FRAH(*1) in OKINAWA
だらだら日記 16




*1:フラー=沖縄の方言で“キチガイ”


沖縄独立賛成

 最近とくに「沖縄は外国だ」って思う。
2ヶ月ぐらい前までは、そんなこと全然思わなかった。基地問題で読谷(よみたん)のあたりがうるさくなって、グスクめぐりがきっかけで沖縄の歴史勉強しはじめたら、急にそう思いだした。
 基地問題は、私たち神奈川県人にとっても決して縁遠いものじゃない。本牧(ほんもく−−横浜市)なんか、ちょっと前まで街中フェンスだらけだったし、横須賀に行けば今でもアメ女(米軍野郎とばっかくっつきたがる黒づくめの女ども)がたくさんいる。
 中学・高校時代の同級生で相模原の方から通ってくるコは、いっつも「米軍機がうるさくてしかたない」って言ってた。
 だけど、だからといって米軍基地を“日本国”から押しつけられた、とは思っていなかった。基地問題ってーのは、バカな政府、いや、それよか前のバカな軍国主義者が落としてった、でっかいフンみたいなもんでさぁ。
 沖縄の人たちは、基地を“日本国”とか“日本人”から押しつけられた、と思ってるみたい。“政府”というものも、自分たちが投票して選んだ人間が動かしているものじゃなくって、“思いやりのない日本人”が動かしてると思ってるみたい。
 日本を自分たちの国と思ってなくて、政府を自分たちの政府と思ってないんなら、そりゃ沖縄の人は外国の人ってことじゃん。
 沖縄はヤマトからずっと迫害され続けてきた。第2次大戦の時にゃ、唯一、地上戦が繰り広げられた。
 だけど、アメリカ世(アメリカユ:アメリカ統治時代)のときに、あれだけ復帰運動盛んにしてたじゃん。今から考えれば、あん時に復帰運動じゃなくって、独立運動してればよかったんだよ。
 第2次大戦の話に戻ると、東京大空襲というものがあったでしょ。んで、東京は焼け野原になった。横浜だってかなりの空襲を受けたらしい。だけど、そん時悲惨な目に会った人たちが、今だに“日本国”を憎んでいる、っていう話は私個人としては聞いたことがない。
 愚かな戦争だったけど、自分たち日本人が起こした戦争だから、恨めないでしょ?
 沖縄の人に「過去を忘れろ」とか「あきらめろ」とは言えっこない。ただ、沖縄の人は本土の人に比べて、日本国への帰属意識が薄いんじゃないかなぁって、単純に思うわけ。
 沖縄の歴史って、どんなだったか知ってる? この間、勢い余って沖縄の歴史について書かれた本を3冊も買っちゃった。で、読んでビックリ。
 まるっきり私たちが学校で習った日本史と違うの。そりゃーそーだよね。琉球王国だったんだから。
 歴史が違う、言葉が違う。それでも日本国の一員である沖縄って、ナニ?
 私は近ごろ「むかしのウチンナンチュは、みんなあなたみたいだった」と三線の先生から言われた。
 「あんた、ウチナンチュみたいさぁ」とは、今までに何度も言われた。
 なんでかねぇ?って考えてみると、私があまりにもイイ加減であり、かつヘラヘラノビノビしているからならしい。
 南の島でのんびり暮らしてたウチナンチュが、偶然にも日本という国と地理的に近かったために、搾取され、差別され、翻弄され、痛めつけられてきた。早くいろんなことがキレイに解決されて、ウチナンチュがウチナンチュらしく暮らせる日が来ることを願ってる(でも、テレビが入り込んじゃったから、もう元には戻れないんだって)。


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だらだら日記 17




シマナイチャーの?(あれれ)

