音楽の友2003年7月号

●オーケストラ・シンボシオン

オーケストラ・シンポシオン・ロマンティックシリーズの第1回。メンデルスゾーン《真夏の夜の夢》序曲、同「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」、シューマン「交響曲第2番」。指揮は諸岡範澄、桐山建志のソロ。題して〈情熱のライプツィヒ−ドレスデン1840年's〉。とにかく彼らの演奏は活きがいい。コンセプトも感性の上でも。また、諸岡の意図が以前にも増してより明確に伝えられているように思えた。今回は全曲を通してチェロ以外の弦楽器は全員起立しての演奏。とはいえひと昔前の弦楽合奏団の「一糸乱れぬ、整然とした」ではない、各人にソリストのような自発性と自然な躍動感がもたらされる。《真夏の夜の夢》冒頭、管の静穏な和音とヴァイオリンによる主題との対照が鮮やかで、強奏のはじけるようなスイング感が快い。協奏曲は初演時の版。桐山はポルタメントを多用し、変化に富んだ多彩な表現を聴かせた。シューマンは随所に卓抜したアイデアが光り、同時にドイツ・ロマン派特有の高揚感に満ちた秀演だった。(5月25日・第一生命ホール)

〈那須田努〉

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