目覚めてからも、どこか霞みがかかったようで、

この世界がなぜだか遠い。

こうして自転車のハンドルを握る両手も、

自身の両腕であるという実感がない。

通りすがる人々の交わす会話も、

どこかスピーカーの音声じみていて、


ひどく遠い。

水中にいるかのような錯覚を起こさせる。

胎包のなかに包まれているような、

羊水のなかに漂うような。


涼しく、湿度の高い木曜の午後が

胎内回帰願望を呼び覚ますのかもしれない。





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