ぶらあぼ2013年3月号 新譜ぴっくあっぷ

 バロック・ヴァイオリン音楽の古典中の古典であるコレッリの12曲のソナタが、日本人によって全曲録音されるのはこれが初めてではないだろうか(抜粋録音はある)。この気品と情感に富み、無駄なものが一切ないソナタたちは、近年、多彩な通奏低音楽器を配した演奏でもしばしば聴かれるが、ここではヴァイオリンとチェンバロという最小編成による演奏。豊かな即興を交えた堂々たる歩みのヴァイオリンと当意即妙のサポートで彩ってゆくチェンバロによって、本質をまっすぐ伝えようという意志が伝わる。まさに「大江戸」の名にふさわしい心意気。

 

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