エルデーディ弦楽四重奏団2005年7月

歴史ある礼拝堂に音色

高梁キリスト教会

 洋風教会堂として岡山県内最古の高梁キリスト教会(高梁市柿木町、県史跡)で十一日、「エルデ-ディ弦楽四重奏団コンサート」(高梁市青年経済協議会主催、山陽新聞社共催)が開かれた。歴史の刻まれた礼拝堂に、息の合ったクラシック演奏が響き、ファンら約百ニ十人を魅了した。

 同団は新日本フィル首席チェリストの花崎薫氏ら東京芸大出身の四人。モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」で開幕。ハイドンの「弦楽四重奏曲ニ短調作品76の2『五度』」では、巧みな弓さばきで時に力強<、時に緩やかに演奏。十字架を掲げた木造の堂内に音色が響き渡り、観客から一曲ごとに大きな拍手が沸いた。

 同市津川町八川、病院職員藤森静枝さんは「一つ一つの音が澄んでいて美しい。神聖な雰囲気の教会で聴くのは格別」と話していた。

 コンサー卜は「歴史ある建物で上質のクラシックを」と、岡山市出身のデザイナー水戸岡鋭治さんがつなぎ手となり実現した。十二日は、現役校舎としては日本最古の吹屋小(同市成羽町吹屋)でも開かれる。

 

高梁・吹屋小でエルデ-ディ四重奏団演奏会

 現役小学校舎としては日本最古の高梁市成羽町吹屋、吹屋小で12日、「エルデーディ弦楽四重奏団コンサート」(市教委主催)が開かれ、近隣を含めた3小学校の児童らが、古い木造建築に響くクラシックの音色に聞き入った。

学びやに弦楽の調べ 児童、住民聞き入る

 コンサー卜は本校舎一階の「三間廊下」であり、宇治小 (同市宇治町宇治)と布寄小(同市成羽町長地)を合わせた全児童三十八人と地元住民十数人が集まった。

 同団は新日本フィル首席チェリス卜の花崎薫氏ら東京芸大出身の四人。メンデルスゾーンの「作品13」は、時折弦を指で弾くなど細かく音を刻み軽妙。ヤナーチェクの「クロイツェルソナタ」では弓を激しく動かし、ひずんだ音が荒々しく、児童たちは真剣な表情で鑑賞した。

 団員からはチェロやバイオリンの構造と音の説明、曲のできた背景、聞き所の紹介があった。

演奏終了後、各校の児童代表計三人が「近くで聴いたのは初めて。感動した」「素晴らしいメロディーありがとうございました」とお礼や感想を述べた。

 コンサートは「歴史的建物で上質のクラシックを」とデザイナー水戸岡鋭治さん(岡山市出身)がつなぎ手となり実現した。

 

優雅な音色楽しむ

 緑の街サロンコンサー卜in井原(NPO法人緑の街ミュージックフレンズ主催、山陽新聞社後援)が十日、井原市七日市町のアクティブライフ井原で開かれ、東京を中心に国内外で活躍する「エルデーディ弦楽四重奏団」が演奏を披露した。

 約四百人が来場。同団は「至福のとき」と題して、ハイドン「五度」やモーツァルト「狩」などを演奏。バイオリンとヴィオラ、チェロが奏でる優雅な音色に来場者は聞き入っていた。この日は同所で、三歳以上の未就学児と保護者を対象にしたミニコンサー卜も行い、多くの親子が同団の演奏を楽しんだ。

 エルデーディ弦楽四重奏団は1989年、東京芸大出身の四人で結成。ハイドン、モーツァル卜、ベートーベンの曲を中心に国内外で活動している。2001年の初の海外公演(ドイツ、フランス)では地元紙に高い評価を受けた。

 緑の街サロンコンサートは、 音楽による子どもたちの育成などを目的に1995年から開かれ、今年で十二回目。

 

音楽通じ地域文化振興

真剣勝負で上質の演奏

東京芸大出身者で1989年に結成され、東京を中心に国内外で活動する「エルデーディ弦楽四重奏団」が12日まで、井原、梁市などで幼児を対象としたり、県内最古の教会堂を会場にユニークな演奏会を開く。蒲生克郷さん(51)=バイオリン、花崎淳生さん(45)=同、桐山建志さん(37)=ビオラ、花崎薫さん(46)=チェロ =とコーディネー卜したN PO法人・緑の街ミュージックフレンズ(東京)の土井悦子理事長(57)=井原市出身=に演奏活動の意義や地方文化の振興について聞いた。(本文敬称略)

