イタリア弦楽四重奏作品集
/エルデーディ弦楽四重奏団

昨年、結成25周年を迎えた"老舗-の彼らが挑んだのは、20世紀のイタリアで生まれた3つの佳曲。いずれもこの国の作品ならではの雄弁な歌心に溢れているため、作品の随所に抒情的に膨らます余地がある。だが、エルデーディの解釈はある意味心憎いほど冷静であり、作品のロマンや悲劇性をあくまで自然な流れの中に描き出している。プッチーニの深い悲しみ、ピツェッティの緻密で重層的な伽藍、そしてロータの温かい憧憬。これらの多様な世界を、美しくアプローチしやすい音楽として磨き上げていることに感服した。作品に秘められた真実の美を改めて教えてくれるアルバムだ。(渡辺謙太郎)

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