ぶらあぼ2015年8月号 新譜ぴっくあっぷ

ヴァイオリン学習者にとってはなじみ深い、「エックレスのソナタ」。その第2楽章が、実は18世紀イタリアの作曲家ボンポルティの「インヴェンション第4番」からの“パクリ”であることは、知る人ぞ知る事実だ。しかし、この2曲を併せて録音したのは、当盤が世界初だろう。しかも、桐山は前者でイギリス風、後者ではイタリア風を意識した装飾やテンポ取りを選択しているのも凄い。後半でも、やはりなじみ深いヴェラチーニのニ短調ソナタ終楽章を核に、収録された曲集全体を俯瞰。「スズキの教則本」を出発点としつつ、プロならではの技が、未知の世界へと誘ってくれる。(寺西輩)

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