 沖縄に来て、ほぼ1年が過ぎようとしている。そんでもって、すっごく疑問に思う、っていうより、ヘンな感じがするのが「自分は観光地に住んでるんだ」ってこと。
 前にも書いた通り、私はナイトマーケットに店を出している。そうすると狙いは、ヤマトからきた観光客たちの財布。やつらはウチナンチュと違って金持ちだから、たくさん買い物してくれる。で、それを、同じヤマトンチュである私が狙ってる。
 ちょっと前まで、私はどこに行っても単なる観光客でしかなかった。もちろん海外に行けば今でも観光客でしかないけど、なにしろ沖縄に来てはじめて、観光客を迎える立場になった。
 こっちのホテルに勤めてる友達が何人かいるから、たまに遊びに行く。
 例えば恩納村にあるリゾートホテルのラウンジでバイトしてる友達のところに遊びに行くと、彼女はこっそり私にタダでコーヒーとかケーキとかを出してくれる。で、彼氏がどーしたこーしたとか、タイヤがパンクしちゃったから今日はこれから直しに行かなくっちゃ、とかいうローカル話をそこでする。その横で、観光客が関西弁かなんかで、明日はどこに遊びに行こうか、ってな話をしてる。
 繰り返すけど、ちょっと前まで私も観光客だった。それが今は違う。これが、なんていったらいいかわかんないけど、すんごくヘンな気分なの。
 観光地の人間は、観光客をこういう気持ちで迎えてるんだなぁって、はじめて分かった。迎える側としては、毎日の中に観光客がいるけど、観光客にとってみれば、日々の生活から切り離された無二の時間を観光地で迎えてる。このギャップが、私の中でうまく消化されない。
 なにがどうっていう意見も結論も出ないけど、これも一つのカルチャーショックなんだろーか。
 大学生の頃、結婚式場でビデオカメラマンのバイトしてた。みんながひたすら飲んで騒いでる中、一人シラフで、下らないスピーチや下手な歌を黙々とビデオに撮ってた。
 多い日には1日に3回、披露宴に臨んだ。新郎新婦からしたら、結婚式っていうものは(原則として)一生に一度のことなのに、私は1日に3度も同じようなことを体験した。そしたら、結婚式とか披露宴なんてどれもおんなじだし、なんら意味のないものに感じられてきた。
 それと似たようなもんかな。
 なんだ、そーだったのか、こういうふうに、私たちは金を落とさせられてたのか、って分かったとたん、急激にシラケちゃった。
 と同時に、観光地にいる人って「観光とは何ぞや」ってことがなにも分かってないんだって痛感した。井の中の蛙さんたちが、偶然その井戸の中にポンと入ってくる虫を、何の疑問も努力もなしに食ってるだけなんだなぁって。
 私も沖縄にこのままいると、蛙さんになっちゃう。
 これじゃいけない。初心に戻って、また観光客になろう。


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だらだら日記 18




 日本の夏、金鳥の夏。どどん! キンチョー蚊取線香30本入り缶を買った。なんだか幸せ。
 そうです。夏です。梅雨でもありますが、夏でもあります。梅雨入りしたとたん、晴れの日が続いてます。台風も来たりして、夏がズンズンやってきています。
 (質問)モヤシのコマーシャル「オバーモ、デージ(メーニチかな?)、カロービンドー」の意味を、誰か教えてください。
夏なんだけど、夏だ夏だ夏だぁっ!と浮かれてもいらんないのよ。キョーフの新人賞がもうすぐなんだわぁ。海でウニ採って喰ってる場合じゃないのよ。ついでに言うと、ダロンダロンでおいしくなかったのよ。
 どーも新人賞というと、何かの賞だと勘違いする人がいるようだけど、賞じゃないのよ。古典音楽の入門試験みたいなものよ。これを6月に3つも受けるのよ。
 三線と太鼓と胡弓。あぁ、ここでこうやって書いちゃうと、結果報告しなくっちゃいけないんだ。失敗した・・・。今からでも文書消去できるぞ。ウーム。
 まっいーや。なるよーになれ、だ。
 そもそも私と三線との出会いは、偶然の偶然の偶然の・・・。まぁ簡単に言えば、お母さんがウチナンチュの友人から超ごーいんに三線教室に誘われたのがきっかけ。それまで沖縄音楽なんてまるっきり興味なかったのになぜか習いはじめて、そしたら今、なぜか沖縄にいてなぜか新人賞受けるとか言ってる。
 「よっぽど好きなのねェ」ってよく言われるけど、そーでもない。コレも好きだけど、アレも好き。一人、じゃなかった、一つにしぼれない私のことだからぁ。
 だけど確かに、最初聴いたとき「なんじゃーコレ?」でしかなかった古典音楽の深みと面白みがドンドン分かってきてる。噛めば噛むほど味がでるスルメ音楽よ。でも、やってない人にはその面白さが分かんないから、ジコマン音楽でもある。
 そのジコマン音楽を極める為の第一歩、登竜門が新人賞。
 私の師匠がタイムス系だったから、沖縄タイムス社主催の新人賞を受ける。
 新人賞の価値っつーのは、英検3級より重く、英検2級より軽い、ってとこかな。受かれば沖縄タイムス紙上に名前が載る。当たり前か。
 一家総出で応援。受かれば大祝賀会。「古典習ってます」って言っても誰も感心してくれないけど「新人賞受かりました」と言えば、みんなホホゥぐらいは言ってくれる。分かるかしらん?
 だー。だから先生達にしたら、弟子が受かるか受からないかは大問題なのよ。別に受からなかったからって、その先生の評価が下がるわけじゃないけど、落ちた弟子と一緒に女の先生が泣く、くらいのことはしょっちゅーあるわね。
 ドキドキ。
 三線の場合は、ほとんど自力。もー、家でどれだけ練習するかにかかってる。
 あがりまくりで頭がまっ白くなっても、無意識に三線弾いて口から唄がでてる、ってな状態まで持っていかないと、キョーフのブザー(※注)が鳴っちゃう。ドキドキ。
 太鼓の場合は、楽譜が(今のところ)存在しないから、教室での練習にかかってる。見て聴いて覚えるのみ。どこでどう打つ、っていうのが完璧に決まってるから、アドリブは一切無し(まちがえちゃったからちょっとだけってゆーのはアリよ)。でも確か、太鼓にはブザーがなかったな(後に導入された)。ウーン、ドキドキ。
 胡弓(クーチョー)はね、音さえ出せれば、けっこー楽勝なの。楽譜(工工四:クンクンシー)が一応存在するけど、忘れちゃったらその通りに弾かなくってもいいって。なにしろ伴奏楽器だから、その曲になってさえいればいいみたい。
 それに、去年のを見てた限り、とっても審査が甘い。思わず耳を押さえたくなるほどのガリガリ音でも合格してた。
 だから去年は全員合格。胡弓人口が余りに少ないから少し甘くして人数増やそうとしてるんじゃないか、ってな話もあるくらい。
 なにしろ今はドキドキよ。三線の先生は「毎日10回は唱いなさい」っていうし、太鼓は週に2回に練習が増えたし、胡弓の先生も1日に一度は弾くようにっていうし、某人は毎日スクワット100回、腹筋20回、腕立て20回やれっていうし(こりゃカンケーないか)。
 ドキドキよ、って書くと「ドキドキするよーなタマじゃねーだろーが」って思うんでしょ? ほら、そこのアンタよ、アンタ。
 これがさぁ、けっこうあがんないよーに見えて、あがったりすんのよ。で、ポカーッって大穴あけんのよ。
 高校でコントラバス弾いてたときもそーだったし、大学ん時にドラムたたいてた時もそーだったけど、本番でポッカリ穴あけんのよね。
 逆に、それまでじぇんじぇん下手クソだったのに、本番だけウソみたく上手くいっちゃったってこともあったけど。
 ま、なるよーになれだな、やっぱし。
 なにしろですね、私は一見ヒマそうに見えて、実際、ヒマなんですけど、心の中はヒマっていうわけでもないわけね。
 もしよかったら見にきてね。場所は久茂地のタイムスホールデービル。ウニゲーサビラ、ホーサビラ(←こーゆーこと書くのやめなさいって!)。

