雨でした。櫻井先生のおかあさまの訃報を聞きました。お会いしたことはありませんでしたが、櫻井先生のお宅で、おかあさまが少女の頃、手にとって遊ばれたという、ロシアのお人形を抱かせていただきました。おかあさまのご両親、ご兄弟が国のために海をわたり、異国で命をおとされたことも聞きました。わたしのこころはあの美しい人形の衣装がいろあざやかだった頃の、7歳の少女の姿を追ってしまいます。ほの暗い窓辺で雨が静かに木々の緑を濡らしているのを見ている少女の後ろ姿です。
ご冥福をお祈りもうしあげます。
 


 二十余名の語りは楽しくそれぞれ個性的で良いときをともに味わう喜びがありました。畢竟ひととなりだなと思います。素晴らしい仲間がいる幸せを感じています。
 その仲間たちと共に学ぶ三年間の夢や望みをわたしは「ヨヨギ城の仙女たち」に託したのでした。ですからあの物語はただの創作ではありません。あの場にいたひとしか共有できないものがたりであり、語りへの想いであり、二日間の記録です。わたしからのメッセージに応えてよせていただいたおたよりには、それぞれおひとりおひとりの熱い想いが綴られていました。わたしはとても、幸せでした。
 たとえば、大仙人とかタピストリとか城の番人とか、は比喩であり象徴なのです。気にすることはないとおもいます。このおはなしが生まれたことから、わたしは昔話の登場人物、設定がシンボライズされたものなのでは、と気付くことができました。そして、それがセミナーで語らせていただいた「カイアス王」につながっていったのです。「カイアス王」は象徴化された自分史なのです。

 ともあれ、研究セミナーは自由な闊達な意見交換の場でありたい。ひとりひとりの想いがそれはそれで尊重される場であってほしい、友愛の情あふれるところであってほしい、豊かな語りの場であってほしいと願ってやみません。
研究セミナー(第3回)に行ってきました。