マーガレットさん、通訳の末吉さん母娘
 6月21.22日、代々木青少年センターにて、第二期語り手たちの会研究セミナー三年目、第一回が開かれました。3人の仲間をそれぞれの事情で欠いた、さびしいスタートでしたが、みんなでそのさびしさを埋めようと寄り添うようなセミナーでした。

 21日はアメリカの語り手マーガレット・リード・マクドナルドさんの二ヶ月に及ぶ滞在の最後のワークショップでした。内容はタンデム・テリング、ふたりの掛け合いによるストーリーテリングです。マーガレットさんと末吉さんの軽妙な掛け合いに大笑いしたあと、「さるどんとうさぎどん」「はらぺこくまじいさんのおはなし」「甘えん坊の子猫ちゃん」を実際にふたりで組んでやってみます。マーガレットさんが強調したことは芝居は観客とのあいだにガラスの仕切りがある。ストーリーテリングは聞き手との間にアイコンタクトで交流を持ち続けるということでした。楽しいワークショップのあとマーガレットさんとみなで食事をしました。今頃はインドネシアに着いて元気に活動なさっているでしょう。道中の無事と今後の活躍をお祈りします。また滞在中のお世話をしていただいた末吉さんに心から感謝いたします。
 6:30から語りがはじまりました。
オープニングはキャベツのなかから♪山形土産の手遊びです。トム・チット・トット おしょうさんと小僧さん ひとつの願い 彦一の生きている傘 黒姫と黒竜 その他

 そのあと出席者による合評会が行われました。合評会はセミナー生の希望で今回から始まったのですが、片岡講師から「表現者として批評しよう、さらけだしていい、強いて悪いところを見つけ、自分の語りを反省する」という示唆がありました。
 私見では仲間の技量が大きく伸びたことに賛嘆しこちらも真剣にとりくまなければならないと痛感しました。そして片岡講師の意を汲んで、ともに学ぶ仲間として心からのアドバイスをさせていただきました。ひとの批評をするということは自分自身の語りについても生半可にはできなくなり、自分を追い込むことになります。わたしは仲間と一緒に伸びてゆきたいと思います。

進境著しい竹内さん、サキに取り組んだ村山さん
 夜語りは4112号室でした。和やかななかにも喧々囂々の議論が繰り広げられました。

 22日は櫻井講師による再話でした。エロスとプシュケの話の冒頭の所を順番に語りました。聞き手の理解を促す適切な語彙の選択の重要性といったらよいでしょうか。昼休み、わたしたちのグループは手遊びの収集交換に励み、大きな収穫がありました。今月のお話会はさぞにぎあうことでしょう。
 午後、片岡講師による前回の宿題、長い名の息子についてひとりひとりの作品に丁寧な講評がありました。そのあと山村慕鳥の100年前の童話の奥に隠された深い意味の考証です。明治という時代背景、慕鳥がキリスト者であることなどから活発な意見が展開されました。
 続いて3月の発表会に向けて各人の予定演目とグループわけがありました。
    卒業発表演目(順不同)
死神
影の国の旅
洟をたらした神
赤いろうそくと人魚
江戸のリサイクル事情
小僧が守ったお経
巴より
私の落窪物語
遠野物語より
魔法の指輪
赤頭巾ちゃん
一塊の土
わたしのディアドラ

あとは未定です、また予定は変わることもあります。

重たいものばかりで聞き手はたいへんじゃないかとちょっと心配です。
とても楽しいセミナーでした。残る3回悔いのないように