ぶらあぼ 2020年5月号

知る人ぞ知るバッハ:ソナタ&パルティータのシューマンとメンデルスゾーンによるピアノ伴奏版。ソロで完結しているのでは?しかし当盤を聴くとシューマンとメンデルスゾーンは彼らの流儀に従ってバッハの楽曲をロマン派的なソナタ作品に変容させているとも言え、バッハ的でない箇所があると同時に逆説的にバッハの懐の深さを感知させる。メンデルスゾーンはあくまでヴァイオリンを立てて慎ましやかな伴奏に徹し、対するシューマンはソロと有機的に絡み、時には想像もしなかった和声が聴こえたりと実に刺激的。桐山&小倉のコンビは厳格よりも自在さを優先、これは理に適っていよう。 (藤原 聡)

 

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