HELLOWEENアルバム感想

ヘヴィメタル好きには説明不要。メロディック・パワーメタルの創始者的存在のバンド。
メロディアスなツインギターに併せるように展開される疾走曲の数々は、現在も無数のヘヴィメタルバンドに
リスペクトされているといって間違いない。 私の一番好きな洋楽アーティストでもある。




1.Starlight
2.Marderer
3.Cry for freedom
4Victim of hate
5.Warrior
          /5曲
HELLOWEEN 75
1985年 1stアルバム
後の2ndアルバム、「WALLS OF JERICO」とシングル曲の「JUDAS」が入り、全15曲入りで出されているCDが現在は主流となっており、このミニアルバム単体ではなかなか手に入りませんが、ここは彼らの成長振りを示す為にあえて分けて書いておきます。

「成長振り」と書きましたが、成長して安定感が出てくるだけ勢いというのは失われるわけで、このアルバムはハロウィン初期の勢い、個性の塊といったものが現れまくった一枚。 最初の1曲
Starlightはまさに最たるもので、この止めようの無い滅茶苦茶な勢いは賞賛に値する。確かに歌はヘタ・雑・聴きにくく酷評が多いのも分かりますが、自分はこの曲には感動させられました。ベストに収録された垢抜けたバージョンより魅力的です。
ただ、
Mardererはやはりベストのバージョンの方が良いですね。 とはいっても、イントロのギター→ベース→ドラムが次々と切れ込んでくるイントロだけで、名曲になりうるスゴイ曲だとは思います。 中盤の「ア”〜、ハッハ〜〜〜」などとシャウトとギターソロで攻めてくる部分がまた凄い.... 

その後の3曲は、やはり展開の強引さが気になってイマイチといった感がありますが、部分部分で充分興奮できる造りになっております。

カイ・ハンセンのヴォーカルに耐えられさえすれば、結構良いミニアルバムになり得るのではないでしょうか。因みに私は、ダミ声ながら上手い現在のアンディ・デリスより彼の方が好きでけどねぇ。嵐のようで。 あ、でもジャイアンの声ってこんな声なのかな..... 




1.How many tears
2.Ride the sky
3.Guardians
4.Metal Invaders
5.Heavy metal(is the Law)
          /8曲
WALLS OF JERICHO 90
1985年 2ndアルバム

前作とのブランクの短い間に、散らかった印象のあった楽曲のまとまりのなさが改善され、演奏力もアップした(歌唱力はあまり変わっていない感があるが....)初期の名盤。80年代のHELLOWEENはキーパー1、2が突出して高い評価を受けているが、私はこのアルバムもとても気に入っている。 何と言ってもこの有無を言わさぬとんでもない勢いに唖然.....
オープニングのキラーチューン、
Ride the skyからしてテンションが違いすぎる。 「ライ・ザ・ズカイ、ライ・ザ・スカイ、ギャ〜ギャ〜」という例によって彼らの代表曲の一つで、サビの高音とハロウィンテイスト爆発の、パワーコードに乗せたメロディアスなソロは間違いなく鳥肌モノ。ポーランドの週間チャートでは6週連続で首位を獲得したらしい。 
この曲にはまってしまうと後は完全に彼らのペースで、上質な疾走チューンである
Guardians、前半を締めくくるナンバーにも関わらずスラッシュフルなPhantoms of death・・・とどれも凄いが、更に彼らの当時の個性が爆発するのが後半。
「Marderer」ばりの中間部の疾走感が素晴らしい
Metal Invadersに始まり、ハロウィンテイスト・・・ではなくカイハンセンテイスト爆発のGORGARがまた面白い。本当になんなんでしょうねーやっぱりユーモアのつもりでこういう曲作ってるのでしょうか? 自分はGAMMA RAYも大好きなカイファンなので、こういった曲でも気に入れるのですが....
Heavy metal(is the Law)は初期の隠れた名曲で、これまたミドルテンポながら勢いに溢れたナンバー。

そしてアルバム締めくくるのが、ハロウィン屈指の高評価を受ける
How many tears・・・。
7分半という長丁場の曲ながら、その長さだからこそ実現できる「静」と「動」を持つ神業的な曲構成がなされており、この曲は完っっ全にB級さを脱却している。それどころかメロディック・パワーメタル夜明けを告げた曲とも評価される程の一作。 ザクザク切れ込む前半のリフに興奮させられ、中盤のクラシカルなギターソロに感動させられ、一転して激しくなる展開に燃え、ラストには・・・つД`)・゜・。・゜゜・*:.。..。.:*・゜




1.Halloween
2.Future world
3.I'm alive
4.Twilight of the gods
5.A little time
          /6曲
KEEPER OF THE 7 KEYS PARTT 96
1987年 3rdアルバム

