「夢という言葉でおわらせる気はないが、野望はある。」

「ある男を、殺すことだ。」






そう言って、彼は行ってしまった。
その道の終わりまで。
それが、幸せに、けして続かないとわかっていても。


わたしはあなたのあの瞳に惹かれたのかもしれない。



ね、サスケくん。
こんなはずじゃ、なかった?

あなたのお兄さん。

うちは一族。


でもあなたは入ってしまった。

あなたの望む道があなたを苦しめることを
私もあなたもわかっていたのに

でもあなたは行ってしまった。

それが自分の運命だと、あなたは言うのかもしれない。
ああ、でもそれは、間違いなくあなたが選び取った、

運命がヒトの侵し得ないものならばきっと運命なんてないのです。

だから、それは間違いなくあなたが選び取った、

修羅の道。






これがあなたの一族の不幸の悲劇の続きであるならば、私はウチハを呪おう。

これが本当にあなたの運命だというのなら、神をも敵にまわそう。


でも、これはあなたが選んだ修羅の道。

復讐の、道。


だからわたしは貴方のそばにいる。
私にはあなたを止められないけれど、あなたも私を止められない。

だからせめて、そばにいさせて。



失ったものを探して、空をつかみ
握った手の中の思い出に心を痛めるなら、
わたしがいっときそれを忘れさせてあげる。

道に迷って闇におびえて、自分がどこにいるか判らなくなっても
二人でいれば寂しくないでしょう?

ふっと目の前の道から目を離したとき、
いつも私が見えるように。
泣きたくなったら
帰って、来られるように。



だからせめて、そばにいさせて。















・・・私ははじめて知ったわ。


夢というのは、かなえたら、幸せに続くものだけではないのね

野望を果たした修羅の道の終わりは



悲しみのはじまり。
















あれ以来
サスケくんは何も

話さなくなった。









私の名前も、呼ばなくなった。


















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