんてスリリングな動きをするの?!
 強引な割り込みだぁ、急ブレーキだぁ、ウインカー無しだぁ、で、ドンってぶつかるの。
 沖縄本島の大動脈、国道58号を走っていると、それはそれは事故現場によく出会う。なぜ、一直線の道路の中央分離帯に突っ込むのか、なぜ、交差点でもないのに横っ面に車が当たってんのか、まったくもって理解できない。
 東京の道路と違って、大きな道路へ左折して進入するときは、青矢印が立つ側道をスイーッと曲がって入る。これが曲者で、普通、左に進入道路があって、進入してきそうな車が見えたら、右のレーンに逃げてあげるじゃない?  これをウチナンチュはしないのよ。だから、進入したい車がズラズラとつながっちゃって、でも、相変わらず直進車はとぎれない。
 これって、単純にレーンを変える時もそうで、ウインカー出しても、後ろの車が構わずガーッってつっこんでくる。
 みーんな、他人のことなんて考えてないみたい。夜になって、赤信号で止まるときにどの車もライトつけっぱなしなのも、最初は抵抗あった。
 割り込ませてくれたときにパッパッてあいさつする車もいないし。こんなのはね、道交法にないことだから、どうでもいいんだけど、ちょこっと寂しい感じの私。



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だらだら日記 5




例の事件のこと

 かねてから沖縄にあった米軍反対運動は、ナイチャーには見えにくかった。
 沖縄に“アメリカー”が上陸したんだよ、といわれても、かつての戦跡はウージ畑と化しているし、フェンス越しに見えるベースは、関係ないから無いものと同じ。
 今、誰の目にも沖縄が動いているのが見える。
 発端は米兵少女乱暴事件だ(どうして“暴行”ではなくて、“乱暴”なんだろう? 本土では暴行という言葉を使っているようだが)。
 私の太鼓の師匠は反対デモに参加した。
 県知事は10月の段階では代理署名していない。
 外国人はますます形見が狭くなった。
 さて、頭が回転しないFRAHは、この件について自分の考えを述べる気はない。ここに書くのは、身近に起きた一つの状況だけだ。
 あの事件は、ある北部の街で起きた。ある北部の街、これがどこなのか、ウチナンチュはたとえ知っていたとしても、決して口外しない。誰も表だって追求しようとしない。
 誰かが知ってしまったら、狭い本島中に一晩で情報が流れるだろう。そうなったら、被害者の女の子は、その土地で生きていけなくなる。だから言及しない。これが、島のやさしさだ。
 沖縄の某テレビ局に、TBSの取材陣がやってきた。もちろん、地元テレビ局の人間は、ある北部の街、がどこなのかを知っている。TBS側もしかり。
 ここで、TBS側はおなじみの、モザイクをかければOK、方式を導入しようとした。某地元テレビ局はこれを必死に防いだ。ここは、本土ではない、沖縄なのだから、と。
 ある北部の街、をVTRに収めることもしないでほしい。どこか他の街、例えばコザの街のワンショットを流すのは構わないが、テロップも“基地の街”程度にとどめてほしいと。
 マスコミは時に暴力を振るう。ナイチャーはこれに慣れている。無論、私FRAHも慣れている。
 でも、ウチナンチュはこの暴力への抗体ができていない。
 かの少女が通う小学校長への、インタビューを敢行しようとした輩もいた様。
 私は人道主義者ではないが、テレビ局は多少狂っている。