※キョーフのブザー:過半数以上の審査員が「これ以上続けちゃダメン」って思ったとたんに鳴らされるもの。これが鳴ったら速攻でスゴスゴ退場する。「今回は10円分しか唱わなかった」といった発言が試験後に聞かれる。
※えー、無事3つとも合格いたしました。ご声援ありがとうございました。


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だらだら日記 19




ビックリ沖縄 小特集

・私のアパートに、ヤノマミ族が住んでいる(ホントはウチナンチュなんだけど・・・)。
・私のアパートの前の道に、たまにフェラーリが数台現れる。そしたら「沖縄にもフェラーリがあるんだぁ!」と、ニーニーたちがオノノイテいた。
・三味線巡回即席修理サービス車が廻ってくる。
・同じナイトマーケットに出してるオバサンで、タイ人か華僑かなって思ってた人が、実はフィンガーファイブのお母さんだった。
・「ジョートー(上等)」という言葉が、あまりにオールマイティーすぎる。三線の先生の「ハイ、とってもジョートーです」の言葉には毎回おどろかされる。
 「だっからヨー」「だっからネー」(肯定表現)の利用価値も高い。
 「ねー、今日ってとっても暑いと思わない?」「だっからヨー」
・ナイトマーケットのオバチャン客から「タイとインドって違う国だっけ?」と質問された。「インドのスリランカ」という発言もあった。
・みんな同じ顔してる。特に子供。


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だらだら日記 20




病みつつある沖縄

 「沖縄の人は素直で素朴」って聞いたことある? それがちょっと、違ってきてるんだなぁ、これが。
 ポンワ〜ンとした人は確かにたくさんいるけど、そんなのどこにでもいるさ。離島にはまだまだ素朴さが残ってるけど、沖縄本島は、となると・・・。

