池田香代子さんと櫻井美紀さんのトークライブから

右から池田さん、櫻井さん

1、100人の村

2、アリ・ジャンと島田伸助さん

3、アメリカはなにをしているの

4、どうすれば世界は変わる?

5、わたしたちにできること


1、100人の村

 3月4日、雨のそぼ降る日曜日、原宿のちいさなバーで池田香代子さんと櫻井美紀さんのトークライブがありました。池田香代子さんはソフィーの世界やグリム童話の翻訳をなさった方ですが、語り手たちの会の会員であり「もし、100人の村があったら」を世に出された方でもあります。
 それは星川淳さんのメールを櫻井さんが池田さんに転送したことから起こったことだったのです。100人の村は現代の民話...10年近くもWEBの海をただよいひろまっていたのでした。

9.11.、10.7を経て池田さんはなにかをしなければと思われたそうです。100人の村の印税は100人村基金として積み立てられ、さまざまなことにつかわれました。

 1、アメリカの上院下院のすべての議員に劣化ウラン弾のために苦しむアフガンのこどもたちの写真集を送りました。アフガンのときは空爆に反対する議員はたったひとりだったが、イラクのときは1/3が反対したのだそうです。.......もしかしたら.....
イラク、バスラの少女:写真は切り取られています。右足は爆撃でちぎれているのです。

 2、日本でも池田さんの呼びかけでネットで集まったひとたちが、国会議員に面会のアポをとり、ひとりひとりに写真集を手渡しました。院内集会では議員40名。秘書40名が集まった。これは画期的なことだといいます。

 3、日本にもアフガンの難民が保護を求めてやってきます。けれども日本の入国管理局は日本をよりどころとしてやってきたひとたちに決して優しくはないのです。牛久にある収容所に隔離収容します。そのためのショックでからだを壊した方たちの援助もしています。


2.アリ・ジャンと島田伸助さん

 アリ・ジャンはタリバンの破壊したバーミヤンの洞窟ちかくに住んでいました。ところが兄のひとりがタリバンの抵抗勢力に身を投じたため、父やほかの兄たちはみな連れ去られ、アリ・ジャンにも逮捕状が出ました。病弱のおかあさんは6000ドルという多額の借金をしてアリ.ジャンにいいました。「おまえは勉強して社会の役にたつひとになりなさい。」日本は親切なひとがいる国だから...とアリ.ジャンは成田にやってきました。ところがそこで彼は手錠をかけられ牛久の収容所にいれられたのです。入管管理局が亡命者にしている仕打ちやアリジャンのことを知った島田伸助さんは「オレはどうしようもない人間だけど、知ったからには自分ができることはやりますよ」と言い、ことばのとおり援助を惜しまないそうです。今アリジャンは昼は清掃会社で働き、夜はたちばな中学の夜間部で学び、もう日本語が書けるようになりました。
 アリ・ジャンのおはなしが出版されています。タイトルは「おかあさん、ぼくは元気です」


3.アメリカは何をしているの?

今、世界の富の1/3がアメリカに集中しています。二極支配の構造が破れ、したい放題のことをしています。そして日本政府はいいなりになるだけ、世界の南北問題、貧富の差は激しくなるばかり、この混沌とした世界はどうなるのでしょう?


4、どうすれば世界は変わる?

 まず人口問題があります。ゆがんだ社会を変えるために必要なことは女性が変わること。教育を受けると女性は画期的なほど出産が減るのだそうです。たくさんたくさん毎年のように赤ちゃんを産んで、貧困のなかで育たないで死んでゆく、そうしたことがなくなるのです。そうして多額の援助をバラ蒔くのではないマイクロクレジットという方法があります。それは女性に小額のお金をあげるのではなく貸し付ける、そしてほんの少しの利子をもらう。たとえばミシン一台とか、平均10ドルたった1000円くらいのお金が生活を向上させます。なぜか男性ではだめなのだそうです。


5、わたしたちにできること

 それではわたしたちにはいったいなにができるでしょう?
お金は投票用紙と池田さんは言います。そしてはがきやメールもね。

 メディアは第二の権力といわれていますが、一枚岩ではありません、報道にたずさわるひとたち、本を出すひとたちのなかに、このままで世界がいいはずはない、何かしなくてはと思っているひとたちがたくさんいます。

 たとえば......100人の村が出版されたとき、キャスターの安藤さんは番組終了20秒前に本を手に叫びました。「こういう本が出ているんです、知っていますか?

 アサヒテレビや報道のTBSではなくにフジテレビや日本テレビのひとたちがむしろ一生懸命なのだそうです。ときどきはっとするような企画があります。そしてわたしたちにもできること、それはそういう志を持ったひとたちにエールを送ることです。テレビではひとつの投書のかげに9999人のひとが、新聞では999人いるといいます。「もういちど、放映してください」一枚のはがきがどんなに担当者を力づけることでしょう。そしてそのはがきのたばが厚くなれば、テレビ局の上層部だって動かすかもしれません。

 .ポプラ社は児童書を出していますが決して大きな出版社ではありません。それが1月3日、朝日と毎日に全面公告を出しました。ぼくの見た戦争アメリカの若い兵士が息たえて、横たわっている、その顔を同僚が見つめている、そういう写真です。この全面広告を出すには1000万円のお金が必要でした。そして通常なら大企業に割り当てられる正月の紙面に載せることができたのは、ポプラ社の編集者の熱意が電通の社員の心を揺り動かすというドラマがあったのです。メディアのなかで世界のために、子供たちのために、なにかをしなければいけないと思っているそういうひとたちの本を買う、支持することもわたしたちにできることのひとつです。

 そして
日々の生活のなかでできること。戦争の起こる大きな原因は石油にあります。イラク爆撃の隠された目的のひとつは豊富なイラクの油田にありました。日本では世界中の食べ物や水を口にすることができますが、なぜ日本の六甲の水とエヴィアンが同じ値段かといえばそれにはこんなカラクリがあるのです。

 原油のなかで航空燃料に出来る良質の油はほんの少し、そのためにどんどんどんどん石油を掘り出さなくてはなりません。そこで、余ったA重油、B重油はとても安い値段で放出されます。その結果わたしたちは意外に安く世界中の水を飲むことができるのです。それがながあいサイクルで考えると戦争につながってゆく、こわいですね。身土不二、からだと土ははなれがたいもの、からだのためにも世界平和のためにも、できるだけ自分の住む土地の周辺で産するものを食するのがいいようです。これは国内でもおなじことですね。また日本の豊かな食卓のかげには海老の養殖やベビーコーンの水耕栽培による現地での大量の水資源の浪費や汚染があり、わたしもだいすきなチョコレート、原料のカカオ豆は人身売買による子どもたちの小さな手の過酷な労働によって栽培されているのだそうです。知らなかった......チョコレートは苦いものになりました。フェアトレードということばを知っていますか?わたしもはじめて知ったのですが、国際的な産直とでもいうのでしょうか。大資本を通さないで現地のひとびとを搾取しないでコーヒーなどを手に入れる仕組みもあるようです。このことはあとでもっと調べてみたいと思います。

 そして世界を変えるもうひとつのことは省エネ、こんな地味で簡単なことだったんですね。わたしは実は夜ねるとき恐くて、電気をつけて寝ることがあるんですが、世界の平和とたくさんの子どもたちのためなら我慢できるかもしれない、できることからぼちぼちやっていきましょう。


 声をあげること、行動すること........手をつないでも、ひとりでも。