Daily Classical Music Critique in Tokyo

2000.09.04(Number 914)


略称:「デイリークラシカルミュージック」
(さらに短い略称:「デイリー」)

演奏会の(Concert)・音楽評論家による(by Music Critic)・聴衆のための(for Audience)


Concert Critique

TITLE

J.S.Bach Kantaten Club at Tokyo University of Fines Arts and Music 30th Year Memorial Concert 2000.09.02 18:30 Tokyo Art Space

東京芸術大学30周年記念演奏会

批評

静かな静かな感動! 小林道夫のバッハ

 私にとって極めて不思議な体験となった 小林道夫指揮 東京芸術大学バッハカンタータクラブ30周年記念演奏会「バッハ:ロ短調ミサ」。何が不思議だったかと言うと

  1.  小林道夫の作り上げる音楽は(ロ短調ミサにも内在する)音楽技巧の難しさを一切「表」に出さないにも関わらず
  2.  「難しさ」も「技巧のひけらかし」も全く感じさせないで
  3.  「バッハの音楽の美しさ」のみを聴かせてくれたこと!

 振り返ると、

などは、トップクラスの在京オケ並みだったのだが、そんなことも忘れさせてしまう「静かなバッハの鼓動」を聴かせてくれた。 小林道夫 の 素晴らしさに改めて、聴き入った演奏会である。 東京芸術劇場を約90%埋めた聴衆の 真摯な聴き入り + 終演後の熱い拍手 も このクラブの「伝統」を充分に感じさせたことを附記しておきたい。

  「バッハの世界」は極めて広大であり、私などは

は ほんのごく1部しか知らない。いや、自分自身では「好み」と思っている器楽曲(除くオルガン曲)の世界ですら、作品目録を読むと 知っている世界は まだまだ無限のように感じる。

 ロ短調ミサは 当日の演奏会プログラムにもあったように バッハの作品としては、極めて異例な作品の1つであり、解釈の余地が相当に大きい作品。 もちろん、

ことは 多くの皆様がご存知の通り。しかし

小林道夫 は「自然体のバッハ」だけを追い求めた演奏
で 一貫する。例えば

 2時間以上の時間がアッと言う間に過ぎた演奏会。 終演後の静かな余韻。「ブラヴォー」は全く無くとも熱い拍手は「宗教曲」ゆえである。 「30周年」の伝統は 『様式の統一』にはっきりと打ち出された演奏会。 声楽ソリストにも突出した名手はいなくとも、それは ソリスト陣が「小林道夫様式に溶け込んだ」からである。 この演奏会を聴けて私は幸せである。


CAST

J.S.Bach Kantaten Club at Tokyo University of Fines Arts and Music

Conductor : KOBAYASHI Michio

PROGRAM

BACH : Mass h-minor BWV.232




2000.09.04 23:30 Daily Classical Music Critique in Tokyo 高本秀行


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「Daily Classical Music Critique in Tokyo」高本秀行
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last revised September 1 2000
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