楽器について

沖縄の楽器といえば、三線(さんしん)が有名ですね。
三線は中国から渡ってきた、というのが通説です。三線に限らず、琉球音楽で使用されている楽器のほとんどが、中国伝来のもののようです。

三 線
三線は三絃と表記されることもあります。また、古典を勉強している人を中心に、三味線とも呼ばれています。胴(チーガ)の表にも裏にもニシキヘビの皮が張られています。このことから本土の人はじゃみせんと呼んでいるようですが、沖縄ではこの言葉は使われません。
ニシキヘビは沖縄には生息していません。生息していない動物の皮を使うというのも不思議なものですね。しかもワシントン条約下にある動物なので、輸出入が原則的に禁止されています。では、どうやって輸入するのか? それは不明です。どうも、正式なルートをたどるものと、そうでないものがあるようです。
sanshin
三線にはその名の通り、三本の絃(チル)が張られています。現在のチルはナイロンでできています。三本の中で、もっとも太いものが向かって一番上に張られるチル(ウージル)で、真ん中のチル(ナカヂル)がその次の太さ、一番下のチル(ミージル)がもっとも細くなっています。そのおのおのの太さにも数種類あり、全体的に太いチルを張ったほうが音も太くなります。沖縄の三線には白いチルが張られますが、奄美の三線には黄色いチルが張られます。奄美のもののほうが、数段細いです。

もっとも音を左右するのが棹(さお)です。いい音が鳴るのも鳴らないも、棹にかかっています。棹に使われる木の主なものには、黒檀(クルチ)、イヌマキ(チャーギ)、イスノキ(ユシギ)などがありますが、なんといってもクルチの棹が良いとされています。中でもヤエヤマクルチの棹を持つことが三線弾きの夢ですが、八重山のクルチの伐採が禁じられている今、手に入れることは非常に困難になっています。フィリピン産のクルチとヤエヤマクルチとの違いは、音とともに範(ノリ)と範穴のフィット感にあります。曲の途中で調子を変えることもある琉球音楽ですから、キュッと回した範がピタッと止まるヤエヤマクルチの棹が欲しくなるわけです。

棹の型にもいろいろあります。もっとも多く見られるのが真壁(マカビ)型です。もっとも優美な型といわれ、棹は細目で、天が中ほどから美しい曲線を見せます。最初の一本はこの型を買うのが一般的です。棹がやや太めなのが与那(ユナー)型です。中でも江戸ユナーは糸蔵が長いのが特徴で、江戸上りの際にはここにたくさんの予備の糸を巻いていったといわれています。棹が太く、力強さを見せるのが知念大工(チニンデーク)型です。十分な厚みと大きな湾曲をもった天の中央には、縦に稜線が入っています。棹が細く、天も偏平なのが南風原(フェーバラ)型です。これが三線の型の中でもっとも古いものといわれています。さらに棹が細く、天の曲がりもほとんどないのが久葉骨(クバヌフニ)型です。これとは逆に、同じ名工、久場春殿の作でありながらもっとも太い棹をもつのが久場春殿(クバシュンデン)型です。これは刀を受け止めるのにも使われたといわれています。

棹に次いで音に影響をもたらすのが、皮です。先にも書いたように、沖縄にはニシキヘビがいませんから、どの三線屋にも良い皮が入っているとは限りません。こればかりは出会いです。一般的に色が黄色がかり、柄が左右対称のものが良い皮とされています。また、首の部分の皮がもっとも強いとされていますが、どれが首の皮なのか、見てわかるものではありません。薄い皮はキンキンと響き、厚い皮は重厚な音がするので、なにを演奏するかによって厚みを演奏するかによって厚みを選ぶとよいでしょう。張り方にも七分・八分・九分張りなど、あまりきつく張らないものから限界近く張ったものまでいろいろあります。これも楽曲、使用頻度、保存状態などに応じて変えましょう。

ニシキヘビの皮はいずれ破れる運命にあります。人工皮を張った三線も出回っているので、練習用や店舗用には、こちらのほうが良いのではないでしょうか。値段も本皮に比べて安いです。三線の値段は「言い値」です。高いものが必ずしも良い三線とは限りません。安い三線が好みの音色を出す場合もあります。これから三線を買おうという人は、必ずその道に通じた人のアドバイスを受けてください。



ハッキリいって、ワタシは箏についてはよく分かりません。沖縄の箏も本土の箏もほとんど変わりないようです。長磯と呼ばれる、螺鈿や象牙の装飾をあしらったものが最高級のもののようです。簡単ですみません。



竹でつくられた六孔の横笛です。調子に応じて一本ずつ必要なため、笛を吹く人は常に数本から数十本を携帯しています。上手な人ほど自分で作るようですが、「これは」という良い竹にめぐりあうことは、なかなかないそうです。


胡 弓
kucho
胡弓(クーチョウ)は、中国では絃が二本のものが主流ですが(二胡)、沖縄や本土では三本のものが使われています。また、沖縄では低音域をカバーするために四本絃のものが作られ、これが一般化しつつあります。本体はほぼ三線と同じ作り方で、サイズは三線をふた回りほど小さくしたような感じです。絃は三線やバイオリンのもののほか、釣り糸などが使われます。弓にはバイオリンと同様に馬の尻尾の毛が張られ、すべりを止めるために、やはりバイオリンと同様、松ヤニを塗ります。クーチョウの演奏は、地面にこれを立てて弓で弾くのですが、この際、ほかの弓を使う楽器と異なるのが、楽器を左右に回転させて絃と弓とが接するように保つことです。この奏法はビブラートをかけづらくするので、「かんにさわる音がする」という人もいるようです。


太 鼓
沖縄において太鼓とよばれるものには、島太鼓(大太鼓)、締太鼓(小太鼓)、平太鼓があります。島太鼓とは、真赤に塗られた樽型の胴に馬や牛の皮が張られたもので、民謡の伴奏やエイサーなどに使われています。締太鼓は能や歌舞伎の囃子に使われるものと全く同じもので、古典音楽においては台に固定して上から二本のバチでたたき、エイサーなどでは左手で締縄を持ち、右手に一本のバチを持ってたたきます。平太鼓もまた本土のものと同じものですが、台に垂直に立てて使われます。民謡の伴奏としては島太鼓と締太鼓が、古典音楽や舞踊の伴奏としては平太鼓と締太鼓が対になります。

パーランクーと呼ばれる片面張りの小さな太鼓もあります。これはエイサーやウシデーク、創作舞踊などで踊り手が手に持って鳴らします。このほかの鳴り物には、鼓(チヂン)、銅鑼(ドラ)、三板(サンバ)、四つ竹、鉦鼓(ソーグ・カニ)などがあります。この中でよく見かけるのが、サンバでしょう。これは黒檀や樫で作られた三枚の板に紐を通したもので、左手の指の間にこれをはさみ、右手でカチカチと鳴らします。民謡の調子を取るためには欠かせないものです。サンバと指笛が上手な人は民謡酒場で重宝されます。

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