当時弱冠18歳のスーパーヴォーカリスト:マイケル・キスクをメンバーに加えて制作された、いわゆる「ジャーマンメタル」の誕生となった名作。メロディアスでキャッチーなギターのツインリードを特徴としたこのジャンルは、この後多数のフォロワーによって受け継がれ、そのスタイルは現在のANGRA、SONATA ARCTICAなどのバンドの基礎ともなっている。 ヘヴィメタルにメロディアスさを積極的に取り込んだ最初の作品として、ヘヴィメタル史に残る一枚と言って間違いないだろう。

楽曲も前作までの荒々しい展開は無くなり、キスクの安定したヴォーカルのお陰で非常にクオリティの高いモノとなった。Aメロ、Bメロ、サビが明確に分かれた、とにかく分かり易い曲展開を持つ楽曲が実に多いのだ。
オープニングの単純疾走チューン、
I'm aliveがいきなりいい。あまりにも明るすぎるギターソロは流石に好き嫌いが分かれそうだが、元々J-POPファンだった私からすればサイコー、サイコー。続くA little timeも、キスクの歌声が見事にハマった佳曲。Twilight of the godsも疾走感の塊のようなイントロからいきなりテンションが高く、気持ちよく聴ける。Tell me what wasn't rightも及第点のバラードだ。

しかしやはり別格的な魅力を感じるのが、彼らの代表曲として認知される
Future worldHalloweenだ。 
ひたすら分かりやすくて聞き易くて、そのためにちょっと古さも感じてしまうFuture worldだが、単純にこれだけ素晴らしくキャッチーなサビメロを作ることのできるアーティストは希少だと思う。一度聴いたら忘れないし、一緒に大合唱したくなるし、気がついたら鼻唄で歌ったりしてる、そんな曲。 間奏の(゜∀゜)ウヒャヒャヒャ がまた大好きだったり。
そして13分の大作:Halloweenは、当時のこのバンドが持っていた素晴らしいメロディの数々が、うまく場面転換しながら次々と繰り出されていくような極上の楽曲。核となるサビメロも最高。10分を超える大作をこのバンドはこの他にも多く出しているが、唯一これと並ぶことができるのはKeeper of the 7 keysだけだと思う。

全曲が良曲以上という最高のアルバム。全6曲ということでミニアルバム的な印象も受けてしまうが、個人的には100点をつけたい気分の逸品。




1.Eagle fly free
2.Keeper of the 7 keys
3.I want out
4.Rise and fall
5.March of time
          /9曲
KEEPER OF THE 7 KEYS PARTU 99
1988年 4thアルバム

ビートルズをはじめとして、優れたアーティストには曲を書くことのできる有能なソングライターが複数存在するものだが、それはこの時期のハロウィンにもいえることだろう。現在もHELLOWEENで曲を書き続けるヴァイキー、この後HELLOWEENを脱退し、GAMMA RAYを結成して人気を博したカイ、同じく脱退してソロデビュー果たしたキスク。この3人に加え、95年に自ら命を経ってしまった天才ドラマー;インゴが集まって、極上のアルバムができないわけがないといった感じだ。ヘヴィメタル史上に残る名作として、現在も扱われている一枚。

Eagle fly free

私が音楽を聴いてこれほどまでに衝撃を受け、感動を受けたのは、中2の時にミスチルの名もなき詩を聴いて以来だと断言できる。荘厳なイントロ、疾走感溢れるA、Bメロ、そして「世界にはこんなヴォーカルがいたのか....」と思わされた、サビでのハイトーンヴォイス、素晴らしいメロディ。ギター→ベース→ドラムと、全てのソロを兼ね備えた間奏、クライマックスのどこまでも壮大に展開してゆくメロディ、シャウト・・・、どれもが体験したことの無い衝撃であった。 間違いなくヴァイキーの最高傑作であり、ハロウィンの最高傑作。自分はヘヴィメタルの最高傑作だ思うし、延いては洋楽の最高傑曲だと思っている。
このアルバムには、他にもヴァイキーのポップなセンスが発揮された楽曲が多くある。
Dr.Stainは代表曲の一つだし、Rise and fallなんかは、このバンドから滲み出てくるようなユーモアある部分を、これ以上ないくらい見事に表現した傑作だ。 ラストを飾るKeeper of the 7 keysは、13分半という長丁場で全くダレることなく展開してゆく、神がかり的な名曲。次々と出てくる良メロの数々に感動が止まない。
負けじと盛り込まれたカイの楽曲も全曲名曲なものだから、このアルバムは凄い。彼らしい怒涛の疾走曲:
March of timeに、底抜けの明るさが心から気持ちよく思えてくるボーナストラック:Save us代表曲のI want outなんて、もう言うまでもない名曲。イントロなんてホント最高じゃないすか。
どの曲もそれぞれの特徴、それぞれの存在感を放っていて、「分かり易い」という部分のみが共通しているという凄さが感じられる。

今現在、これ以上に気に入っているアルバムが私には存在していない。しかし他の曲が全曲名曲ながら、キスク作曲の2曲だけはかなり劣っている感が否めないアルバムではある。 これ以上のアルバムが今後出る余地がまだあるという意味で、99点にしておきました。