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だらだら日記 6




一転、無意味な食べものの話

 アメリカーが入り込んでるからなのか、気候がそうさせるのか、沖縄に来てからというもの、すっかり食生活がジャンキーになった。
 昼はコーラにハンバーガー、夜はビールにタコライス。
 タコライス。これって沖縄ジャンクフードの一大傑作だと思う。
 内容は簡単、白飯の上にタコスの具が乗ってるだけ。
 えーって言わずにあーた、今度来たとき食べてみなさい。
 FRAHはこっち来てからしばらく、金が無い+冷蔵庫が無い状態だったこともあって、ほんとに毎晩、海見ながらタコライス食ってた。
 湾の向こうに見える街の光を「熱海みたい〜」なんて、ムード台無しの思いを抱きつつ、オリオンビール片手にタコライスをがっついていた。
 タコライスは一人前350〜550円。
 ステーキもよく食べる。山形県の米沢に行ったら、一人でもすきやき。
 これと同じで、一人でもステーキ。テンダーロイン300gにスープ・サラダ・ライスが付いて、だいたいどの店も1300円。200gだと900円くらい。
 妙にすっぱいステーキソースが後を引いて、数日たつと、舌の奥のほうからふうっとまた食べたくなってくる。
 それでもね、ウチナンチュはあまりステーキ食べない。理由は簡単、高いから。太鼓の練習に行って「さっきステーキ食べてきた」って言ったら、「ジョートー(上等)さぁ、もう何ヵ月も食べてないさぁ」とうらやましがられてしまった。
 1000円以上の食事をするってことに、ウチナンチュは慣れてないみたい。
 嘉手納にロータリードライブインという店がある。嘉手納のロータリーに近いかってゆーと、そうでもないんだけど。
 ここのハンバーガーは、りんけん氏御推薦。
 長四角のパンに、肉々しくって平たいハンバーグとトマトとタマネギが挟まった、でーじ(とっても)シンプルなもので、200円(だったかな)。
 さて、このレストランではじめて、世の中に“チャプスイ”という食べ物があることを知った。最初に見つけた時は、大笑いさ。ねぇ、これって、何語なの?
 内容は、中華風の肉・野菜炒めをコーンスターチでトロトロさせたもの。
 TEGEと一緒にコザで入ったレストランにもあったから、わりとポピュラーなものみたい。ねえ、これって何語よ?br>  ジャンクジャンクしてると太ってきて、その頃には、和食が恋しくなっている。
 そんな時は、ゆしどうふとジューシーを食べる。
 ゆしどうふは、あれ?本土ではなんて言ったっけ? 固くもなく四角くくもない豆腐。液体の中にチャプチャプ浮かんでるやつ。チャプスイ? こんなチーズがあったよねぇ。
 でも、そのチーズの名前も忘れちゃった。FRAHだっ!
 ゆしどうふは熱くして、塩とかしょう油とか生姜とかを入れて食べる。
 食堂にはゆしどうふ定食ってのがあって、スプーンでゆしどうふすくいながら、ご飯を食べる。オバアとFRAHの大好物さぁ。私は元来、豆腐はあまり好きじゃないんだけど、なぜこうひんぱんにゆしどうふを食べるんだろう?
 ジューシーはね、日本語に直すと、炊き込みご飯なんだけど、油が入ってるから、わりかし存在感がある。朝食べるのもよし、飲んだあと食べるのもよし。
 飲んだあとは、フーチバー(よもぎ)ジューシーがいい。
 これは雑炊のようなもので、強烈な臭いのフーチバーを食べると、疲れた胃が元気になる。
 ある人の話によると、フーチバーの青汁は、体調が悪いほど飲みやすいそうだ。なるほど、そんな感じね。
 それにしても、チャンプルー攻撃にはまいっている。昼間、定食屋に入るとチャンプルー、夜、食堂でもチャンプルー、飲み屋に行ってもチャンプルー。いやだぁーっ。油で炒めてないものが食べたーい。
 さっき入った飲み屋で、ここのソーメンチャンプルはおいしいよー、と勧められた時、瞬時に口から「イヤ」という言葉が出ていた。
 近所の食堂に入って見つけた「親子丼」の文字に心踊らせ、ああ、4ヶ月ぶりに親子丼が食べられる、と喜んだわけ。
 来るぞ来るぞ、きたー!って丼のフタ開けたら、鶏肉チャンプルーが白飯の上に乗ってたの。ハレホローッ。
 ニンジンやシマナァ(カラシナ)などと鶏肉がチャンプルされ、それが玉子でとじられていたんだから、もー、カラフルな親子丼だったこと。ホゲー。
 あー、そんなこといいつつも、お腹へっちゃった。お腹へると、女って台所に立っちゃうでしょ? それがねぇ、沖縄ではそうでもないみたい。
 イキガ(男)は遊び、イナグ(女)が頑張るアジアの一員、沖縄。
 働くアンマー(お母さん)たちはチョチョイと惣菜買って済ませるか、それも面倒なら皆で外に食べに出る。だから沖縄のイナグは料理下手な人が多くって「私、今日、ゼリー作っちゃった」「わー、すごーいー」とか言ってるの。あれって、ゼリーの素をお湯で溶かすだけでしょ?
 あー、本当に腹へったー。ロータリードライブインにでも行こっと。



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