五月のかかりに行こうと思っていたが、天気と、暇でありながら付かない都合で、今日になる。
19号線を北上し、恵那を過ぎると、御岳が白い頭を、僅かに覗かす。
何時もながら、時めきを感じる。
春風が心地よい。
間もなく、梅雨だというのに、この青空は、何も知らない様だ。
南木曽を過ぎ、漸く元橋を渡る。
これからは、除々御岳の領域である。
やがて、御岳湖の端が見えてきた。
あたりは、山藤が満開である。 陽に照らされて紫が更に鮮やかに見える。
アカシヤの香りが漂うが、姿が見当たらない。
山藤の香りだろうか・・・・・・
アカシヤといえば、ソウル時代が思い出される。
かの地は、春になると、いたる所で、この香りを、ただよわせてていた。
話によると、日本人が戦時中に満州(中国東北部)より持ち帰り植えたのだという。
(真偽の程は判らない)
しかし、韓国も豊かになったものだ。
16年まえは、まだ、月に一度は、外出禁止令(0時以降)があり、北への警戒が厳しいもの
であった。
自分も朝鮮語の辞書を持っていて ”韓国辞書に変えよ”と、叱られた事がある。
殊にワールドカップ以降は見違える国になった。
やがて、御岳のふもとが見えてきた。
節句の流れか鯉のぼり、六月の風に、気持良さそうに、なびいていた。
やはり素晴らしい! 慾を言えば、5月の新芽の淡い緑の時に来たかった。
冠雪も、もう少し下に伸びていただろうに、
しかし慾は言えないね、これだけの天気に恵まれたのだから。
納得いくまで眺め、腰を上げる。
361号の池の沢に出て右折する。
把の沢を貫け、木曾馬の里へ急ぐ、こちらは、今、ツツジが盛りである。
ようやく、到着。
昼を少し廻っていた。
昼食をすまし、散策としよう。
場所を西から東に変わると、御岳の左肩が上がって見える。
西野の辺りでは左肩が流れている。
やはり御岳は東地区の姿が好きだ。
木曾馬の里にて
以前、ネパール.ヒマラヤに行ったとき、ヨハネスブルグからきた姉妹に会い、キリマンジャロの
話から日本にもキリマンジャロがあると、いうことで、御岳の写真を送ってあげたら、驚いていた。
日本に親近感が湧いたらしい。
こちらは、ブルーベリーが栽培されている、、夏には、ベリー狩りを始めるそうだが、カナダあたりからの流れだろう。
あちらは、自然生えのものを、よく観光客に狩り取らせ、食事に出しているのを見かける。
白樺林をぶらぶらと、歩き、お暇とする。
帰りは地蔵峠を越えて帰ることにし、旧道を走る。
新道に比べるとやはりカーブが多く走りづらい。
地蔵峠の展望台で最後の、見納めと車を降りる。
一台のバイクがあり、レザーの繋なぎを着たライダーがきていた。
” 素晴らしいですね ”と話し掛けてきた。
” どちらから ”と聞くと、埼玉から来たという、”会社を思いきって休んできて良かった
課長のご機嫌が悪いので迷っていたが、正解だった。課長に土産でも買っていこう”と
これから高山を廻って帰ると言っていた。
以前、Sさんに誘われ此方に絵を描きにきたのが、病み付きで、それ以来、冠雪の山をを見ると
気持がたかぶるようになった。
本当にライダーの彼が,満足げだった気持が良くわかる。
彼が立ち去った後、旅の安全を祈り、我々も帰途を急いだ。
御岳は何時の間にか、光を背にしていた。
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