聖ベネディクトについて


このページでは、聖ベネディクトと、

日本聖ベネディクト女子修道院についてご紹介します。



    
   私たちの修道院の創立者聖ベネディクトは、西暦480年にイタリア

のヌルシアで、敬虔なカトリック信者の両親のもとに双子の兄妹として生

まれ、妹の聖スコラスチカは女子修道院の創立者となりました。 聖ベネ

ディクトは、ローマで勉学を終え、父亡き後、一族の長となりますが、

神からの召し出しを感じ、スビアコの洞窟で3年間隠遁生活をしました。

その3年間の体験を通して聖ベネディクトは、隠遁生活は、共同生活の

中で充分訓練を受けた者がする生活であることを悟り、ローマとナポリ

の中間にあるカシノ山に修道院を建てました。 これが525年のことで

あり、この年をベネディクト会創立の年とみなします。・・・・・・・・・・・・・
                    

    聖ベネディクトがカシノ山に修道院を建てた時代は、世界の歴史

から見ても大変な時代でした。イタリアは、4世紀頃から崩壊し混乱状

態にあり、飢饉、ペストも流行し荒廃していました。 それに加えてチュー
   
トン族や蛮族の支配下に置かれるようになり、政治的混乱と経済的貧困、

道徳的荒廃の中にあって、魂の救いを
求める人々の切なる願望を育てた

のが聖ベネディクトで
した。また言い換えれば、500年代のヨーロッパを

再びキリスト教化し、文明化した人であり、偉大な修道者であると共に、

世界の歴史に大きな貢献をした人でもあります。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




            

      聖ベネディクト修道院は、聖父が書き残した「戒律」に従って

   奉献生活をする修道院です。
聖ベネディクトの戒律については、少し

   ずつご紹介したいと思いますが、ここでは「戒律」の精神について述べ

   てみましょう。 なぜなら、この戒律の精神こそ、とりもなおさず・・・・・・・

  「ベネディク トの霊性」であり、「創立者のカリスマ」だからです。


      聖父は、修道者の目的は、ひたすら「神を求める」ことであると強

   調しておられます。 それゆえにベネディクト会の修道院は、何か

  特有の仕事のために存在するのではありません
。現代多くの修

   道院は、教育事業や医療関係、あるいは司祭を助けるためなど種々

   の活動と結びついてつくられた修道院がありますが、それは又それぞ

   れに価値がありますが、ベネディクト修道院は特有の事業と密着

   しているのではなく、「神を求める」ことを目的として、その時代、
 
   その場所に必要な仕事であれば、どんなこともできます。・・・・・  
         




      次に、聖父が修道生活の形態として共同生活を選んだことは、

    ベネディクト会の霊性を知る上でも大切な点です。 そして「戒律」も

    共修者(共同生活者)のために書かれたものです。 「戒律」の中に

    も、『私たちが働かなければならない工場は、修道院の禁域であり、

   共同体における堅忍である』
(戒律4章 善業の要具より)と書かれています。

   それ以前から砂漠や人里離れた所で厳しい苦行と祈りの生活を通して

  神を求める隠遁者も多かったのですが、聖父は修道院長をキリスト

  の代理者と仰ぎ、修友達と共に神を求める共同体の中での修道

  生活を完成させた人
と言えるでしょう。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    
     そのような訳で、ベネディク ト修道院は共同体を大切にします。

    また、祈りと働きのバランスのとれた生活を通して、神を求めます。特に、

   典礼を祈りの生活の中心に位置付け聖務日課(教会の祈り)を神の

   業
とみなして、何よりも優先いたします。教会の歴史を通して、ベネディクト

    修道院は、常に典礼運動の指導的立場 にあったことがうかがわれますし、

    神学や霊性、また聖書を中心とした研究なども積極的に行われています。

      しかしこの様な活動の歴史よりもむしろ、活動の原動力となってきた源、

    即ち、それは 「すべてにおいて神が讃られますように」 と言う祈りの心に

    あります。全ての働きと業は、信仰の表れであり、また神の栄光のための

    奉仕の祈りでなければなりません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                               




      修道院長は、共同体を大切にすると共に、一人一人の必要にも、心を配らな

     ければならないと「戒律」に書かれていますが、多様性の中における一致と言う

     ことの大切さも強調されています。また、来客・病人の中にキリストを見、キリスト

     と接するように接すべきであることも大切な点です。内的に過激な苦行より、む

     しろ、日々の生活の中で起こる小さな事柄を通して神のご意志を知り、少しずつ

     自己に死に、キリストに変えられて行くよう、生活改善と定住の誓願を立てて、

     キリストに従う道を歩みます。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



     
6世紀から、イタリヤで始められた修道院制は、イギリス、フランス、ドイツなど

   ヨーロッパ全域に広がり、数多くの聖人も生まれました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

     1852年にドイツのアイシュッタット修道院より3名のシスターが、アメリカへ移

   住したドイツ人のために大西洋を渡り、ミネソタ州セント・ジョゼフにささやかな修道

   院がつくられたのが、かつての日本の聖ベネディクト女子修道院の母院(聖ヨセフ

   大修道院)です。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



(聖ヨセフ大修道院)


       最初にベネディクト会のシスターが来日したのは、1950年のことでした。

    母院から、3名のシスターが、共産圏となった中国から日本に亡命したことにより

    始まり、その後、1952年には東京麻布に、そして北海道の夕張、室蘭、札幌と

    それぞれに修道院がつくられて、1985年に母院から独立しました。・・・・・・・・・



(日本聖ベネディクト女子修道院・室蘭)


      現在は、北アメリカの聖ベネディクト女子修道院連合会に属しております。

 本部を室蘭におき16名のシスターと1名の修道生活体験者が、教会や地域

のニーズに応えて、教育、教会奉仕、ボランティア、祈りの家などの仕事に従事しな
 
がら、福音を生きようとする修道共同体として、日々神を探し求めています。・・・・・・・


 以上、大変大ざっぱな説明ですが、聖ベネディクト女子修道院について

    のご紹介を、させていただきました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


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