新潟日報2007年10月23日
▼桐山建志バロック・バイオリン演奏会−バッハ無伴奏バイオリンソナタのタベ− 11月8日午後7時、新潟市だいしホール J・S・バッハはオルガニストとして有名だが、実は弦楽器奏者としても相当の達人であっだ。チェロやバイオリンのための独奏曲では、楽器の可能性があまねく追求されており、彼が弦楽器の機微に通じていた証左といえる。 一度に複数の音を鳴らす重弦奏法は他の作曲家も多く使用しているが、パッハは和音としての厚みだけでなく、対位法的な多声音楽として響かせることにも成功した。 ソナタの第二楽章はすべてフーガ形式で書かれているが、一つの旋律楽器のみで演奏しているとは思えない豊かな世界を現出させている。 さて桐山建志=写真=は、確かなテクニックに裏打ちされた透明感あふれる音色が評価され一九九九年のブルージュ国際古楽コンクールでは第一位を受賞した。バッハを中心に多くの録音も行っており、のびやかで美しい音作りへのファンも多い。 当夜は全六曲の中からソナタとパルティータが二曲ずつ演奏されるが、パルティータ第二番ニ短調の終曲シャコンヌは、半音階で下行するラメント・バス(悲しみの低音)の上で壮麗な主題が展開する名作である。 当時のバイオリンは、ガット弦(羊の腸)が使われ、弦の張カは弱く現代の楽器よりも華奢で軽い。弓の張カも強くなく、演奏時はあごで固定しないので、強く輝かしく歌い上げるというよりも、柔らかく繊細に語りかける音色である。桐山の音楽の言葉に耳をゆだねる時、新潟では数少ない、秋の澄みきっだ青空を連想する人も多いことだろう。(相馬孝博・新潟古楽協会会員) ■間い合わせは出来島コンタクト、025(281)1828。 |