音楽現代2010年1月号

推薦 ヘンデル没後250年を記念して出されたヴァイオリン・ソナタ全集である。桐山建志はバロックヴァイオリンの名手として活発な活動を続けており、オリジナル資料に基づくメンデルスゾーンのヴァイオリン・ソナタ全集の録音で高い評価を得たのは記憶に新しい。今回のヘンデルも自筆譜による厳密な考証を経た、現在求めうるもっともオリジナルに忠実な演奏といって良い。彼の良いところはそうした実証主義的な生き方と、演奏者としての自由で生き生きとした表現が高いレベルで両立している点で、このヘンデルでも大塚直哉の生気溢れるチェンバロと共に、心躍る演奏を繰り広げている。三澤寿喜氏の丁寧な解説ともども、極めて充実した内容のCDである。

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