また迷って小さなホテル”ゲストハウスガーデンクラブ安曇野”に辿り着いたのは5:30...チェックインをすませ、車で5分のすずむしの湯に向かう。ここは町営で宿泊もできる。露天風呂につかり、疲れを癒して、さあ、デイナー...。
白ワインのハーフボトルをたのんで乾杯!!地のワインだがキリっとして美味しい。酒豪の美子ちゃんはビールもたのんだ。

          本日のメニュー

      前 菜.....ローストビーフのサラダ
      きのこのペンネ・クリームソース
      トラウトの燻製
      牛フィレステーキ・マスタードソース
      パン
      ジェラート(名前はわすれた)  
      コーヒー




このホテルは芦間川の川辺、芦間橋のたもとにある。川のせせらぎが耳に心地よい。部屋は広くはないが、オーナーの人柄がしのばれる落ち着いた趣味のよいホテルだった。なにより、料理が美味しくて、いつも小食な橋本さんが「おいしい、美味しい」と全部たいらげてしまった。メニューは毎日変わり、記録を残してあるので次回は違うメニューが楽しめるとのこと。

  土曜日の宿泊なので二食付き9700円(税別)





5:00に目覚めてしばらく川のせせらぎを聞くともなく聞いていた。さらさら さらさら 意識が過去へ遡ってゆく。そっと起きだして、足音をたてぬよう外に出た。裏庭の木のベンチのブランコを揺らしていたら、オーナーのおかあさまがきりリとエプロンをしめてこちらにみえた。柔和な方で朝食のパンを焼きにきました。といって微笑まれた。
 おかあさまに教わって芦間川の川沿いを上流に向かって歩くことにした。安曇野を流れる、高瀬川、乳川、芦間川はたびたび氾濫を起こしてひとびとを苦しめたそうだ。その故か芦間川にはすぐみてとれる改修がなされている。コンクリートの段差は流れが美しいだけに痛々しく思われた。もっとさりげない工事はできないものだろうか。




 川の流れにそって、松林をどこまでも歩いてゆく。誰もいない。川の音と鳥の声に耳を澄ませていると、こころがほどけて
ひろがってゆく。躰も山の気にそまって足がわるいはずなのに果てしなく歩いていけるような気がする。わたしは思わずものがたりを語りはじめた。

 清流橋に着くころ、青空がひろがってきた。名残惜しいが朝食を7:30にオーダーしたので帰途につく。
   




 我知らず、わたしは山に声に出して語りかけていた。人間が自然にたいして為してきた非礼を詫び、山の豊かさを称え感謝し、語り手としてこの地にまつわるものがたりを語らせてくださいと祈るような気持で話していた時、ちょうどこの木のあたりで頭がキーンと痛くなった。
 普通の痛みではなかったし、なにか感じるものがあったので、懼れがわたしを満たし、ほとんど走るように緩やかな山道を下った。ホテルが見えたときはほっとした。

 ちょうど7:30で他の3人も席に着いていた。淹れ立てのコーヒーの香りに息を整えながら、それでもまだ背筋に戦慄が走る。わたしはなにかしてはいけないことをしたのかもしれない。



つづく
ダイニングルーム
 
玄関をはいったところ