ようこそおいでくださいました。あなたは 人目のお客さまです。

もとは 『語り』というジャンルのための部屋だったのですが、今や 文字通り語るためのお部屋になりました。(笑)



  


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ブログも落ち着いてきましたので もうすこししたら
HPも充実してゆきたいと思っております。


















母 雪 櫻



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     珊瑚と真珠  12/23

昔は 金や銀、水晶や瑪瑙 を身につけていました
なかでもラピスラズリの青、アメジストの紫が
お気に入りでした

アメジストやラピスラズリの丸玉は護符だったのかも
しれません 勾玉のように
邪悪なものたちから身を護るための

今は 珊瑚と真珠をひそかに肌(み)につけています
流れる血のような赤、ほのかに輝く白
海の潮に育まれた有機の宝石

真珠をつけると優しさが湧いてくるような気がして
珊瑚をつけると靭さが湧いてくるような気がして

潮の満ち引きとわたしの鼓動が呼応します
あと幾たび

やがて潮がわたしの体内から引いていくとき
わたしは娘たちに手渡しましょう

まろやかな真珠とともに やさしさを
赤く赫く珊瑚とともに つよさを

女であることのよろこびとかなしみ
翳りと耀きを抱いて繋いで と祈りをこめて


   有心 12/22

幼な子は空を抱いている
悠久の波 幾千の星 鳥と魚と花々を抱いている

ルイよ ルイ
おまえの双眸の湖に引寄せられて
溺れてしまえたら

ルイよ ルイ
おまえのちいさなゆびに掴まれると
あどけないみずいろにわたしも染まる

なにも知らず なにも持たぬことは
なんて強いのだろう

おまえは知らないのだよ
今夜 おまえが
母と父と祖母のわたしを救ったことを



  果物籠 12/21

見舞いの籠を誂えようと果物屋を捜したが
駅前通りには一軒もなかった

たしかに三軒はあったのだ
明るい白熱灯に照らされて
季節のフルーツが甘やかな香りを放ちながら
熟し腐ってゆく一間のきらびやかな間口
前掛けの亭主の軽口

見回せば櫛の歯が欠けたように
薄闇が四角の空間を埋めている
駐車場がかってあったはずの店の名前すら
呑み込んでしんと静まっている

こんなにも われらのマチは寂れてしまっていた
こんなにも われらのクニは煤けてしまっていた
見下ろせば 毛玉のスェーターに折り目の消えたスラックス
こんなにも 身なりをかまわなくなってしまったワタシ

落剥の商店街 同じくらいたそがれて
立ち尽くす
これでいいのだ これからはじまるのだ
と肯う 頸をそらす

構えも 過剰も 飾りも いらない 
削ぎ落としてしまへ
クニもマチもヒトもまっすぐ そのまま
まずは荒涼から 
イタイ サムイ サビシイ カナシイ ハズカシイ
まずは肯定から






  聲が聞こえる  12/20

ながいながい夜がようやくあけて白い朝
あなたはどこにいってしまったのだろう

わたしがおいかけてきたものは灰色の影だったのか
凝らしても見えない 手をのばしてもなにも触れない

奥多摩の貯水池に響く木魂を追いかけてきたのか
その山はつい数十年昔 姥捨て山だったそうな
老いてゆくのは詮無きこと

聲が聞こえる
遠い聲 なんの屈託もなく明るく澄んで
わたしを呼んだ  欺かれたわけではない
ただ醒めただけ

それでも
耳を清ませば 聲が聞こえる
くぐもって 念誦のように 潮騒のように
地の底を流れる水脈のように
解き放て 千年の呪縛 百年のまどろみから
吐息と熱と鼓動でヨミガエラセヨ
ことばは火となり水となり風となるらん


誕生? 再生? 
此度こそ 翔る翼も駆ける肢も時間も若さもなにも持たず
ひしめく聲無き者に押されて



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