− 驚いた話 1 −

友人がバス停でバスを待っていた時のこと。
 小学生らしき男の子が「オネーチャン、僕がバスが来るかどうか見ててあげるから、雑誌読んでていーよ」と話しかけてきたから、彼の話を信じて友人は雑誌を読んでいた。
 彼はしばらくして「ちょっとトイレ行くから、もしバスが来たら、待っててもらってくれる?」と言い残して去る。
 目的のバスが来たけど、その小学生は戻ってこない。しかたなく「待ってなくてゴメンネェ」と思いながら友人がバスに乗り込んで、ふとバッグの中を確かめるとサイフが無い。あわててバスを降りて、目の前のパチンコ屋で奴を探したけど、どこにも居ない。
 で、後日、現金が抜き取られた彼女のサイフが、そのパチンコ屋の男子トイレから見つかった。
 この小学生(であろう奴)は国道58号をシマにしてる常連スリで、けっこう有名ならしい。バスに乗り込んで、隣に座った人に馴れ馴れしく話しかけながらガメたりもするらしい。
 「おかしいゾ」と思ってバッグを彼とは逆の方に置き直すと、「ハアッ」って大きなためいきを一つついて、バスを降りていくんだって。ナマイキだぞっ。
 ちなみに、このサイフをスラれた友人は、パーラー(スタンド式軽食店ってとこね)をやってるんだけど、彼女は今までに、店の前に置いてあったイス10個、焼き鳥を焼くグリル、さらには携帯電話まで盗まれてる。

− 驚いた話 2 −

コンビニにて。小学生低学年の男の子が、お菓子をポケットいっぱいにガメてる。それを目撃した知り合いの高校生が「これ、どうしたの?」って聞いたら、あっちのスーパーで買った、って言い張るんだって。
 店員が「名前は? 住所は?」って質問すると、あまりにもメチャクチャなことを言うから、やむを得ず警察を呼んで、で、そのコの親が来たら、その親がまた、ヤンキー風のヒドイ親だったって。
この他にも、オバアばかりを狙ったひったくり常習中学生たちが補導されたりして、ガキどもの悪行が後をたたない(宮古でもそーゆーのが最近あったね)。
 近所のパーラー「たこちゃん」には、死んだ目をして、タバコをくゆらせてる小学生どもがたむろしてる。
 顔見知りの小学5年生どもが、彼らの行動範囲をゆうに越したところでたむろってたから、「あんたたち、こんなとこで、何やってんの?」って聞いたら、そこにある小学校の奴らにケンカ申し込まれたからさー、って言ってた。
 おめーら、何だよ?
 こりゃ、沖縄の「ビンボー」が原因よ。おとうちゃんの稼ぎが悪いから、おかあちゃんも稼ぎに行く、ってーと子供はカギっ子になって、彼らはヘタすると3食とも外食になる。
 人間、群れを成すと、自分の本心と違う行動形態を取りがちなわけで、奴らの白い心は相互作用で赤くなるわけやね。
 沖縄にはネコの放し飼い・犬の放し飼いが多いけど、子供まで放し飼い。だから当然、しつけはゼロなのよ。
 「シンデレラタイムを守りましょう」という看板を、よく見かける。これは夜12時までには家に帰りましょう、ってことだけど、そんなのぜんぜん守られてない。
 ここ沖縄では、やっぱビンボー県だからなのか(ビンボービンボーと、すみません)、中学生・高校生のバイトが公認されてる。するってーと彼らの帰宅はたいそう遅くなって、だから制服着てるコが夜中の11時、12時に街をブラブラ歩いてても、誰もおかしいと思わない。
 もちろんバイト帰りじゃなくって、単なる“夜遊び”してるガキが多いんだけどね。
 とゆーわけで、沖縄の子供たちの心は、意外にすさんでいたりするわけよ。
 ハッサー。先が思いやられるサー。新聞で読んだけど、沖縄県って教育レベル最下位なんだって。教育っつーもんも、金と手間かかるからねェ。
 だからね、自然環境がいいからって沖縄で子育てしようとしている人は、気をつけたほーがいいよ。
 (でもまだ、バリのガキスリ集団よりいっか)


FRAH in OKINAWA
だらだら日記 21




沖縄に仮住まいをはじめてから、1年とちょっとが過ぎた。そしたら、ここんところまた、モヤモヤしてる。
 来た当初「なんで私はここにいるの?」ってフッと感じることがよくあった。それが馴れるとともになくなったのに、また感じるようになった。
 国体道路を車で走ってて「あれ、なんでここ走ってるんだろう?」って。
 話は飛ぶけど、暑い。去年より暑い。暑いのイヤだっ! 去年はガマンできたけど、今年はダメだ。
 私はヤマトンチュだから、沖縄に移り住んできたヤマトンチュと知り合う機会が多い。みんなさぁ、何を思って、何から逃げて、沖縄に来たの?
 結論から言うと、沖縄という所には、みんなが思い描いてきたであろう沖縄は無い。
 インド方面を長旅してる人も、ガリガリに痩せて高熱出して、ヒドイ目にあってるじゃない?
 別に、どーでもいいんだけどさ。
 フラフラしてもはじまらないみたい。
 もう、沖縄には飽きた。
 早く帰ろっと。

 ってなわけで、日記はこれにておわり。


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