ぶらあぼ2018年4月号 新譜ぴっくあっぷ

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番、大フーガ/エルデーディ弦楽四重奏団

 来年結成30周年を迎えるベテラン、エルデーディSQによる後期ベートーヴェンの録音がスタートした。第1弾は第13番とその本来の終楽章でのちに独立した「大フーガ」。第1楽章は明るく太い音色で屈託なく進む。音楽は躍動し、旋律は輝かしい。第2楽章以降もアプローチは一貫していて、プレスト楽章ではイン・テンポで第1ヴァイオリンが名人芸をみせ、スケルツォやドイツ舞曲も薄化粧でさっぱりと聴かせる。ヴィブラートの有無で遠近を作るカヴァティーナも面白い。「大フーガ」は彼らならではの線の太さで複雑なテクスチュアを曇りなく表現しており、曲の巨大性を改めて実感させられた。 (江藤光紀)

 

戻る