来岡のエルデーディ弦楽四重奏団メンバ-らに聞く

− 各地で多彩な演奏会を開いていくが。

土井 肩のこらない雰囲気で上質の音楽に触れてもらおうと1982年から東京で開く『緑の街サロンコンサートを私の出身地の井原市でも95年から毎年、さまざまな音楽家を招いて開いてきた。十二回目の今回、四重奏団の来演がかなった。強行日程だがメンバーも地域に出ての演奏を楽しんでくれている。

− 九日には福山市の広島大付属中・高で弦楽合奏部を指導したりスクールコンサートを開いた。

花崎(淳) 私の母校であり、最初は緊張気味だったが、一緒に弾 < ことでどんどん吸収しているのを感じた。音楽作品を埋解する力は他のことにも通じると思う。

− 十日の井原市での演奏会では三歳以上の未就学児と保護者が対象のミニコンサートもある。

桐山 私も二歳十ヶ月でバイオリンを始めたが、子どもは大人よりかえって神髄をつかむ力を持っている。子どもだからわかりやすい曲といのではなく、真剣勝負。欧州に暮らして感じたのは、どんな音楽をつくりたいという頑固さが彼らにはあった。日本の演奏家も技量では負けないが。

− 岡山市出身のデザイナー水戸岡鋭治さんがつなぎ手となった高梁市のコンサートは県内最古の高梁キリスト教会(1889年築)=十一日開催=や現役校舎として日本最古の吹屋小(1900年築)=十二日開催=が会場になる。

花崎(薫) 実は数年前、チェロ用のいすを水戸岡さんにお願いしたのがご縁。地方に残る歴史的建築物で演奏ができるのは心躍る。終演後の地元の人との触れ合いや郷土料理、地酒を通して、こちらが地方から学ぶことも多い。

− 平成の大合併で岡山でも市町村数が半減。効率優先で地域文化が衰微していく不安がある。

蒲生 バブル期を通して全国にたくさんのハコ物はできたが、行政にできるのはそこまで。人がついていっていない。芸術、文化を愛する人やグループがいて、全国とネットワークを結んで交流することで地域文化は盛り上がるだろうし、そういうところへはどんどん演奏旅行に行きたい。

 

これがプロの演奏技術

プロの弦楽奏者から指導を受けようと、福山市春日町の広島大付属福山中・高校の生徒が9日、同校を訪れた東京の演奏グループ・エルデーディ弦楽四重奏団からバイオリンなどの演奏法を学んだ。

東京の弦楽四重奏団 広大福山中・高生を指導

十日にアクティブライフ井原(井原市七日市町)で開かれる「緑の街サロンコンサートin井原」(山陽新聞社後援)に合わせ、生徒にクラシックの魅力を知ってほしいと、NPO法人・緑の街ミュージックフレンズ(東京)が企画した。

 同校弦楽合奏部員約ニ十五人を第一バイオリンの蒲生克郷さんが指揮。ビオラの桐山建志さん、第二バイオリンの花崎淳生さん、チェロの花崎薫さんも楽器を持ち部員の間に入り、同部が秋の文化祭で披露するモーツァルト作曲「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を演奏した。

 蒲生さんらは生徒に「少しアクセントを付けてみて」などと説明したり、実際に弾き方を示しアドバイス。生徒は熱心に話を聴き、繰り返し弾いていた。

 この日はエルデーディの演奏を聴くスクールコンサートも開かれた。同高ニ年中山奈々さん(一六)は「音に表情を付ける工夫など勉強になった。さらに練習を頑張りたい」。蒲生さんは「楽しく指導できた。今回伝えたことが若い人の演奏に役立てれば」 と話していた。

 エルデーディは井原、高梁市で演奏するほか、十一日に福山市で駅家南中生へのスクールコンサートも行う。井原市での演奏会は十日午後ニ時半開演で、午前十一時には三歳以上の未就学児同伴で聴けるミニコンサートも開く。問い合わせはアクティブライフ井原。

 

戻る