ぶらあぼ 2020年4月号

後期弦楽四重奏曲シリーズ第3弾は、前作・第11番から14年の時を経て作曲された第12番。冒頭のファンファーレのような和音は重厚に響き、対位法的な両主題はごくごく自然に流れてゆく。和音との対比が美しい。長大な緩徐楽章で聴かれる各変奏では、アンサンブルに粘着力があり、声部ごとの絡みがとてもきれい。特に主調変イ長調に対して遠隔調となるホ長調の第3変奏の讃歌はまさに天上の音楽!!どの変奏でもチェロが大活躍する。ユーモラスな第3楽章スケルツォも、リズムの躍動するフィナーレもとてもいい。そして幻想的なコーダがこれまた美しい。 〈横原千史〉

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