J.S.バッハ:ヴァイオリンとチェンバロのための作品集Vol.3

 バッハ音楽の全体像と輪郭がシャキッとクリアに定義されている。演奏者のバッハの音楽と向き合う姿勢があまりにも真摯であり、聴いていて思わず襟を正したくなるほどだ。桐山が弾くヴァイオリンの音色は、ピュアな情熱があたかも光線のように照射され、聴き手の心をゆっくりと焦がすように染みわたっていく。バッハ自らの異稿による無伴奏チェロ組曲第5番のチェンバロ版も非常に興味深い一曲。バロック楽器本来の柔らかな響きの美しさを再発見できるアルバム。チェンバロの音のみずみずしさをそのままパックした録音も素晴らしい仕上がりだ。

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