18世紀生き生きと

鍵盤(けんぱん)奏者の武久源造はオルガン、チェンパロ、フォルテピアノなどピリオド楽器を縦横に操り、十八世紀までの音楽を生き生きとよみがえらせる。CDは一夜の演奏会を想定して編み、入念な解説も自ら書く。今回はパッハ没後二百五十年を記念し、作曲家がライプチヒのカフェで演奏した当時の状況をほうふつとさせる協奏曲集を録音した。チェンパロ協奏曲の第三、四番を両端に置き、桐山建志が独奏するパイオリン協奏曲、自身のソロの「イタリア協奏曲」をはさむ構成は秀逸。「不特定多数のための無難な演奏を脱し、林家三平や立川談志の落語にならい、特定の共同体へ向けた強い個性の音楽を回復させる」という意気を感じる。

発売‐コジマ録音。  (卓)

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