FM CLUB No.48 2003年10月13-26日号

ヘンデル/オラトリオ「メサイア」
Cem、指揮:武久源造 コンベルスム・ムジクム

全般的にまったりとした昧わいは、以前ここでも紹介した『ヴィヴァルディ/四季』での個性・革新性に富んだ取り組みと同様。新しい音楽創造のヒントの探求と絶対的な決定稿はないという結論に立脚した姿勢でこの超大作に挑んでおり、各曲のテンポに重点を置いたテキストの徹底した読み込み、さらに18世紀の時代考察もまぶして現代における古楽演奏の方向性に新たな道筋がつけられていく。なんだか大げさな言い方になってしまったが、とにかく興味深く、新鮮な演奏ですよ、と。悠々とした時の流れを演出するテンポの中、新色の救世主が降臨。

■福田晃志

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