J・S・パッハ:協奏曲集

(チェンバロ協奏曲第3番&同第4番、
イタリア協奏曲、ヴァイオリン協奏曲第1番)

武久源造(hc、Fp)、コンヴェルスム・ムジクム他

〔00〕ALM-ALCD1029 3059円

 この奏者、既に十数枚のディスクをリリースしているが、

オーケストラを弾き振りしたものは、これが初めてとなる。

いつも一味違ったアプローチで、我々を驚かせる(または、

物議を醸す)武久だが、この度のパッハ・アルパムでは、

通常チェンパロをソロに据えて演奏される協奏曲を

フォルテピアノで弾いている(BWV1055)。

最近の研究を踏まえての推測によるもので、

これはディスク史上初の試みであろう。

またニ長調協奏曲の三楽章でも、ソロのパッセージの

一部を原曲どおりヴァイオリンに受け持たせるなど、

相変らず才気煥発なところを見せている。

今回特筆すべきなのは、ブルージュ古楽コンクール

優勝の桐山をコンマスに迎え、演奏経験豊富な

チェロの諸岡らを擁したオケの優秀さだ。

現在国内で活動している古楽オケの中では、

おそらく最も水準の高いものの一つに

数えられるのではなかろうか。

BWV1041における桐山のソロは、殊に秀逸である。

        

 神倉 健

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